劉備・関羽・張飛の活躍で呂布が敗走すると、董卓は洛陽を放棄して長安に都を遷しました。
いよいよ十八路諸侯が洛陽に入ります。
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目次
十八路諸侯が洛陽に入る
前回は、董卓が長安に都を遷したところまででしたよね。
洛陽の街が焼かれて、たくさんの人が殺されちゃった…。
そうでしたね。
今回は、いよいよ十八路諸侯が洛陽に入ります。
ご確認
この記事は『三国志演義』に基づいてお話ししています。この記事でお話ししている内容は、『三国志演義』の創作になります。
創作の元になった出来事
汴水(べんすい)の戦い。曹操の敗北と酸棗(さんそう)諸将の解散
十八路諸侯、2関に入る
さて今回は、董卓が洛陽を放棄した後の十八路諸侯の動きから始めましょう。
虎牢関を守っていた董卓が洛陽に撤退すると、劉備・関羽・張飛をはじめとする8軍の諸侯は虎牢関に入りました。
一方、董卓が洛陽を放棄したことを知った守将の趙岑も汜水関を明け渡したので、汜水関を攻撃していた諸侯たちも関に入ります。
そして、先鋒を任されていた孫堅は、真っ先に洛陽に向かいました。
2つとも戦わないで手に入れられたんですねっ!
それにしても孫堅はせっかちだなぁ(笑)
忠義の心の現れだよ。
洛陽はもう火の海なのにな…。
そうですね。でもまだこの時の孫堅には知るよしもありませんでした。
十八路諸侯、洛陽に入る
洛陽に向かった孫堅は、変わり果てた洛陽の様子に愕然とします。
孫堅が洛陽に着いてみると、洛陽の都は天をも焦がす炎につつまれ、地面は黒い煙で覆われていて、200〜300里の周囲には人影も見えませんでした。
これを見た孫堅はすぐに兵に消火を命じます。
そして洛陽の火が一通り消えた頃、袁紹をはじめとする十八路諸侯が到着し、思い思いに兵を休ませました。
ほっと一息ですね。
一息ついてる場合かねぇ?オレなら董卓が体勢を立て直す前に追撃をかけるねっ!
十八路諸侯の中にも、タカオくんと同じように考えている人がいましたよ。
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曹操の追撃戦
曹操の出陣
おのおの兵を休ませていると、曹操が袁紹のもとを訪れました。
「董卓が西に逃げた今こそ、勢いに乗じて追撃する好機っ!本初*1どのはなぜ追撃の号令をかけないのですか?」
曹操が尋ねると、袁紹は言いました。
「諸侯らは疲れているのだ。まずは兵を休ませてから、改めて進軍するほうが良い」
そして、周りにいた諸侯たちも口々に袁紹に同意します。
これを聞いた曹操は、
「豎子ともに謀るに足らずっ!」
(考えの浅い小僧とは、重大なことを一緒に相談できない)
と吐き捨てると、その夜のうちに夏侯惇、夏侯淵、曹仁、曹洪、李典、楽進を従えて、自らの1万の兵だけで董卓の追撃を開始しました。
やっぱり曹操かっ!まあ、曹操か孫堅のどっちかだと思ってたけど(笑)
孫堅さんは?
孫堅さんなら一緒に行ってくれるんじゃない?
おそらく孫堅は、その場にいなかったのかもしれませんね。
脚注
*1 袁紹(えんしょう)の字
董卓の罠
一方、長安に向かった董卓が滎陽県に差しかかると、太守*1の徐栄が出迎えました。
ここで李儒が一計を案じます。
「そろそろ賊が追っ手を差し向けてくる頃でしょう。我々も敵の追撃に備える必要があります」
李儒は徐栄に滎陽県城外の山陰に兵を伏せ、敵をやり過ごしてから退路をふさぐように提案します。
董卓が率いる本隊と徐栄の軍で、敵をはさみ撃ちにしようという作戦です。
この作戦に同意した董卓は、呂布に精兵を与えて本隊の最後尾につけ、敵の攻撃に備えました。
李儒は要注意だな。
曹操さん、大丈夫だよね…?
脚注
*1 実際には滎陽太守(けいようたいしゅ)という官職はありません。『三国志演義』では、官職や地名が史実と異なることが多々あります。
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曹洪、曹操を扶け大河を越す
堂組連中のやぐら(枡合左側面)
画像引用元:やぐら51 / http://yagulla.web.fc2.com/dougumirenzyu.html
※ 引用元サイト様が常時SSL化(https化)されていないため直接リンクを張っておりません。ご了承ください。
曹操の敗北
罠が仕掛けられているとはつゆ知らず、曹操の軍勢が董卓の本隊に追いつきました。
呂布は内心ほくそ笑みながら部隊を散開させると、曹操軍からは夏侯惇が呂布に挑みます。
夏侯惇が呂布と打ち合っていると、左手の方から李傕の部隊が、右手の方から郭汜の部隊が現れたので、曹操はそれぞれ夏侯淵と曹仁を当たらせました。
そして、もともと1万の軍勢に過ぎない曹操軍は徐々に押され始め、呂布を支えきれなくなった夏侯惇が敗走すると、曹操軍は総崩れとなりました。
あちゃ〜っ!
追撃が完全に読まれてたからな…。
総崩れとなった曹操軍は、滎陽県を目指して退却します。
あっ!そっちは…!!
伏兵・徐栄
曹操軍が山のふもとに差しかかった時、曹操は兵を休めて逃げ遅れた兵を呼び集めました。
そして、曹操軍が食事の準備を終えた頃、四方から鬨の声がわき起こり、伏せていた徐栄の兵が襲いかかります。
曹操は急いで馬に乗って突破を試みますが、自らも肩に矢を受け、敵兵に馬を突き倒されて落馬してしまいました。
えぇ〜っ!ここで死んじゃうの!?曹操さんっ!
まさかっ!(笑)
大丈夫ですよっ!マリコさん、安心してください。
月下の逃走
曹操が「もはやこれまで」と観念したちょうどその時、1人の騎馬武者が敵兵を斬り倒し、曹操を救い出しました。曹操の従弟の曹洪です。
曹洪はすぐに馬を降り、曹操に馬を勧めます。
「私はここで死ぬ。お前だけでも逃げのびよ…」
矢傷を受けて疲れ切っていた曹操が断ると、曹洪が続けて言いました。
「天下にとって私ごときはいなくても何も変わりません。ですが、あなた様には生きていただかねばなりませんっ!」
曹操は「この恩は忘れぬっ!」と馬に乗り、曹洪は徒歩でつき従いました。
ふぅ…。これで安心ね。
まあ、助かるわな(笑)
でも、安心するのはまだ早いですよっ!
しばらく進むと目の前に大きな川が2人の行く手をふさぎ、後方からは徐栄の追っ手が迫ってきます。
曹操はまた「もはやこれまで…」とがっくりとうなだれました。
すると曹洪は、曹操の甲冑を脱がせて背負うと、泳いで川を渡り始めます。
2人が向こう岸にたどり着いた頃、やっと追いついた徐栄の追っ手が対岸から矢を射かけますが、曹操と曹洪はなんとか逃げのびることができました。
すごい頼りになるね、曹洪さん。
反対に曹操は、めっちゃ弱気(笑)
30里程進んだところで2人が休んでいると、遠くから1隊の人馬が近づいて来るのが見えます。
きっと味方だねっ!
夏侯惇か夏侯淵かな?
残念…。
遠目に人馬の旗印を見ると、それは徐栄の部隊でした。徐栄が川を渡って追って来たんですね。
えぇ〜!まだ追ってくるのっ!?
曹操も曹洪も疲れ果て、もはや戦う気力さえ残っていませんでした。
ですがその時っ!
「ご主君を守るのだっ!」
声のする方を見ると、10数騎の騎兵が徐栄軍に向かっていきました。夏侯惇と夏侯淵です。
そして、徐栄と一騎打ちを演じた夏侯惇は数合で徐栄を突き倒し、残りの兵を敗走させました。
おぉ〜っ!
さすが夏侯惇っ!夏侯惇なら華雄にも勝てたんじゃない?
そこはやっぱり関羽さんが活躍しないとっ!
しばらくすると曹仁、李典、楽進も合流し、曹操は敗残兵500人余りを率いて退却しました。
1万人が500人になっちゃったんだ…。
でも曹操って、董卓暗殺の時といい、大口叩いて失敗するキャラが定着してるな(笑)
タカオくんも追撃するべきだって言ってたくせに…
それは諸侯全員での話だよ。曹操1人で勝てるわけないやんっ!
タカオくんは面白いですね(笑)
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豆知識
徐栄が退却する曹操を待ち伏せた滎陽県は、実際は洛陽の東にあり、洛陽から長安に向かう董卓が通りかかる位置にはありません。
『三国志演義』は、お話を面白くするために史実の出来事の時系列を前後させることがあります。
今回のエピソードは、元になった「汴水の戦い」の舞台をそのまま使用しているため、洛陽の西に滎陽県があるように感じてしまうのです。
汴水の戦い
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汴水(べんすい)の戦い。曹操の敗北と酸棗(さんそう)諸将の解散
劉備・関羽・張飛の活躍によって呂布が敗走すると、董卓は洛陽を焼きつくして長安に向かいました。
これは、追撃をして董卓に大打撃を与える絶好の機会ですが、十八路諸侯の盟主・袁紹は動こうとしません。
これに業を煮やした曹操は単独で追撃を敢行しますが、李儒の計略によって大敗北を喫してしまいました。
次回は、目的を果たすことなく十八路諸侯が解散してしまいます。
次回
【024】孫堅が伝国の玉璽を手に入れる。十八路諸侯の解散と孫堅と劉表の戦い