汜水関で孫堅を打ち破った華雄は反撃に転じ、今度は十八路諸侯の陣に攻め寄せました。いよいよ劉備の義弟・関羽が活躍します。
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目次
華雄軍の来襲
前回は、孫堅が華雄に負けたところまででしたよね。
袁術さんが孫堅さんに兵糧を補給しなかったからですよね。ヒドい…。
そのとおりです。
今回は、十八路諸侯の攻撃を受けた華雄が反撃にでます。
ご確認
この記事は『三国志演義』に基づいてお話ししています。この記事でお話ししている内容は、『三国志演義』の創作になります。
創作の元になった出来事
董卓軍の敗因は呂布の裏切りだった!?陽人の戦いと孫堅の洛陽入り
劉備、諸侯の末席に加わる
孫堅が敗れたことを知った十八路諸侯の盟主・袁紹は、諸侯を集めて軍議を開きました。
「済北相・鮑信どのの弟、鮑忠どのが抜け駆けをして命を落とし、今また孫堅どのが華雄に敗れた。これはいかがしたものだろうか…」
袁紹は問いかけますが、諸侯には誰一人として答えようとする者はいません。
鮑忠は自業自得だし、孫堅が負けたのは袁術が兵糧を送らなかったせいだよ。
まずは袁術さんが兵糧を送らなかった罪を責めないとっ!
そうですね。
でも袁紹は、そこには触れようとはしませんでした。
袁紹が諸侯を見渡すと、公孫瓚の後ろにいる人並みならぬ風貌をした3人の男が目に止まります。袁紹は「後ろの男は何者か?」と公孫瓚に訪ねました。
「彼は平原県令の劉備です。私とはかつて一緒に学んだ兄弟同然の間柄です」
公孫瓚が答えると、曹操も劉備に気づいて声をかけました。
「おおっ!共に黄巾賊と戦った劉備どのではないかっ!」
そして、公孫瓚に促された劉備が自らの功績と漢室の末裔であることを話すと、袁紹は劉備に敷物を勧めて諸侯の末席に加えました。
曹操さんは劉備さんのことを覚えてたんですねっ!
漢室の末裔パワー凄いっ!(笑)
華雄、2将を討ち取る
さて、そうこうしている間に今度は華雄が攻めてきたという報告が入ります。
物見の報告によると、華雄は長い竿の先に孫堅の赤い頭巾をかけ、陣の前で挑発しながら戦いを挑んでいるとのことでした。
袁紹が「誰が戦いに出るか!?」と呼びかけると、袁術の後ろから兪渉という男が名乗りを上げます。
袁紹は喜んで、兪渉に出撃を命じました。
相手は鮑忠さんと祖茂さんを一撃で倒してるから、気をつけてっ!
ですが、兪渉は華雄と3合と打ち合わないうちに討ち取られてしまいます。
諸侯があっけに取られていると、冀州刺史・韓馥が言いました。
「私の配下の潘鳳ならば、華雄を討ち取れるだろう」
潘鳳は大斧を手に意気揚々と出撃しますが、兪渉と同じくすぐに敗北の知らせが届きました。
華雄強すぎっ!(笑)
そうですね。
立て続けの敗北に、諸侯たちは言葉を失ってしまいました。
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関羽の出陣
関羽が名乗りを上げる
次に名乗り出る者がいないので、袁紹は「ここに顔良、文醜がおらぬのが残念だ…」とつぶやきます。
すると、
「私が華雄を討ち、その首を献上いたしましょうっ!」
袁紹の言葉も言い終わらないうちに、1人の男が大声を張り上げて進み出ました。
身の丈9尺(約208cm)、ヒゲの長さは2尺(約46cm)、鳳凰の目に蚕の眉、熟した棗のような赤い顔。劉備の義弟、関羽です。
お〜っ、関羽さんっ!
これまでの2人はかませ犬だったってことだね(笑)
公孫瓚が関羽を紹介すると、袁紹は関羽に官職を尋ねました。
「私は劉玄徳に従い、馬弓手*1を務めております」
これを聞いた袁術は、
「馬弓手*1ごときが調子に乗りおって、我らに将なしと侮るかっ!こやつをつまみ出せっ!」
と大いに怒りました。
これだから名門のボンボンは(笑)
袁術さんキライ。孫堅さんには兵糧を送らないし。
確かに感じが悪いですが、当時の当たり前の反応とも言えますよ。
脚注
*1 騎射を得意とする兵卒。馬弓手・歩弓手の名称は、漢代には存在しない。
曹操、関羽に酒を勧める
ここで曹操は袁術をなだめて「試しに出陣させてみてはどうか?」と袁紹に提案します。
「弓手なんぞを出陣させたとあっては、華雄に笑われてしまうぞ…」
袁紹が決断を渋っていると、曹操が言いました。
「この者の風体はとても一兵卒には見えないでしょう。華雄に笑われる心配はありません」
そして、
「もし負けたならば、私の首をお斬りくださいっ!」
と言う関羽に曹操は、出陣を認めて、景気づけに燗をつけた温かい酒を勧めました。
すると関羽は、
「戻ってからいただくことにしましょう」
と言い、青龍偃月刀を手にさっそうと馬にまだがって、陣を出て行きました。
曹操さんのお陰ですねっ!
どうせ一兵卒ならやられても惜しくはないと思ったんでしょ。
意外とそうかも…。
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関羽、華雄を斬る
関羽、華雄を瞬殺する
袁紹をはじめとする諸侯は、戦いの結果を知らせる伝令を固唾を飲んで待っていました。
すると兪渉・潘鳳の時と違って、陣太鼓の音に続いて大きな鬨の声が上がります。諸侯は皆、顔を見合わせて伝令の報告を待ちました。
そこへ、1騎の騎馬武者が駈けて来たかと思うと、無言で華雄の首を地面に放り投げます。諸侯の誰も見間違う者はいない、その騎馬武者こそは華雄を討ち取った関羽でした。
曹操が先程の酒を手にしたところ、酒はまだ温かいままです。
「見ろっ!酒はまだ湯気が出ているぞ。さあ飲み干すのだっ!」
関羽は曹操から酒を受け取ると、まだ温かい酒を一気に飲み干しました。
関羽さん強いっ!
瞬殺だねっ!
この「温酒斬華雄」のシーンは『三国志演義』の中でも屈指の名シーンです。
認められなかった手柄
これでめでたしめでたしと言いたいところですが、関羽の活躍に興奮した張飛がやらかしてしまいます。
「兄貴(関羽)が華雄を討ち取ったっ!今こそ汜水関に攻め込んで、董卓の奴を生け捕りにする好機だっ!」
浮かれた張飛が大きな声で叫ぶと、袁術が顔を真っ赤にして激怒します。
「たかだか県令の分際で手柄をひけらかすとはっ!こやつらをつまみ出せっ!」
あわてて曹操がなだめると、
「お前まで県令の肩を持つならば、私はこれで失礼するっ!」
と、袁術は十八路諸侯の連合を抜けるような素振りを見せる始末です。
しかたなく曹操は、公孫瓚に命じて劉備・関羽・張飛の3人を連れて、自分たちの陣に帰るように命じました。
また袁術かよ…。
これじゃ、黄巾の乱の時に董卓さんにされた仕打ちと同じだよっ!
本当にその通りですね。
諸侯が解散した後、曹操はこっそり人をやり、劉備・関羽・張飛の3人に牛肉と酒を届けさせました。
こういうとこが抜け目ないんだよな、曹操は(笑)
孫堅を打ち破った余勢を駆って攻め寄せた華雄に対し、瞬く間に2将を討ち取られた十八路諸侯には、なす術がありませんでした。
そこで名乗りを上げた劉備の義弟・関羽はみごと華雄を討ち取って、十八路諸侯の絶体絶命のピンチを救います。
ですが、県令配下の兵卒に過ぎない関羽の手柄を認めた諸侯は、公孫瓚と曹操しかいませんでした。
次回は十八路諸侯が、董卓と呂布が守る虎牢関に駒を進めます。
次回
【021】虎牢関の戦い:三英雄(劉備・関羽・張飛)が呂布と戦い敗走させる