関羽の活躍で華雄を討ち取った十八路諸侯は、ついに董卓が守る虎牢関に駒を進めます。ですが、そこには猛将・呂布が待ち受けていました。
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目次
董卓、虎牢関に入る
前回は、関羽が華雄を討ち取ったところまででしたよね。
関羽さんのお陰で勝てたのに、袁術さんは文句ばっかり…。
そうでしたね。
今回は、十八路諸侯が再び攻勢に出ますよ。
ご確認
この記事は『三国志演義』に基づいてお話ししています。この記事でお話ししている内容は、『三国志演義』の創作になります。
創作の元になった出来事
董卓軍を退けた孫堅の胆力と河内太守・王匡が敗北した河陽津の戦い
董卓軍の敗因は呂布の裏切りだった!?陽人の戦いと孫堅の洛陽入り
董卓、袁隗を殺害する
華雄が討たれた事を知った副将の李粛は、急いで董卓に報告します。
「華雄のヤツが討たれて賊の勢いが強くなりおった。どうすべきであろうか?」
李粛からの報告を受けた董卓は、諸将を集めて相談します。
「太傅・袁隗は賊の盟主・袁紹の叔父です。彼が敵に内応するようなことがあれば厄介なことになります。今のうちに殺しておくほうがよろしいかと…」
李儒の進言に同意した董卓は、すぐに李傕、郭汜に兵を与えて袁隗を捕らえさせると、処刑してさらし首にしました。
ひどい…。
まあ当然だね。むしろ今まで生かされていたのが不思議なくらいだよ。
董卓が朝廷で権力を握るためには、太傅・袁隗の協力が必要だったということですね。
そしてもう、用なしになったと…。
董卓、虎牢関に入る
袁隗を殺して後顧の憂いを取り除いた董卓は、十八路諸侯を迎え撃つために守りを固めます。
董卓は軍を2手に分けると、李傕・郭汜に5万の兵で汜水関を守らせると、自ら15万の兵を率いて李儒、樊稠、張済らと虎牢関に入り、呂布に3万の兵を与えて虎牢関の前に陣取らせました。
そうだっ!今まで散々華雄にビビってたけど、まだ呂布がいたんだった!
呂布さんと関羽さんって、どっちが強いの?
どちらが強いのでしょうねぇ。今回のお話しで、その答えが分かるかもしれませんよ!(笑)
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虎牢関の戦い
虎牢関を攻める
董卓が虎牢関に入ったことを知ると、十八路諸侯も軍を2つに分けて攻撃することにします。
袁紹は、
- 河内太守・王匡
- 東郡太守・橋瑁
- 済北相・鮑信
- 山陽太守・袁遺
- 北海太守・孔融
- 上党太守・張楊
- 徐州刺史・陶謙
- 北平太守・公孫瓚
の8軍を虎牢関に向かわせ、曹操に虎牢関と汜水関の間を行き来させるようにしました。
劉備さんたちは公孫瓚さんと一緒だから、虎牢関に行ったんですね。
いよいよ呂布と対決だな…。
虎牢関は唐の時代に置かれた関所で、汜水関とも呼ばれました。つまり、虎牢関と汜水関は同じ1つの関所を指す名称であり、このお話の舞台である後漢末期には存在していませんでした。
『三国志演義』では、虎牢関と汜水関を別々の関所として扱っており、汜水関を通らずに虎牢関に向かえるような位置関係にあったことになっています。
王匡の敗北
さて、虎牢関に向かった諸侯の中で、一番乗りをした王匡が呂布に挑みます。
王匡が虎牢関に到着すると、呂布は3,000の兵を率いて迎え撃ちました。これに王匡は、河内郡の名将・方悦を当たらせます。
ですが、方悦は5合と打ち合わないうちに突き殺され、勢いに乗った呂布は、そのまま王匡軍に攻めかかりました。
呂布と5回も打ち合ったなら大したもんだ(笑)
散々に暴れ回った呂布は、橋瑁と袁遺の軍が到着したのを見ると、やっと兵を引きました。
なんでいつも味方が揃わないうちに戦っちゃうの!?
呂布の武勇
さて、残りの5軍が到着した頃、呂布がまた挑戦してきます。
これに、上党太守・張楊の配下・穆順が応えますが、呂布の一突きで馬から突き落とされてしまいました。
続いて8軍の諸侯からは、北海太守・孔融の配下で長柄の鉄槌を使う豪傑・武安国が呂布に立ち向かいます。
ですが、呂布と打ち合うこと10合あまり、呂布の方天画戟が武安国の腕を突き貫いて、その腕を断ち切られてしまいました。
これはまずいと8軍の諸侯が一斉に兵を進めて武安国を救い出すと、呂布は悠々と引き上げていきました。
呂布さん強すぎっ!ここはやっぱり関羽さんじゃないと…。
順番的には次は張飛かな?
いきなり志願すると怒られるからね、無駄な犠牲だよ(笑)
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劉備・関羽・張飛が呂布と戦う
画像引用元:『Total War: THREE KINGDOMS』
公孫瓚の危機
呂布が引いたので、8軍の諸侯は陣に帰って作戦を練ることにします。
そこで曹操は「呂布さえ捕らえることができれば後は恐くはない」と、十八路諸侯が集まって、そのための計略を話し合うことを提案しました。
ですがその最中、呂布がまた兵を率いて戦いを挑んで来ます。
そして、これに全軍をあげて対応した8軍の諸侯の中から、今度は北平太守・公孫瓚が自ら呂布に向かって行きました。
お〜っ!公孫瓚ってそんなに強かったっけ?
関羽さんは?張飛さんもいるのに。
公孫瓚は鉄の搠*1を振るって呂布と打ち合いますが、すぐに形勢が悪くなり、踵を返して逃げ出しました。
ですが、呂布が騎乗する名馬・赤兎馬は、公孫瓚との距離をグングン縮めていきます。
公孫瓚、全然強くないやんっ!(笑)
ちょっと軽率ですね、公孫瓚さん。
脚注
*1 搠(つきがね)。槊(さく)。西洋のランスに相当する騎兵用の長槍。
関連記事
3英雄、呂布と戦う
呂布の方天画戟が公孫瓚の背中を捕らえようとしたその時、1人の男が2人の間に割って入りました。
「3つの家の奴隷めっ!燕人・張飛ここにありっ!」
そう叫んで1丈8尺の蛇矛を突き立てると、呂布は公孫瓚をあきらめて張飛に向き直ります。
お〜っ!張飛さん、良いところにっ!
あっ!「3つの家の奴隷」って『三国志 Three Kingdoms』でも言ってたね。
そうですね。呂布は丁原と董卓の養子になっていますから、呂・丁・董と3つの姓を持っていると、嫌みを言ったんですね。
意味が分からなかったけどそういうことか。
燕人っていうのは何ですか?
燕みたいに素早いってこと?
燕と言うのは、春秋戦国時代に張飛の故郷・琢郡周辺を治めていた国の名前です。
雰囲気としては、鹿児島県出身の男性を薩摩隼人って言うような感じかな。
大体そんな感じですね。
では、お話しに戻りましょう。
呂布と張飛は打ち合うこと50合をこえても、一進一退で勝負がつきそうにありません。
これを見た関羽は、馬にムチを当ててこの戦いに加わります。
張飛と関羽は呂布の両側から鋭い攻撃を繰り出しますが、30合を超えても一向に打ち負かすことができませんでした。
マジか…。
強すぎでしょ…。相手は関羽さんと張飛さんだよっ!
まさに規格外の強さですねっ!そしてこの様子を見た劉備も、雌雄一対の剣を抜いてこの戦いに加わります。
え〜っ!さすがに劉備は足手まといでしょっ!
そんなことはありませんよ。
劉備・関羽・張飛の3人は、呂布を取り囲むようにして次々に打ちかけます。
するとさすがの呂布も受けきれなくなったとみて、劉備に向かって自慢の方天画戟を大きく一振りして牽制すると、囲みを破って虎牢関へと逃走を始めました。
そして、これを見た8軍の諸侯は一斉に攻めかかりますが、名馬・赤兎馬には追いつくことができず、呂布は虎牢関の中に消えていきました。
ほら、劉備のせいで取り逃がした。
劉備さんが加わったお陰で呂布さんは逃げ始めたんだよ。劉備さんのこと嫌いなの?
嫌いじゃないよ。ゲームじゃ武力低いんだよ(笑)
劉備・関羽・張飛の3人が虎牢関の櫓を見上げて見ると、そこには人並みならぬ風貌の男が8軍の諸侯を見下ろしているのが見えます。
「あれこそ董卓に違いないっ!呂布など討っても意味はない。董卓を捕らえるのだっ!」
張飛は大声でこう叫ぶと、虎牢関の城壁を登ろうと突進していきました。
…というところで、『三国志演義』の第5回が終わります。
また張飛は危なっかしいなぁ。
でも今回は、劉備さんたち大活躍でしたねっ!
そうですね。『三国志演義』の名シーンの1つです。
関羽によって華雄が討ち取られると、汜水関を李傕・郭汜に守らせて、董卓自身は李儒、呂布、樊稠、張済らと共に虎牢関に入って守りを固めます。
虎牢関に攻め寄せた8軍の諸侯は、その前に立ちはだかった猛将・呂布に対し、なす術がありませんでした。
そして、その呂布に立ち向かった劉備・関羽・張飛の3人はみごと呂布を撤退させ、その名を天下に轟かせることになります。
次回は、董卓が大きな決断をしますよ。
次回
【022】孫堅が董卓の誘いを断り、董卓は洛陽を焼き長安に都をうつす