十常侍・張讓たちに連れ去られた少帝と陳留王を保護し、朝廷で権力を握った董卓が次に行ったこととは…。
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少帝の廃位計画
前回は、少帝と陳留王を保護して洛陽に入った董卓が、何進と何苗の兵を取り込んだところまででしたよね。
これからどうなっちゃうのかな?
そうですね!
今回は、朝廷で権力を手に入れた董卓が、何を行ったのかについてお話しします。
ご確認
この記事は『三国志演義』に基づいてお話ししています。正史『三国志』における董卓の入洛については、こちらをご覧ください。
董卓と丁原の対立
洛陽で最大の軍事力を手に入れた董卓は、なんと少帝を廃位することを考えます。
董卓は参謀の李儒の進言に従って宴会を開くと、少帝が無能惰弱であるからと、聡明な陳留王を天子に即位させたい旨を伝え、百官に意見を求めました。
辺りは静まりかえり、董卓を恐れて誰も声を出せずにいましたが、ただ1人前に進み出る者がいました。荊州*1の刺史・丁原です。
丁原が、「今上皇帝(現在の皇帝)には何の過失もないのになぜ廃位を口にするのだ?簒奪の下心が見え見えだっ!」と言うと、董卓は怒って剣を抜き、丁原を斬ろうとします。
この時、丁原の後ろに控える屈強な男のただならぬ気配に気づいた李儒は、危険を察して2人の間に割って入り、丁原を下がらせました。
董卓が「あの後ろの男は何者だ?」と問うと、李儒は「あれは丁原の養子で、呂布という者です」と答えました。
出た!呂布っ!
呂布はわたしも知ってる!凄い強いんだよね。
『三国志』の登場人物のなかでも、呂布は特に有名ですね。
脚注
*1 幷州の誤植だと思われます。
董卓と盧植の対立
この時、董卓による天子廃立に反対した者は、丁原だけではありませんでした。
丁原が去った後、丁原と同様に少帝の廃位に反対した盧植も、董卓に殺されそうになります。
これに議郎の彭伯が進み出て、「人望のある盧植を殺しては、天下を動揺させてしまいます」と董卓をなだめました。
そして、司徒の王允が「天子の廃立のような大事は酒宴の席で話すことではありません。日を改めて協議しましょう」と言ったので、その場はなんとか収まって散会となりました。
やりたい放題だな、董卓。
でもなんで董卓は少帝を廃位しようとしているのかな?賢い皇帝の方が良いから?
少帝が無能だったとしても、臣下として盛り立てるべきというのが丁原と盧植の意見だね。
少帝の後見人である何太后の権力を奪い、自分が新帝の後見人となることで権力を掌握するのが狙いですね。
なるほどっ!
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呂布の裏切り
董卓と丁原の戦い
次の日、丁原は軍勢を率いて董卓に戦いを挑みます。
董卓が李儒と共に丁原を迎え撃つと、呂布が颯爽と進み出て言い放ちました。
「宦官が権力を弄んだために万民は苦しんだ。宦官は誅殺されたが、お前は何の手柄もないというのに天子の廃立を企てるのかっ!」
呂布は、董卓が言葉を返す間もなく襲いかかり、董卓軍は30里も後退する大敗北を喫しました。
出た!呂布っ!
呂布凄い!強いっ!
ではここで『三国志演義』に描かれた呂布の特徴を確認してみましょう。
呂布の特徴
姓は呂、名は布、字は奉先。
『三国志演義』には、身の丈1丈(約230cm)。手には方天画戟、唐猊鎧甲に獅蛮宝帯を身に付け、頭には束髪金冠、百花戦袍をまとった姿で描かれています。
また、中国の連環画や京劇では、ヤマドリの羽根飾りがついた鶡冠という冠をつけた姿がトレードマークとなっていますね。
なんか豪華でカッコ良いですね。
てか身長デカ過ぎっ!こんなにデカかったら、素早い動きができないでしょ(笑)
かなり誇張されてますね。ちなみに正史『三国志』には、呂布の身長や風貌についての記載はありません。
呂布の裏切り
丁原配下の呂布に打ち負かされた董卓は、配下を集めて作戦を立て直します。
命からがら逃げのびた董卓は、呂布の強さを恐れると共に「もし味方につけることができたなら、これほど心強いことはない」と言いました。
すると、配下の虎賁中郎将・李粛が進み出て言います。
「私は呂布と同郷ですので、彼のことをよく知っています。呂布は勇気はあっても知恵はなく、利益のためには義理を忘れる男です。私の弁舌をもって、呂布を味方に引き入れてみせましょう」
董卓は大いに喜んで、李粛の言うとおり、名馬「赤兎」に黄金千両、真珠数十粒、玉の帯一筋を与えて呂布のもとに送り込みました。
李粛、何気に呂布のことかなりディスってるね(笑)
李儒に李粛…。なんだかゴッチャになりそう…。
ちょっとややこしいですね。
李粛はみごとに呂布の心をつかみ、丁原の首を手土産として董卓に仕えるように誘います。呂布は刀を手に丁原の幕舎を訪ねると、有無を言わせずに丁原を斬り殺してしまいました。
董卓は大いに喜んで、呂布に金の鎧甲と錦の戦袍を贈り、騎都尉・中郎将・都亭侯に封じると、呂布は董卓に父子の誓いを立てました。
確か、呂布は丁原とも父子の契りを結んでたんだよね。
そうです。呂布は義理の父親を殺して董卓に仕えたことになりますね。
なんか最低…。でも董卓とはお似合いかも。
董卓と袁紹の対立
呂布を味方につけ、丁原を殺害させたことで、董卓に対抗できる者はいなくなってしまいました。
あれ?袁紹は何してたんだ?
袁紹さんって頼りになるのかならないのか、よく分からないですね。
そうですねぇ…。
ここで董卓はまた、百官の前で少帝の廃位を切り出します。
董卓は百官を招いて酒宴を開くと、ふたたび天子の廃立を蒸し返し、「従わぬ者は斬るっ!」と剣を抜いて百官を威嚇しました。百官は皆董卓を恐れて何も言い出せません。
そこへ、百官たちをかき分けながら1人の男が進み出て言いました。
「今上皇帝は位につかれてまだ日も浅く、何の過ちもない。お前が長子を廃して庶子を立てようとするのは、謀反以外の何ものでもないっ!」
中軍校尉の袁紹です。
噂してたら袁紹さんっ!
丁原と同じこと言ってるよ。あの時より状況は悪くなってるのに。
怒った董卓が剣を抜くと、袁紹も剣を抜き、2人は宴会の席で睨み合いました。はたして袁紹の運命は…?
というところで、『三国志演義』の第3回が終わります。
これ、勝算あってやってるのかな?
いつも良いとこで終わりますねっ!袁紹さん、ここで殺されたりしないよね…。
殺された何進と何苗の兵を取り込んだ董卓は、百官を前に少帝を廃位して陳留王を天子に即位させると言い出します。
これに反対した丁原は養子の呂布の裏切りによって殺され、朝廷には董卓に対抗できる人物はいなくなってしまいました。
次回はついに董卓によって少帝が廃位され、陳留王が天子に即位することになります。