十常侍(じゅうじょうじ)・張讓(ちょうじょう)たちに連れ去られた少帝(しょうてい)と陳留王(ちんりゅうおう)を保護し、朝廷で権力を握った董卓(とうたく)が次に行ったこととは…。

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少帝の廃位計画


タカオタカオ

前回は、少帝(しょうてい)と陳留王(ちんりゅうおう)を保護して洛陽(らくよう)に入った董卓(とうたく)が、何進(かしん)と何苗(かびょう)の兵を取り込んだところまででしたよね。

マリコマリコ

これからどうなっちゃうのかな?

王先生王先生

そうですね!
今回は、朝廷で権力を手に入れた董卓(とうたく)が、何を行(おこな)ったのかについてお話しします。

ご確認

この記事は『三国志演義』に基づいてお話ししています。正史『三国志』における董卓(とうたく)の入洛については、こちらをご覧ください。

諸豪族の入洛。董卓はどのようにして権力を手中に収めたのか

董卓と丁原の対立


王先生王先生

洛陽(らくよう)で最大の軍事力を手に入れた董卓(とうたく)は、なんと少帝(しょうてい)を廃位することを考えます。


董卓(とうたく)は参謀(さんぼう)の李儒(りじゅ)の進言に従って宴会を開くと、少帝(しょうてい)が無能惰弱(むのうだじゃく)であるからと、聡明(そうめい)な陳留王(ちんりゅうおう)を天子に即位させたい旨(むね)を伝え、百官に意見を求めました。

辺(あた)りは静まりかえり、董卓(とうたく)を恐れて誰も声を出せずにいましたが、ただ1人前に進み出る者がいました。荊州(けいしゅう)*1の刺史(しし)・丁原(ていげん)です。

丁原(ていげん)が、「今上(きんじょう)皇帝(現在の皇帝)には何の過失もないのになぜ廃位を口にするのだ?簒奪(さんだつ)の下心が見え見えだっ!」と言うと、董卓(とうたく)は怒って剣を抜き、丁原(ていげん)を斬ろうとします。

この時、丁原(ていげん)の後ろに控(ひか)える屈強な男のただならぬ気配に気づいた李儒(りじゅ)は、危険を察(さっ)して2人の間に割って入り、丁原(ていげん)を下がらせました。

董卓(とうたく)が「あの後ろの男は何者だ?」と問うと、李儒(りじゅ)は「あれは丁原(ていげん)の養子で、呂布(りょふ)という者です」と答えました。



タカオタカオ

出た!呂布(りょふ)っ!

マリコマリコ

呂布(りょふ)はわたしも知ってる!凄い強いんだよね。

王先生王先生

『三国志』の登場人物のなかでも、呂布(りょふ)は特に有名ですね。

脚注

*1 幷州(へいしゅう)の誤植だと思われます。

董卓と盧植の対立


王先生王先生

この時、董卓(とうたく)による天子廃立に反対した者は、丁原(ていげん)だけではありませんでした。


丁原(ていげん)が去った後、丁原(ていげん)と同様に少帝(しょうてい)の廃位に反対した盧植(ろしょく)も、董卓(とうたく)に殺されそうになります。

これに議郎(ぎろう)の彭伯(ほうはく)が進み出て、「人望のある盧植(ろしょく)を殺しては、天下を動揺させてしまいます」と董卓(とうたく)をなだめました。

そして、司徒(しと)の王允(おういん)が「天子の廃立のような大事は酒宴の席で話すことではありません。日を改めて協議しましょう」と言ったので、その場はなんとか収(おさ)まって散会となりました。



タカオタカオ

やりたい放題だな、董卓(とうたく)。

マリコマリコ

でもなんで董卓(とうたく)は少帝(しょうてい)を廃位しようとしているのかな?賢(かしこ)い皇帝の方が良いから?

タカオタカオ

少帝(しょうてい)が無能だったとしても、臣下として盛り立てるべきというのが丁原(ていげん)と盧植(ろしょく)の意見だね。

王先生王先生

少帝(しょうてい)の後見人である何太后(かたいごう)の権力を奪い、自分が新帝の後見人となることで権力を掌握するのが狙いですね。

マリコマリコ

なるほどっ!


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呂布の裏切り

呂布

董卓と丁原の戦い


王先生王先生

次の日、丁原(ていげん)は軍勢を率(ひき)いて董卓(とうたく)に戦いを挑(いど)みます。


董卓(とうたく)が李儒(りじゅ)と共に丁原(ていげん)を迎え撃つと、呂布(りょふ)が颯爽(さっそう)と進み出て言い放ちました。

「宦官が権力を弄(もてあそ)んだために万民は苦しんだ。宦官は誅殺(ちゅうさつ)されたが、お前は何の手柄もないというのに天子の廃立を企(くわだ)てるのかっ!」

呂布(りょふ)は、董卓(とうたく)が言葉を返す間もなく襲(おそ)いかかり、董卓(とうたく)軍は30里も後退する大敗北を喫(きっ)しました。



タカオタカオ

出た!呂布(りょふ)っ!

マリコマリコ

呂布(りょふ)凄い!強いっ!

王先生王先生

ではここで『三国志演義』に描かれた呂布(りょふ)の特徴を確認してみましょう。

呂布(りょふ)の特徴

呂布(りょふ)

姓は呂(りょ)、名は布(ふ)、字(あざな)は奉先(ほうせん)。

『三国志演義』には、身の丈(たけ)1丈(じょう)(約230cm)。手には方天画戟(ほうてんがげき)、唐猊鎧甲(とうげいがいこう)に獅蛮宝帯(ししもようのいしおび)を身に付け、頭には束髪金冠(そくはつきんかん)、百花戦袍(ひゃっかのひたたれ)をまとった姿で描かれています。



王先生王先生

また、中国の連環画や京劇では、ヤマドリの羽根飾りがついた鶡冠(かつかん)という冠(かんむり)をつけた姿がトレードマークとなっていますね。

マリコマリコ

なんか豪華でカッコ良いですね。

タカオタカオ

てか身長デカ過ぎっ!こんなにデカかったら、素早い動きができないでしょ(笑)

王先生王先生

かなり誇張されてますね。ちなみに正史『三国志』には、呂布(りょふ)の身長や風貌(ふうぼう)についての記載はありません。

呂布の裏切り


王先生王先生

丁原(ていげん)配下の呂布(りょふ)に打ち負かされた董卓(とうたく)は、配下を集めて作戦を立て直します。


命からがら逃げのびた董卓(とうたく)は、呂布(りょふ)の強さを恐れると共に「もし味方につけることができたなら、これほど心強いことはない」と言いました。

すると、配下の虎賁中郎将(こほんちゅうろうしょう)・李粛(りしゅく)が進み出て言います。

「私は呂布(りょふ)と同郷ですので、彼のことをよく知っています。呂布(りょふ)は勇気はあっても知恵はなく、利益のためには義理を忘れる男です。私の弁舌をもって、呂布(りょふ)を味方に引き入れてみせましょう」

董卓(とうたく)は大いに喜んで、李粛(りしゅく)の言うとおり、名馬「赤兎(せきと)」に黄金千両、真珠数十粒、玉の帯一筋(ひとすじ)を与えて呂布(りょふ)のもとに送り込みました。



タカオタカオ

李粛(りしゅく)、何気に呂布(りょふ)のことかなりディスってるね(笑)

マリコマリコ

李儒(りじゅ)に李粛(りしゅく)…。なんだかゴッチャになりそう…。

王先生王先生

ちょっとややこしいですね。


李粛(りしゅく)はみごとに呂布(りょふ)の心をつかみ、丁原(ていげん)の首を手土産として董卓(とうたく)に仕えるように誘います。呂布(りょふ)は刀を手に丁原(ていげん)の幕舎を訪ねると、有無を言わせずに丁原(ていげん)を斬り殺してしまいました。

董卓(とうたく)は大いに喜んで、呂布(りょふ)に金の鎧甲(よろい)と錦(にしき)の戦袍(ひたたれ)を贈り、騎都尉(きとい)・中郎将(ちゅうろうしょう)・都亭侯(とていこう)に封じると、呂布(りょふ)は董卓(とうたく)に父子の誓いを立てました。



タカオタカオ

確か、呂布(りょふ)は丁原(ていげん)とも父子の契(ちぎ)りを結んでたんだよね。

王先生王先生

そうです。呂布(りょふ)は義理の父親を殺して董卓(とうたく)に仕えたことになりますね。

マリコマリコ

なんか最低…。でも董卓(とうたく)とはお似合いかも。

董卓と袁紹の対立


王先生王先生

呂布(りょふ)を味方につけ、丁原(ていげん)を殺害させたことで、董卓(とうたく)に対抗できる者はいなくなってしまいました。

タカオタカオ

あれ?袁紹(えんしょう)は何してたんだ?

マリコマリコ

袁紹(えんしょう)さんって頼りになるのかならないのか、よく分からないですね。

王先生王先生

そうですねぇ…。
ここで董卓(とうたく)はまた、百官の前で少帝(しょうてい)の廃位を切り出します。


董卓(とうたく)は百官を招いて酒宴を開くと、ふたたび天子の廃立を蒸(む)し返し、「従わぬ者は斬るっ!」と剣を抜いて百官を威嚇(いかく)しました。百官は皆(みな)董卓(とうたく)を恐れて何も言い出せません。

そこへ、百官たちをかき分けながら1人の男が進み出て言いました。

「今上(きんじょう)皇帝は位につかれてまだ日も浅く、何の過(あやま)ちもない。お前が長子を廃して庶子を立てようとするのは、謀反以外の何ものでもないっ!」

中軍校尉(ちゅうぐんこうい)の袁紹(えんしょう)です。



マリコマリコ

噂(うわさ)してたら袁紹(えんしょう)さんっ!

タカオタカオ

丁原(ていげん)と同じこと言ってるよ。あの時より状況は悪くなってるのに。

王先生王先生

怒った董卓(とうたく)が剣を抜くと、袁紹(えんしょう)も剣を抜き、2人は宴会の席で睨(にら)み合いました。はたして袁紹(えんしょう)の運命は…?

というところで、『三国志演義』の第3回が終わります。

タカオタカオ

これ、勝算あってやってるのかな?

マリコマリコ

いつも良いとこで終わりますねっ!袁紹(えんしょう)さん、ここで殺されたりしないよね…。

殺された何進(かしん)と何苗(かびょう)の兵を取り込んだ董卓(とうたく)は、百官を前に少帝(しょうてい)を廃位して陳留王(ちんりゅうおう)を天子に即位させると言い出します。

これに反対した丁原(ていげん)は養子の呂布(りょふ)の裏切りによって殺され、朝廷には董卓(とうたく)に対抗できる人物はいなくなってしまいました。



王先生王先生

次回はついに董卓(とうたく)によって少帝(しょうてい)が廃位され、陳留王(ちんりゅうおう)が天子に即位することになります。

次回

【015】少帝を廃位して献帝を擁立した董卓の暴虐非道な行い

三国志演義の解説を順番に読もう!

 三国志演義教室【目次】