劉備と孫権が初めて会見した京城会見と荊州の江南4郡の領有権

建安（けんあん）15年（210年）に劉備（りゅうび）が自（みずか）ら京城（けいじょう）（京口（けいこう））に赴（おもむ）いて孫権（そんけん）と会見した「京城（けいじょう）会見」と、この時孫権（そんけん）が劉備（りゅうび）に貸したとされている荊州（けいしゅう）の江南（こうなん）4郡の領有権についてまとめています。

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孫権と劉備の京城会見

旧劉表の吏卒の投降

建安（けんあん）14年（209年）末、荊州（けいしゅう）・南郡（なんぐん）・江陵県（こうりょうけん）の曹仁（そうじん）を敗走させ、孫権（そんけん）から南郡太守（なんぐんたいしゅ）に任命された周瑜（しゅうゆ）は、南郡（なんぐん）の長江（ちょうこう）南岸の地域を割（さ）いて劉備（りゅうび）に与えました。

そして劉備（りゅうび）が南郡（なんぐん）の油江口（ゆこうこう）に別に陣営を構え、油江口（ゆこうこう）の名を公安県（こうあんけん）と改めると、元は劉表（りゅうひょう）の吏卒（りそつ）でありながら曹操（そうそう）に従わされていた者たちの多くが、裏切って劉備（りゅうび）の下（もと）に投降して来ました。

荊州（けいしゅう）の配置

※上記地図では分かりにくくなっていますが、公安県（こうあんけん）は南郡（なんぐん）に属します。

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孫権と劉備の京城会見

建安（けんあん）15年（210年）、荊州（けいしゅう）・南郡（なんぐん）・公安県（こうあんけん）に陣営を構えた劉備（りゅうび）の下（もと）に「元劉表（りゅうひょう）の吏卒（りそつ）たち」が投降して来ると、周瑜（しゅうゆ）にあてがわれた土地だけでは住民を落ち着かせるには不充分となったので、劉備（りゅうび）は自（みずか）ら京城（けいじょう）（京口（けいこう））*¹に赴（おもむ）き、孫権（そんけん）に「荊州（けいしゅう）の都督（ととく）とならせて欲しい」と求めました。

この時、魯粛（ろしゅく）だけが「荊州（けいしゅう）の土地を劉備（りゅうび）に貸し与え、共同して曹操（そうそう）を拒（しりぞ）けるのが良い」と孫権（そんけん）に勧め、孫権（そんけん）は即座にこの意見に従って劉備（りゅうび）に荊州（けいしゅう）の数郡を貸し与えます。

ちょうど手紙を書いていた時に「孫権（そんけん）が土地を分け与えて劉備（りゅうび）の後ろ楯（だて）となった」との知らせを聞いた曹操（そうそう）は、手に持っていた筆を床に取り落としました。

脚注

*¹揚州（ようしゅう）・呉郡（ごぐん）・丹徒県（たんとけん）。孫権（そんけん）が呉県（ごけん）から移り住んだ際に「京城（けいじょう）」と名を改めた。京口（けいこう）とも言う。

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江南4郡の領有権と孫権と劉備の関係

劉備はどこを借りたのか

以上は『呉書（ごしょ）』魯粛伝（ろしゅくでん）と『蜀書（しょくしょ）』先主伝（せんしゅでん）が注に引く『江表伝（こうひょうでん）』を基（もと）にしています。

この「京城（けいじょう）会見」については『蜀書（しょくしょ）』先主伝（せんしゅでん）にも記述がありますが、

「先主（せんしゅ）（劉備（りゅうび））は京城（けいじょう）（京口（けいこう））に行って孫権（そんけん）と会見し、極（きわ）めて親密な間柄となった」

とあるだけで、劉備（りゅうび）が孫権（そんけん）からどこを借りたのかは明記されていません。

ただその後の記述に、

• 『呉書（ごしょ）』魯粛伝（ろしゅくでん）には「孫権（そんけん）が劉備（りゅうび）に長沙郡（ちょうさぐん）・零陵郡（れいりょうぐん）・桂陽郡（けいようぐん）（・武陵郡（ぶりょうぐん））を貸し与えた」こと
• 『呉書（ごしょ）』程普伝（ていふでん）には「（周瑜（しゅうゆ）の死後、）孫権（そんけん）が劉備（りゅうび）に荊州（けいしゅう）（南郡（なんぐん））を与えた」こと

が記（しる）されていることから、

• 「京城（けいじょう）会見」の際に武陵郡（ぶりょうぐん）・長沙郡（ちょうさぐん）・零陵郡（れいりょうぐん）・桂陽郡（けいようぐん）の江南（こうなん）4郡
• 周瑜（しゅうゆ）の死後に南郡（なんぐん）の北岸地域（南郡（なんぐん）全体）

が、孫権（そんけん）から劉備（りゅうび）に貸し与えられていたと推測することができます。

『呉書（ごしょ）』魯粛伝（ろしゅくでん）と『呉書（ごしょ）』程普伝（ていふでん）の記述・全文

ではなぜ、劉備（りゅうび）が征討・降伏させたはずの江南（こうなん）4郡が、「孫権（そんけん）が劉備（りゅうび）に貸した」ことにされているのでしょうか。

孫権陣営の認識

『呉書（ごしょ）』周瑜伝（しゅうゆでん）にある、劉備（りゅうび）が京（けい）（京城（けいじょう））を訪（おとず）れた際の周瑜（しゅうゆ）の進言から、孫権（そんけん）陣営で劉備（りゅうび）の立場をどう認識していたのかを窺（うかが）い知ることができます。

『呉書（ごしょ）』周瑜伝（しゅうゆでん）

劉備（りゅうび）が京（けい）（京城（けいじょう））までやって来て孫権（そんけん）に目通りした際、周瑜（しゅうゆ）は上疏（じょうそ）して言った。

「劉備（りゅうび）は梟雄（きょうゆう）（残忍で勇猛な人物）の資質を備（そな）え、しかも関羽（かんう）や張飛（ちょうひ）といった勇猛無比の将を部下に持っておりますので、いつまでも人の下に屈（くっ）し、他人の命令に従ってはいないでしょう。

愚考（ぐこう）いたしますに、遠い将来を見通して劉備（りゅうび）を呉（ご）に移し置かれ、彼のために盛大な宮殿を建てて、そこに多数の美女や愛玩物を集めてその耳目を楽しませてやり、一方では関羽（かんう）と張飛（ちょうひ）の2人を分けて別々の地方に配置し、例えば私のような者が彼らを手足として使って戦いを進めれば、天下統一の大事業も、その成功は確かなものとなります。

もし今、みだりに土地を割（さ）き与えて劉備（りゅうび）の基盤を作ってやり、この3人を一緒にして国境地帯におらせますならば、蛟龍（こうりょう）（水中に潜（ひそ）む龍）が雲雨を得て天に昇りますように、おそらくはいつまでも池の中に留（とど）まってはおらぬでありましょう」

孫権（そんけん）は、曹公（そうこう）（曹操（そうそう））が北方にあることから、なるべく多くの英雄を手懐（けなず）ける必要があると考えていたが、劉備（りゅうび）はどんなことをしても結局は自分の下（もと）を離れていくであろうと考えて、周瑜（しゅうゆ）の進言を納（い）れなかった。

この中で、周瑜（しゅうゆ）が「劉備（りゅうび）はいつまでも人の下に屈（くっ）し、他人の命令に従ってはいないでしょう」と言っていることから、孫権（そんけん）陣営では「劉備（りゅうび）主従を従属勢力と見なしていた」ことが分かります。

つまり、孫権（そんけん）に従属していた劉備（りゅうび）が征討・降伏させた江南（こうなん）4郡は、当然「孫権（そんけん）のものである」という認識だったのです。

豆知識

建安（けんあん）4年（199年）の孫策（そんさく）の上奏文に、

• 江夏太守（こうかたいしゅ）・行（こう）建威中郎将（けんいちゅうろうしょう）の周瑜（しゅうゆ）
• 領（りょう）桂陽太守（けいようたいしゅ）・行（こう）征虜中郎将（せいりょちゅうろうしょう）の呂範（りょはん）
• 領（りょう）零陵太守（れいりょうたいしゅ）・行（こう）蕩寇中郎将（とうこうちゅうろうしょう）の程普（ていふ）

とあります。

これが孫権（そんけん）の「江南（こうなん）4郡の領有権の主張」の根拠となっている可能性も考えましたが、当時は長沙太守（ちょうさたいしゅ）・張羨（ちょうせん）が、

• 長沙郡（ちょうさぐん）
• 零陵郡（れいりょうぐん）
• 桂陽郡（けいようぐん）

の3郡を挙（あ）げて劉表（りゅうひょう）に反乱を起こしており、後に劉表（りゅうひょう）がこれを鎮圧しています。

これらの官職は、荊州（けいしゅう）を欲する孫策（そんさく）が上奏し、劉表（りゅうひょう）と敵対していた曹操（そうそう）が認めた名目上のもので、孫策（そんさく）によって実効支配がなされていたわけではありません。

孫権（そんけん）はすでに劉備（りゅうび）が荊州牧（けいしゅうぼく）となることを認めていますので、官職を理由に領有権を主張するのならば、荊州（けいしゅう）は劉備（りゅうび）に帰すべきものとなってしまうことから、却下しました。

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孫権と劉備の関係

劉備（りゅうび）と孫権（そんけん）が直接会うのは、この「京城（けいじょう）会見」が初めてです。また、「赤壁（せきへき）の戦い」の前に劉備（りゅうび）が孫権（そんけん）に派遣した諸葛亮（しょかつりょう）も「対等な同盟者」としての立場を貫（つらぬ）いており、「劉備（りゅうび）が孫権（そんけん）に従属した」と、直接言及する記述はありません。

ですが、その後劉備（りゅうび）と周瑜（しゅうゆ）が初めて出会った時に、興味深いやり取りがなされています。

周瑜（しゅうゆ）・程普（ていふ）・魯粛（ろしゅく）らが水軍3万を率（ひき）いて樊口（はんこう）で待つ劉備（りゅうび）と合流した際、周瑜（しゅうゆ）は、

「軍の任務がありますから、持ち場を離れることができません。もし曲げて（劉備（りゅうび）が）おいでくださるならば、心を込めてご希望に沿（そ）うようにいたしましょう」

と言い、自分から劉備（りゅうび）の元に出向こうとしませんでした。

孫権（そんけん）と劉備（りゅうび）が対等であるならば、孫権（そんけん）の配下である周瑜（しゅうゆ）の方が劉備（りゅうび）の元に出向くのが礼儀です。劉備（りゅうび）はこれを不満に思いましたが、実利を取って周瑜（しゅうゆ）の元に出向きました。

この時、孫権（そんけん）はすでに曹操（そうそう）から宣戦布告を受けており、劉備（りゅうび）の求めがなくとも曹操（そうそう）との対決は避けられないものでした。周瑜（しゅうゆ）の言葉は丁寧ではありますが、その裏には、

「孫権（そんけん）と劉備（りゅうび）は対等ではない。もし膝（ひざ）を屈して孫権（そんけん）に従うならば助けてやろう」

という意味が込められていたのではないでしょうか。

南郡太守（なんぐんたいしゅ）に任命された周瑜（しゅうゆ）が、自分の任地である南郡（なんぐん）の長江（ちょうこう）南岸の地域を割（さ）いて劉備（りゅうび）に与えたのも、当時、劉備（りゅうび）主従が周瑜（しゅうゆ）の麾下（きか）に属していたことの現れのように思えます。

豆知識

『蜀書（しょくしょ）』先主伝（せんしゅでん）が注に引く『山（さん）陽（よう）公（こう）載（さい）記（き）』に、

「劉備（りゅうび）は（京城（けいじょう）から）帰還する時、側近の者に『孫車騎（そんしゃき）（孫権（そんけん））は上の者を大切にし、下の者を粗末に扱う人だから、あの人の下につくことは難しい。私はもう2度と彼とは会うまい』と言って、夜をついで戻った」

とあることからも、劉備（りゅうび）は1度は孫権（そんけん）の下につくことを了承してはいたものの、孫権（そんけん）の人となりを見て考えを改めたように思えます。

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京城会見の目的と結果

京城会見の目的

劉備（りゅうび）の思惑

建安（けんあん）13年（208年）、長坂ちょうはんで曹操（そうそう）に敗北した劉備（りゅうび）は、孫権（そんけん）の元に諸葛亮（しょかつりょう）を派遣して「共に曹操（そうそう）と戦う」ことを求め、孫権（そんけん）はこの要請に応じて「周瑜（しゅうゆ）が率（ひき）いる水軍3万」を派遣し、赤壁せきへきで曹操（そうそう）軍を破りました。

その後劉備（りゅうび）は、周瑜（しゅうゆ）と共に曹操（そうそう）軍を追撃しましたが、周瑜（しゅうゆ）が荊州（けいしゅう）・南郡（なんぐん）・江陵県（こうりょうけん）の攻撃を始めると、行動を共にしていた劉表（りゅうひょう）の長子・劉琦（りゅうき）を荊州刺史（けいしゅうしし）に任命することで「荊州（けいしゅう）を支配する正当性」を担保（たんぽ）し、荊州（けいしゅう）・江南（こうなん）の征討に赴（おもむ）いて江南（こうなん）4郡をすべて降伏させます。

そして、建安（けんあん）14年（209年）に劉琦（りゅうき）が亡くなると、元劉表（りゅうひょう）の吏卒（りそつ）たちを取り込んで着々と荊州（けいしゅう）南部の支配を固めていきました。

このように「赤壁せきへきの戦い」後の劉備（りゅうび）は、独立勢力として拠（よ）って立つ地盤として荊州（けいしゅう）の支配を確立しようとしているように見えます。

劉備（りゅうび）は一時的に孫権（そんけん）の下につくことを了承したものの、独立することを諦（あきら）めてはいなかったのです。

劉備（りゅうび）の目的

ところが、翌年の建安（けんあん）14年（209年）末、周瑜（しゅうゆ）と劉備（りゅうび）が荊州（けいしゅう）・南郡（なんぐん）・江陵県（こうりょうけん）を陥落させ、孫権（そんけん）が揚州（ようしゅう）・九江郡（きゅうこうぐん）・合肥国（がっぴこく）の包囲を解（と）いて帰還すると、孫権（そんけん）は周瑜（しゅうゆ）を南郡太守（なんぐんたいしゅ）に任命し、周瑜（しゅうゆ）は南郡（なんぐん）の長江（ちょうこう）南岸の地域を割（さ）いて劉備（りゅうび）に与えました。

そして孫権（そんけん）は、あろうことか劉備（りゅうび）が得たはずの荊州（けいしゅう）・長沙郡（ちょうさぐん）の下雋県（かしゅんけん）、漢昌県（かんしょうけん）、劉陽県（りゅうようけん）を奉邑（ほうゆう）として周瑜（しゅうゆ）に与えてしまったのです。

これに危機感を感じた劉備（りゅうび）は「周瑜（しゅうゆ）にあてがわれた土地だけでは住民を落ち着かせるには不充分である」ということを口実として、孫権（そんけん）に「荊州（けいしゅう）の江南（こうなん）4郡と、あわよくば荊州（けいしゅう）全域の支配権」を認めさせようと、京城（けいじょう）会見に臨（のぞ）んだのではないでしょうか。

豆知識

『資治通鑑（しじつがん）』には、

劉備（りゅうび）は公安（こうあん）に還（かえ）って久しくしてからこのこと（周瑜（しゅうゆ）が劉備（りゅうび）主従を完全に取り込むように進言したこと）を聞き、嘆息（たんそく）して、

「天下の智謀の士は、考えることは同じだな。孔明（こうめい）（諸葛亮（しょかつりょう））は私を諫（いさ）めて『行ってはいけない』と言ったが、こうなることを憂慮（ゆうりょ）していたのだ。危急のため行かない訳（わけ）にはいかなかったが、これは誠（まこと）に険塗（けんと）（険（けわ）しい路）であり、危（あや）うく周瑜（しゅうゆ）の手から免（まぬか）れられなくなるところだった」

と言った。

とあります。

このことからも、劉備（りゅうび）が「このままでは、なし崩（くず）し的に孫権（そんけん）に江南（こうなん）4郡を奪われてしまう」ことを恐れ、危険を冒（おか）すことを承知で孫権（そんけん）との会見に臨（のぞ）んでいたことが分かります。

京城会見の結果

周瑜（しゅうゆ）の進言

劉備（りゅうび）が孫権（そんけん）と会見して「荊州（けいしゅう）の支配権」を求めると、周瑜（しゅうゆ）は前述のように「劉備（りゅうび）はいつまでも人の下に屈（くっ）し、他人の命令に従ってはいない」と言い、劉備（りゅうび）を呉（ご）に移し置き、劉備（りゅうび）主従を解体して完全に孫権（そんけん）陣営に取り込むことを進言しました。

魯粛（ろしゅく）の進言

この時呂範（りょはん）もまた「劉備（りゅうび）をこのまま呉（ご）に留（とど）めておくように」と孫権（そんけん）に勧めましたが、魯粛（ろしゅく）が反対して言いました。

「それはいけません。将軍（しょうぐん）（孫権（そんけん））は神の如（ごと）き武略を持つ1代の英雄ではあられますが、曹公（そうこう）（曹操（そうそう））の威声と実力は真（まこと）に大きいのでございます。ただ、曹公（そうこう）（曹操（そうそう））は荊州（けいしゅう）を領有するようになったばかりで、その地に彼の恩義や信頼関係がまだ充分には行き渡っておりません。

今、荊州（けいしゅう）を劉備（りゅうび）に貸し与えられて、彼にその地の人々を手懐（てなず）けさせるのがよろしいでしょう。曹操（そうそう）の敵を多くし、味方の勢力を協力にするのが最上の計略でございます」

その結果、孫権（そんけん）は「劉備（りゅうび）はどんなことをしても結局は自分の下（もと）を離れていくであろう」と考えて周瑜（しゅうゆ）の進言を却下し、魯粛（ろしゅく）の進言を採用しました。

豆知識

劉備（りゅうび）が曹操（そうそう）を頼った際、曹操（そうそう）は劉備（りゅうび）配下の糜竺（びじく）を嬴郡太守（えいぐんたいしゅ）に、糜竺（びじく）の弟の糜芳（びほう）を彭城相（ほうじょうしょう）に取り立てましたが、結局2人とも劉備（りゅうび）に従って曹操（そうそう）の下（もと）を去りました。

劉備（りゅうび）の独立

「荊州（けいしゅう）全域の支配権」を求める劉備（りゅうび）に対し孫権（そんけん）は、魯粛（ろしゅく）の進言を採用して劉備（りゅうび）の独立を認め、荊州（けいしゅう）の江南（こうなん）4郡を貸し与えることにしました。

この京城（けいじょう）会見の結果劉備（りゅうび）は、荊州（けいしゅう）の江南（こうなん）4郡を借りる形とはなったものの、晴れて孫権（そんけん）の掣肘（せいちゅう）を脱し、独立勢力として認められたのです。

魯粛（ろしゅく）の進言は「劉備（りゅうび）主従に荊州（けいしゅう）を貸し与え、曹操（そうそう）の敵を増やす」というものですが、この時点では劉備（りゅうび）と曹操（そうそう）は領地を接していません。劉備（りゅうび）と曹操（そうそう）が領地を接するようになるのは、南郡太守（なんぐんたいしゅ）である周瑜（しゅうゆ）が亡くなった後のこととなります。