『三国志演義』から正史『三国志』まで、『三国志』に関連する用語を簡単に解説する用語事典の「し」で始まる用語をまとめています。
スポンサーリンク
し
四安将軍(しあんしょうぐん)
定員:1名・秩不明(不明)
安東将軍、安南将軍、安西将軍、安北将軍の総称。四征将軍の一種ですが、「征」「鎮」よりは下位になります。
都督を帯びて方面軍指令官になることができます。
史記(しき)
司馬遷が編纂した、五帝・夏・殷・周・秦・前漢の武帝期までの事跡を記録した歴史書。
- 五帝や秦・漢代の皇帝の事跡を記した「本紀」12巻
- 春秋戦国時代の諸侯の系図や年表からなる「表」10巻
- 経済政策や儀礼などについて記した「書」8巻
- 孔子や前漢建国の功臣の事跡を記した「世家」30巻
- 各時代の政治家や民衆の事跡を記した「列伝」70巻
から構成されています。
この体裁は紀伝体と呼ばれ、それ以降の正史の基本形となりました。
関連記事
詩経(しきょう)
五経(儒学で尊重される5つの経典)の1つ。風・雅・頌の3部で構成された中国最古の詩集。
司空(しくう)
公。定員:1名・秩万石(一品)
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
治水・土木全般の最高責任者。太尉、司徒と共に三公の1つに数えられます。
蜀では置かれませんでした。
関連用語
諡号(しごう)
貴人の死後に生前の行いにちなんで贈られる名前のこと。諡。
例
- 曹操:武帝(武皇帝)
- 劉備:昭烈帝(昭烈皇帝)
- 関羽:壮繆候
- 諸葛亮:忠武侯
など。
侍子(じし)
諸侯王や帰服した非漢人の王が天子(皇帝)の側近くに侍らせるという名目で漢の都に送った子息のこと。
一種の人質で、質子とも言います。
璽綬(じじゅ)
玉璽と綬(玉璽または印を身につけるための組紐)のこと。
玉璽とは白玉製の印章のことで、天子(皇帝)と太皇太后、皇太后、皇后が、黄赤綬と組み合わせて身につけました。
関連用語
関連記事
司徒(しと)
公。定員:1名・秩万石(一品)
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
政治の最高責任者。太尉、司空と共に三公の1つに数えられます。
関連用語
関連記事
司馬(しば)
将軍や都督の属官。兵員の管理を担当します。
車騎将軍(しゃきしょうぐん)
定員:1名・秩不明(二品)
大将軍、驃騎将軍に次ぐ武官第3位の将軍号。その位は三公に匹敵します。
また、車騎将軍は外戚ではない一般官僚が就ける最高の将軍位で、死期が近くなった宦官が名誉職として任じられることもありました。
笏(しゃく)
官吏が礼装の時に帯に挟んだ板のこと。板・手板とも言います。
社稷 / 社稷(しゃしょく)
1.
国家祭祀のこと。または国家祭祀を行う祭殿のこと。
春に土地神である社に豊作を願う「社」の祭祀と、秋に五穀の神である稷に収穫を感謝する「稷」の祭祀からなります。
2.
国家そのもののことを表す言葉。
周王朝では社稷の祭殿が固定され、特に五穀の神を祀る「稷の祭殿」に祖先神を祀っていたことから政治的意味合いが強くなり、国家そのものを表すようになりました。
綬(じゅ)
玉璽または印を身につけるための組紐のこと。
綬には、
- 黄赤綬
- 赤綬
- 緑綬(綟綬・盭綬)
- 紫綬(緺綬)
- 青綬
- 黒綬(墨綬)
- 黄綬
- 青紺綬
の8種類があります。
関連用語
関連記事
朱衣(しゅい)
祭官のこと。
『漢官儀』に、
「漢家(漢)は赤行(火徳)なので、斎戒を行う者は赤い袴と韤を着ける」
とあります。
雌雄一対の剣(しゆういっついのけん)
『三国志演義』で劉備が使っていた双剣の名称。
関羽の青龍偃月刀(冷艶鋸)、張飛の蛇矛(点鋼矛)と共に、挙兵の際に張世平と蘇双の援助を受けてつくられました。
関連記事
周(しゅう)
中華の古代王朝。
紀元前1,046年、文王の子・武王が殷を滅ぼして中華の盟主となり、鎬京に都を開いたことにまじまり、各地に諸侯を封建して天下を治めましたが、幽王の時代に犬戎(西戎)の侵入を受けて弱体化し、平王の時代に洛邑に遷都しました。
この洛邑に遷都するまでの周王朝を西周と言います。
周王朝の没落は中華に春秋戦国時代と呼ばれる戦乱の時代を招き、紀元前256年、赧王の時代に秦に滅ぼされました。
この洛邑に遷都してから滅亡するまでの周王朝を東周と言います。
州書佐(しゅうしょさ)
州の属吏の1つ。
門功曹書佐・簿曹書佐・典軍書佐などが置かれ、主に文書を取り仕切りました。
関連記事
集簿(しゅうぼ)
いくつかの項目に分けた情報を集計した帳簿の総称。
周礼(しゅらい)
儒教の経典として『儀礼』・『礼記』と共に「三礼」の1つに数えられる、西周の官制を記録した書物。
天官大宰・地官大司徒・春官大宗伯・夏官大司馬・秋官大司寇・冬官大司空の6篇からなりますが、冬官大司空の篇は古くに失われ、漢代に「考工記」が補われました。
春秋(しゅんじゅう)
儒教の経典の1つ。紀元前722年〜紀元前481年までの歴史的事実を簡潔に書き留めた書物。
もとは魯(国名)が記した年代記を孔子が編纂したもので、その一言一句に孔子自身の価値観が込められているとされています。
後漢時代は儒教の中でも春秋学が盛況を呈しました。
春秋五覇(しゅんじゅうごは)
春秋時代に覇者となった5人の君侯(諸侯)のこと。
『荀子』王覇篇には、
- 斉の桓公
- 晋の文公
- 楚の荘王
- 呉王・闔閭
- 越王・勾践
が挙げられていますが、
- 宋の襄公
- 秦の穆公
- 呉王・夫差
を含めた8人の中から5人を挙げて五覇とするなど、諸説あります。
春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)
孔子が編纂したとされる『春秋』の解釈書のこと。
『春秋公羊伝』・『春秋穀梁伝』と並ぶ「三伝」の1つで、略して『左氏伝』または『左伝』とも言います。
春秋時代の左丘明という人物の作とされていますが、多くの異説があります。
「三伝」の中で唯一「古文学」に属し、前漢末に劉歆がその価値を強調して以降、後漢時代においては賈逵・服虔らの宣揚によって次第に盛んになりました。
関羽が愛読していたことでも有名です。
関連用語
相(しょう)
諸侯王または列侯の代わりに彼らの領地を統治する行政官。
王国または侯国に置かれ、
- 1つの郡を領地とする王国には、太守に相当する王国相
- 1つの県を領地とする侯国には、県令・県長に相当する侯国相
が置かれました。
関連用語
章(しょう)
漢代における上奏文の書式の1つ。
天子(皇帝)の恩恵に感謝の意を表す場合などに用いられました。
小苑門(しょうえんもん)
後漢・洛陽城(雒陽城)の外周の門の1つで、南側の城壁に4つある城門のうち、中央西側にある城門のこと。
関連記事
洛陽(雒陽)の城門の配置図はこちら。
上計吏(じょうけいり)
郡国において会計を取り仕切ります。
毎年洛陽(雒陽)に上京し、朝廷に1年間の会計と政務の報告を行いました。
相国(しょうこく)
上公。定員:1名・秩万石(一品)
三公の上位に位置し、天子を助けて万機(政治上の多くの重要な事柄)を治める官職。
特別な功績のある臣下だけが任命される官職で、後漢では189年に董卓が自ら就任するまで任命された者はいませんでした。
関連用語
関連記事
詔獄(しょうごく)
天子(皇帝)の詔によって設置された獄(牢)のこと。
天子(皇帝)の詔によって犯人の逮捕が行われ、天子(皇帝)が自ら判決を下しました。
尚書(しょうしょ)
1.
五経(儒学で尊重される5つの経典)の1つ。
それぞれの史官の記録をまとめたもので、虞・夏・商・周の4部で構成されています。
後世の儒家によって様々に手を加えられ、
- 孔子の旧宅から発見された古文尚書
- 漢代初期に伏生が伝えたとされる今文尚書
に区別されています。
2.
尚書令の別称。
関連記事
【後漢・三国時代の官職16-3】少府の属官3(尚書台)>尚書令
丞相(じょうしょう)
上公。定員:1名・秩万石(一品)
三公の上位に位置し、天子を助けて万機(政治上の多くの重要な事柄)を治める官職。宰相。
次第に権限が縮小されて廃止され、その職務は司徒が務めるようになりましたが、208年に曹操が三公を廃止して丞相を復活させ、再び宰相の役割を担うようになりました。
関連用語
関連記事
上西門(じょうせいもん)
後漢・洛陽城(雒陽城)の外周の門の1つで、西側の城壁に3つある城門のうち、北側に位置する城門のこと。
関連記事
洛陽(雒陽)の城門の配置図はこちら。
上東門(じょうとうもん)
後漢・洛陽城(雒陽城)の外周の門の1つで、東側の城壁に3つある城門のうち、北側に位置する城門のこと。
関連記事
洛陽(雒陽)の城門の配置図はこちら。
丈八蛇矛(じょうはちだぼう)
『三国志演義』で張飛が使っていた蛇矛(点鋼矛)の別名。
1丈8尺(『三国志演義』が著された明代の尺度では約6m)の長さがあったことから、丈八蛇矛とも呼ばれました。
関連記事
少府(しょうふ)
卿。定員:1名・秩中二千石(三品)
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
宮中の衣服、宝物、珍しい料理その他、皇室の財政を管理する官職。
宦官や尚書も名目上はこの少府に属しています。
関連用語
紹封(しょうほう)
天子(皇帝)が、以前に国除された諸侯王国や列侯国の後裔を招いて封建し直し、もとの諸侯王国や列侯国を再興させること。
乗輿車(じょうよしゃ)
天子(皇帝)が乗る車のこと。「車駕」とも言います。
転じて天子(皇帝)自身を指す言葉にもなりました。
諸侯王(しょこうおう)
最高位の爵位で、後漢においては原則として劉姓を持つ皇族のみが封じられ、王(諸侯王)には封土が与えられました。
王に封ぜられた者は与えられた領地を統治せず、代わりに国相が派遣されて統治を代行します。
関連用語
晋(しん)
1.
春秋時代の侯国の1つ。
晋は、西周の成王の弟・叔虞が唐に封ぜられたことに始まり、文公の時代に楚の北上を抑えて覇者となりました。
春秋時代後半になると、勢力を強めた大夫たちに実権を奪われ、韓・魏・趙の3氏に国土を分割されて滅亡します。
この晋の分裂以降を戦国時代と言います。
2.
中華の古代王朝の1つ。
晋王・司馬炎(後の西晋の武帝)が曹魏の元帝(曹奐)から禅譲を受けて建国しました。
愍帝(司馬鄴)が前趙(漢)に降伏するまでの晋を西晋と呼び、元帝(司馬睿)が中興した晋を東晋と呼びます。
関連用語
秦(しん)
中華の古代王朝の1つ。
周が洛邑に遷都により戦乱の時代が幕を開けると、諸侯に名を連ねて領土を拡大し、9代穆公は「春秋五覇」の1人に数えられました。
戦国時代に入ると「戦国七雄」に数えられ、将軍・白起の指揮の下、趙を撃破して勢力を拡大。嬴政(後の始皇帝)が王位を継承すると、他の6国を次々と滅ぼして中華の統一を果たしました。
全国に郡県制を採用し、文字や度量衡などを統一して厳格な法統治を行いますが、始皇帝が崩御すると「陳勝・呉広の乱」が勃発。これを契機として挙兵した項羽・劉邦らに敗戦を重ね、いち早く関中に侵攻した劉邦に降伏。滅亡しました。
神農(しんのう)
三皇(中華の伝説上の帝王)の1人。
人類に農業と医薬の知識を教えた人物とされています。
晋百官表(しんひゃっかんひょう)
荀綽が撰した『晋後書』の一篇で、官職についての記事を表形式にまとめたもの。
津門(しんもん)
後漢・洛陽城(雒陽城)の外周の門の1つで、南側の城壁に4つある城門のうち、一番西側にある城門のこと。
関連記事
洛陽(雒陽)の城門の配置図はこちら。
スポンサーリンク