『三国志演義』から正史『三国志』まで、『三国志』に関連する用語を簡単に解説する用語事典の「き」で始まる用語をまとめています。
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き
魏書(ぎしょ)
1.
三国時代の魏の歴史書。全30巻。
蜀漢と西晋に仕えた陳寿が編纂した正史『三国志』のうちの1つ。正史『三国志』では魏を正統としていますので、この『魏書』にのみ皇帝の事跡である本紀があります。
2.
王沈『魏書』。
魏の正元年間(254年〜255年)に、荀顗・阮籍とともに王沈が著した三国時代の魏の歴史書。全48巻。
同時代に著された歴史書のため、曲筆が多いと言われています。現在では散佚し、正史『三国志』の注釈の中に断片的に見ることができます。
貴人(きじん)
后妃(妃嬪)に与えられた位階の1つ。
後漢の后妃(妃嬪)の位階には、
- 貴人
- 美人
- 宮人
- 采女
があり、貴人は皇后に次ぐ地位で、金印紫綬を帯びました。
亀旐(きちょう)
亀と蛇が描かれた旗のことで、県の軍吏が用いました。
宮掖門(きゅうえきもん)
後漢・洛陽城(雒陽城)の宮城である北宮と南宮の外周に設置された門のこと。
南宮
- 平城門
- 東門(蒼龍門・蒼龍闕門・東闕)
- 玄武門(玄武闕・北闕)
- 北門
北宮
- 南掖門(朱爵南司馬門・朱爵門・朱雀掖門・朱雀門・朱雀闕)
- 東門(東明門)
- 北門(朔平門)
関連用語
給事中(きゅうじちゅう)
博士や議郎などに加えられる加官の職。
位は中常侍・侍中・黄門に次ぎ、天子(皇帝)の下問への回答を担当します。
九州(きゅうしゅう)
中華古代の伝説上の聖王・禹が設置した、冀州・兗州・青州・徐州・揚州・荊州・豫州・梁州・雍州の9つの州のこと。
建安18年(213年)3月、献帝は13州あった州を統廃合し、「九州制」を復活させました。
宮城(きゅうじょう)
前漢の首都・長安城内部の未央宮・桂宮や、後漢の首都・洛陽城(雒陽城)内部の北宮・南宮などを宮城と言います。
旧典(きゅうてん)/ 舊典(きゅうてん)
尚書台に保管された詔などの文書を出典とする故事のこと。
宮殿(きゅうでん)
前漢の首都・長安城と後漢の首都・洛陽城(雒陽城)には、未央宮や北宮などの宮城がありました。
この宮城の内部の前殿と呼ばれる殿舎のことを宮殿と言います。
九賓(きゅうひん)
九種類ある天子(皇帝)の賓客のこと。
九賓には、
- 王
- 侯
- 公
- 卿
- 二千石
- 六百石
- 郎
- 吏
- 匈奴侍子
とするものなど、諸説あります。
九品官人法(きゅうひんかんじんほう)
220年、魏の尚書・陳羣の発案により、漢代の郷挙里選に代わって施行された官吏登用法。九品中正制とも言います。
州・郡に中正官を置き、任官志望者をその能力に応じて一品から九品までの九段階に分けて政府に推挙させ、志望者の品級に応じて官職に任命しました。
この九品官人法は隋代の初めに廃止され、その後は推挙ではなく科挙による筆記試験が採用されることになります。
関連用語
郷挙里選(きょうきょりせん)
漢代に行われていた官吏登用法。「郷より挙げ、里から選ぶ」の意味。
太守または相、郷、里の有力者の合議によって管轄内の優秀な人物を中央に推薦し、官吏として採用する方法。
前漢の武帝の時代に始まり、孝廉・賢良・方正・秀才などの徳目がありましたが、中でも孝廉が最も重要視されていました。
また、後漢代に入ると光武帝(劉秀)の諱が避諱され、秀才は茂才と改められました。
関連用語
匈奴(きょうど)
北アジアの遊牧民族。
紀元前3世紀に陰山山脈で遊牧国家としての形を整え、冒頓単于の時代に「白登山の戦い」で前漢の高祖(劉邦)を破って全盛期を迎えますが、前漢・武帝期に衛青・霍去病らの攻撃を受けて衰退し、東西に分裂しました。
さらに、後漢・光武帝期になると日逐王比が呼韓邪単于を名乗って自立し、まもなく後漢に臣従ます。この呼韓邪単于に率いられた部族を南匈奴と言います。
また、北方に残った部族(北匈奴)は、和帝期には後漢に臣従して貢献しましたが、後に南匈奴の圧迫を受けて西方に逃れました。
関連用語
玉藻(ぎょくそう)
糸を通して冕冠に垂らす玉の飾りのこと。旒(たまだれ)とも言います。
身につける者の身分によって、冕冠に垂らす玉藻の数が異なります。
身分 | 旒の数 |
---|---|
天子 | 前後に12旒 |
三公・諸侯 | 前のみに9旒 |
卿・大夫 | 前のみに7旒 |
関連用語
魏略(ぎりゃく)
魏の歴史家・魚豢が撰した魏の正史。現在では散佚してしまいました。
議郎(ぎろう)
定員:不定・秩六百石(七品)
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
光禄勲に属し、天子の諮問(意見を求めること)に対して意見を述べることを職務とする官職。
関連用語
金印紫綬(きんいんしじゅ)
金印は官職を表す金製の印章、紫綬は紫色の綬(官職を表す印を身につけるために用いた組み紐)のこと。
官秩(秩石)が三公・将軍の任官者および、列侯・公主に与えられました。
関連用語
金鼓(きんこ)
軍隊を進退させる金鉦(陣鉦)と太鼓(陣太鼓)のこと。鉦鼓とも言います。
金鉦で軍を止め、太鼓で軍を進めます。
金商門(きんしょうもん)
洛陽城内に設置された門の1つ。
その位置については、
『後漢書』蔡邕伝の李賢注『洛陽記』では
洛陽城・南宮の崇徳殿(魏の太極殿)の西。
『元河南志』後漢城闕古蹟條では
北宮の神虎門内。
と推定されています。
禁中(きんちゅう)
天子(皇帝)の生活空間のこと。通常の官吏の出入りは固く禁じられていました。省中とも言います。
前漢の首都・長安城では未央宮の内部、後漢の首都・洛陽城(雒陽城)では南宮の内部にありました。
また、後漢の禁中には皇太后の居所である長楽宮と、皇后の居所である長秋宮があります。
関連用語
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