黄巾の乱に続く各地の反乱が孫堅(そんけん)や劉備(りゅうび)たちの活躍で平定された頃、朝廷ではある出来事によって大きな混乱が起きようとしていました。

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霊帝の死と朝廷の混乱

何進と何皇后


タカオタカオ

前回は、劉備(りゅうび)が復活したところまででしたよね。

マリコマリコ

罪が許されて良かった…。張飛(ちょうひ)さん、もう暴れちゃダメですよっ!

王先生王先生

そうですね!
今回は、舞台が変わって朝廷でのお話になります。

ご確認

この記事は『三国志演義』に基づいてお話ししています。正史『三国志』における霊帝(れいてい)の崩御と朝廷の混乱については、こちらをご覧ください。

なぜ何進は董卓を洛陽に呼び寄せたのか?霊帝の崩御と朝廷の混乱

霊帝の遺言


マリコマリコ

確か、朝廷で大きな出来事が起こるんでしたよね。

王先生王先生

そうです。189年4月、病気で寝込んでいた霊帝(れいてい)が、とうとう亡くなってしまったんです。34歳でした。

タカオタカオ

まだ若いのにな。宴会ばっかりやってた不摂生が原因だな(笑)

王先生王先生

かもしれませんね(笑)
ところで、霊帝(れいてい)には2人の皇子がいたことを覚えていますか?

マリコマリコ

えっと…。何皇后(かこうごう)が生んだ辯(べん)くんと、王美人(おうびじん)が生んだ協(きょう)くんでしたっけ?

王先生王先生

正解です。さすがですね!

タカオタカオ

そぉ?常識やんっ!
王美人(おうびじん)が何皇后(かこうごう)に毒殺されたから、劉協(りゅうきょう)は董太后(とうたいごう)が面倒を見てたんだよね。

王先生王先生

はは…。タカオくんも正解ですよ。
その関係を図で表すと、このようになります。

霊帝の血縁関係

霊帝(れいてい)の血縁関係


マリコマリコ

ふむふむ…。
霊帝(れいてい)さんは後継者を決めていなかったんですか?

王先生王先生

そうなんです。ですが、霊帝(れいてい)は亡くなる直前に、劉協(りゅうきょう)に跡を継がせるように中常侍(ちゅうじょうじ)の蹇碩(けんせき)に遺言していました。

タカオタカオ

劉辯(りゅうべん)の方が年長なのにね。何皇后(かこうごう)が王美人(おうびじん)を毒殺してから、劉協(りゅうきょう)をかわいがるようになってたんだよね。

王先生王先生

その通りです。
霊帝(れいてい)の母親である董太后(とうたいごう)も、ずっと劉協(りゅうきょう)に跡を継がせるように言っていました。

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【004】十常侍に操られた霊帝の銅臭政治

何進暗殺計画


王先生王先生

霊帝(れいてい)から遺言された蹇碩(けんせき)は、劉協(りゅうきょう)を天子にするのに邪魔な何進(かしん)の暗殺を計画します。

タカオタカオ

何進(かしん)も何皇后(かこうごう)も、当然劉辯(りゅうべん)を天子にしようとするだろうからね。


蹇碩(けんせき)は何進(かしん)を暗殺するために、詔(みことのり)を出して何進(かしん)を宮中に呼び出しました。

ですが、何進(かしん)が宮門まで来ると司馬(しば)の潘隠(はんいん)が近づいてきて、何進(かしん)に蹇碩(けんせき)の企(たくら)みを知らせたのです。

何進(かしん)は急いで屋敷に戻って重臣を集めると「宦官たちを残らず討ち果たしてしまおう」と打ち明けました。

これに対して、

「朝廷中に蔓延(はびこ)る宦官を根絶やしにするのは簡単なことではありません。万一機密がもれれば、こちらが滅ぼされてしまいます。ご再考下さい」

と、忠告する者がいました。典軍校尉(てんぐんこうい)の曹操(そうそう)です。

ですが何進(かしん)は、

「お前のような若輩者に朝廷の大事は分からん!」

と、まともに聞こうとしませんでした。



マリコマリコ

お〜っ、曹操(そうそう)!
確か済南国(せいなんこく)の相(しょう)でしたよね。この時は朝廷にいたんだ。

王先生王先生

そうなんですよ。黄巾の乱から少し経ちますので、その間に人事にも変更がありました。

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正義感に燃える曹操の葛藤と挫折に悩む青年期

少帝の即位


王先生王先生

協議を続けていると、何進(かしん)に「後継者を決めるために参内せよ」という使者がきます。

マリコマリコ

絶対あやしいよ…。


これに対して曹操(そうそう)は「新しい天子を即位させる方が先決です」と言い、何進(かしん)もこれに同意します。

何進(かしん)は司隷校尉(しれいこうい)の袁紹(えんしょう)に武装させると、何顒(かぎょう)、荀攸(じゅんゆう)、鄭泰(ていたい)ら大臣30人あまりを引き連れて参内し、劉辯(りゅうべん)(少帝(しょうてい))を天子に即位させ、同時に何皇后(かこうごう)が皇太后(こうたいごう)として幼い少帝(しょうてい)の代わりに政治を行うことになりました。

さらに、即位の儀式が終わると袁紹(えんしょう)は、何進(かしん)を暗殺しようとした蹇碩(けんせき)を捕らえるために宮中に乗り込みます。

必死で逃げる蹇碩(けんせき)ですが、同じ中常侍(ちゅうじょうじ)の郭勝(かくしょう)によって殺されてしまいました。

勢いを得た袁紹(えんしょう)は、「これを機に宦官たちを一掃しましょう」と何進(かしん)に進言します。



タカオタカオ

曹操(そうそう)に袁紹(えんしょう)、この時の朝廷は豪華メンバーだな。

マリコマリコ

宦官たちの中にも派閥があったんですね。

王先生王先生

そうなんです。そして、これを見た張譲(ちょうじょう)は、蹇碩(けんせき)の企(たくら)みは自分たちには関係ないと、何太后(かたいごう)に泣きつきました。

マリコマリコ

張譲(ちょうじょう)って誰でしたっけ?

王先生王先生

十常侍(じゅうじょうじ)と呼ばれていた有力宦官たちのリーダー格の人物です。

タカオタカオ

霊帝(れいてい)は張譲(ちょうじょう)を父、趙忠(ちょうちゅう)を母と呼んで信頼していたんだよ。

マリコマリコ

そうだった…(笑)

王先生王先生

結局何進(かしん)は何太后(かたいごう)に張譲(ちょうじょう)たちを助けるように言われ、蹇碩(けんせき)の一族を処刑するだけで良しとしました。

タカオタカオ

せっかくのチャンスだったのに。

マリコマリコ

前にやった、竇武(とうぶ)さんと陳蕃(ちんはん)さんの時と同じですね。

王先生王先生

何太后(かたいごう)は特に、宦官の後押しによって皇后(こうごう)になっていますから、宦官を庇(かば)う気持ちは竇太后(とうたいごう)よりも強いでしょうね。

タカオタカオ

でもさ、霊帝(れいてい)は劉協(りゅうきょう)に継がせることを遺言してたんだから、宦官の方が正しいことをしてるんだよな。

マリコマリコ

暗殺なんて考えないで、普通に跡を継がせれば良かったのかも。

タカオタカオ

これはもう、どちらが主導権を握るかの戦いだから、どちらにせよ劉辯(りゅうべん)派と劉協(りゅうきょう)派の争いは避けられなかっただろうね。

王先生王先生

タカオくんの言うとおりです。
それだけ皇帝の権威が失墜していたということですね。

マリコマリコ

そっか…。

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【003】霊帝の即位と第二次党錮の禁

何太后と董太后の対立


タカオタカオ

これで、皇位継承問題は一応落ち着いたのかな?

王先生王先生

まだ納得していない人がいますよ。劉協(りゅうきょう)を養育していた董太后(とうたいごう)です。

マリコマリコ

霊帝(れいてい)のお母さんね!


董太后(とうたいごう)は、何太后(かたいごう)が朝廷でわがもの顔に振る舞っていることが許せません。

張譲(ちょうじょう)たちを呼びつけて相談すると、劉協(りゅうきょう)を陳留王(ちんりゅうおう)に封じ、甥(おい)の董重(とうちょう)を驃騎将軍(ひょうきしょうぐん)に任命して、張譲(ちょうじょう)たちに政務を仕切らせ始めました。

これに面白くないのが何太后(かたいごう)です。

何太后(かたいごう)は宴会を開いて董太后(とうたいごう)を招くと、「お互いに引き下がり、政務は大臣たちに任せましょう」と提案しました。

ですが、何太后(かたいごう)にその気がないことが分かってる董太后(とうたいごう)は一歩も引き下がりません。

それどころか、何太后(かたいごう)が頼りにしている何進(かしん)など、董重(とうちょう)に命じていつでも倒せると、何太后(かたいごう)を挑発しました。 



マリコマリコ

董重(とうちょう)と何進(かしん)ってどっちがエラいの?

タカオタカオ

そりゃ何進(かしん)でしょ。これはちょっと調子に乗りすぎたね、董太后(とうたいごう)も。

王先生王先生

そうですね。
何太后(かたいごう)からこのことを聞いた何進(かしん)は、さっそく対策に動き出します。


何進(かしん)は「董太后(とうたいごう)は地方の官吏から賄賂を受け取っている」と上奏し、洛陽(らくよう)を離れて故郷の河間郡(かかんぐん)(河間国(かかんこく))で謹慎させるように命じました。

また一方では、3,000の近衛兵で董重(とうちょう)の屋敷を包囲して驃騎将軍(ひょうきしょうぐん)の官印を取り上げると、観念した董重(とうちょう)は自(みずか)ら命を絶ってしまいます。

そして、何進(かしん)はひそかに人をやって、河間郡(かかんぐん)に向かう董太后(とうたいごう)を毒殺してしまいました。



マリコマリコ

董太后(とうたいごう)さんまで殺すことないのに。

タカオタカオ

敵対分子は徹底的に除いておかないと、あとあと自分たちが危険になるからね。

マリコマリコ

霊帝(れいてい)さんは劉協(りゅうきょう)くんに跡を継がせたかったのに、劉協(りゅうきょう)くんを支える人はいなくなっちゃったのね…。

王先生王先生

黙って劉協(りゅうきょう)に跡を継がせていたら、何進(かしん)たちが滅ぼされていましたからね。どちらが良い悪いは言えませんよ。


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宦官たちの逆襲と宦官一掃計画

宦官たちの逆襲と宦官一掃計画

宦官たちの逆襲


王先生王先生

董太后(とうたいごう)派が没落してしまうと、張譲(ちょうじょう)、段珪(だんけい)らは何太后(かたいごう)の兄・何苗(かびょう)と母・舞陽君(ぶようくん)に賄賂を贈り、またもや何太后(かたいごう)に近づきます。

タカオタカオ

宦官は節操がないなぁ、まったく〜。

マリコマリコ

何苗(かびょう)さんと舞陽君(ぶようくん)って初めて出てきましたよね。

王先生王先生

何進(かしん)と何苗(かびょう)は共に何太后(かたいごう)の兄に当たりますが、何進(かしん)は先妻の子、何苗(かびょう)は何太后(かたいごう)と同じく舞陽君(ぶようくん)の子になります。


何氏の家系図

何氏(かし)の家系図


マリコマリコ

ふむふむ。
何太后(かたいごう)さんと何苗(かびょう)さんは舞陽君(ぶようくん)さんを通して血のつながりがあるけど、何進(かしん)さんとは血のつながりがないのかぁ。

タカオタカオ

この場合、同じ兄弟でも親密度が全然違うね。こりゃ何進(かしん)は孤立したな…。

マリコマリコ

でもこれで霊帝(れいてい)さんが亡くなる前の状態に近くなったのかな。もともと宦官もいたんだし。

王先生王先生

ところがそうはいかなかったんです。
何太后(かたいごう)に取り入った張譲(ちょうじょう)・段珪(だんけい)らは「何進(かしん)が董太后(とうたいごう)を毒殺をした」と言いふらし、何進(かしん)に敵対する態度を取ったんです。

タカオタカオ

宦官たちも1回、何進(かしん)に殺されかけてるからな。

宦官一掃計画


王先生王先生

そのことを知った袁紹(えんしょう)は「今宦官たちをことごとく除かなければ、後日きっと後悔します」と、再び宦官を一掃することを提案します。


ですが、この袁紹(えんしょう)の提案は、密告によって張譲(ちょうじょう)たちの知るところとなってしまいました。

そして、張譲(ちょうじょう)はまたも何苗(かびょう)に賄賂を贈って何太后(かたいごう)に働きかけます。

「大将軍(だいしょうぐん)(何進(かしん))は残忍なことばかり考えております。理由もなく十常侍(じゅうじょうじ)を殺そうとするのは、乱の始まりとなりましょう」

何苗(かびょう)がこう言うと、何太后(かたいごう)も同意しました。


ほどなくして参内した何進(かしん)は、何太后(かたいごう)に宦官一掃の計画を打ち明けますが、何苗(かびょう)に言い含められている何太后(かたいごう)はこの申し出を認めません。

何進(かしん)は返す言葉もなく退出し、「どうしたものか?」と袁紹(えんしょう)に相談します。

すると袁紹(えんしょう)は、「地方の豪族を呼び集め、その兵をもって宦官たちを討ち果たしましょう」と提案し、何進(かしん)も同意して諸豪族を呼び寄せることに決めました。


これを聞いた主簿(しゅぼ)の陳琳(ちんりん)は、

「宦官を滅ぼすのなら、速やかに兵を発して討つべきです。地方の豪傑たちが集まれば、それこそ大きな災いとなります」

と諫言(かんげん)しましたが、何進(かしん)は相手にしません。



タカオタカオ

オレも陳琳(ちんりん)に賛成だな。一気に滅ぼしてしまえば、あとで何太后(かたいごう)には何とでも言えるでしょ。

マリコマリコ

でも、竇武(とうぶ)さんと陳蕃(ちんはん)さんの時のこともあるし…。

王先生王先生

何太后(かたいごう)も何苗(かびょう)も宦官擁護ですから、何苗(かびょう)を大将軍(だいしょうぐん)にして何進(かしん)が逆賊にされる可能性だってありますよ。

タカオタカオ

むむ…。
袁紹(えんしょう)の策はあながち的外れでもないのか。

王先生王先生

どうでしょうねぇ。
そこへ、大声で笑いながら進み出る1人の男がいます。曹操(そうそう)です。

マリコマリコ

曹操(そうそう)さん、なにか名案があるのかな?

王先生王先生

残念っ!
「曹操(そうそう)ははたして何を言い出すのでしょうか?」というところで、『三国志演義』の第2回が終わります。

タカオタカオ

くぅ〜、いつも良いところで終わるなぁ。

王先生王先生

次回も楽しみにしていてくださいね。

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マリコちゃんのメモ帳


マリコマリコ

今回は少しややこしいので、もう一度おさらいしておきましょう!

  1. 霊帝が亡くなる

    霊帝(れいてい)が「劉協(りゅうきょう)を帝位につける」ように蹇碩(けんせき)に遺言する。

    蹇碩(けんせき)が何進(かしん)の暗殺に失敗する。(蹇碩(けんせき)が犯人だとバレる)

  2. 少帝(劉辯)が即位する

    何進(かしん)が強引に劉辯(りゅうべん)を即位させる。
    袁紹(えんしょう)が蹇碩(けんせき)を追い詰めて、蹇碩(けんせき)は仲間の郭勝(かくしょう)に殺される。

  3. 宦官一掃計画(1回目)

    袁紹(えんしょう)の進言によって、何進(かしん)が宦官を皆殺しにしようとする。
    何太后(かたいごう)が張譲(ちょうじょう)たちを庇(かば)ったため、何進(かしん)は宦官一掃を諦(あきら)める。

  4. 何太后と董太后の対立

    張譲(ちょうじょう)たちが董太后(とうたいごう)の味方をして、董太后(とうたいごう)の力が強くなる。
    何進(かしん)が董重(とうちょう)を自殺に追い込み、董太后(とうたいごう)を毒殺する。

  5. 張譲たちが何太后に取り入る

    張譲(ちょうじょう)たちが舞陽君(ぶようくん)と何苗(かびょう)に賄賂を贈って、再度何太后(かたいごう)に取り入る。
    張譲(ちょうじょう)たちが「何進(かしん)が董太后(とうたいごう)を毒殺した」と言いふらす。

  6. 宦官一掃計画(2回目)

    袁紹(えんしょう)がもう一度宦官の一掃を提案する。
    何進(かしん)が何太后(かたいごう)に許可を求めるが、許されず。

  7. 諸豪族を招く

    袁紹(えんしょう)が諸豪族の兵で宦官を討つことを提案し、何進(かしん)が了承する。
    陳琳(ちんりん)が反対する。
    曹操(そうそう)が進み出る。


十常侍(じゅうじょうじ)をはじめとする宦官たちの行いによって、政治は腐敗し、民は困窮して「黄巾の乱」が引き起こされました。

宦官たちの存在が諸悪の根源であることは、誰の目にも明らかだったのです。

何進(かしん)は霊帝(れいてい)の死の混乱に乗じて宦官の一掃を計画し、諸豪族を洛陽(らくよう)に呼び寄せてしまいます。

ですがこのことは、さらに大きな混乱を招くことになりました。

次回

【012】十常侍たちの謀略にハマった何進と決行された宦官一掃計画

三国志演義の解説を順番に読もう!

 三国志演義教室【目次】