義兄弟の誓いを立てた劉備・関羽・張飛の3人は、義勇兵の募集に応じて校尉・鄒靖の元を訪れます。
後漢の衰退を憂えて立ち上がった劉備たち義勇軍の戦いを見てみましょう。
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目次
劉備たち義勇軍の活躍
前回は、劉備・関羽・張飛の3人が義勇兵に志願したところまででしたよね。
そうですね。
劉備たちは幽州太守・劉焉に紹介され、正式に義勇軍として認められました。
これから快進撃が始まるんですね!
もちろん劉備たちも活躍しますが、この黄巾賊討伐では、これから覇を競い合う英雄たちが次々に登場しますよ。
おお〜!楽しみだ!
では、劉備率いる義勇軍の活躍を見ていきましょう。
ご確認
この記事は『三国志演義』に基づいてお話ししています。正史『三国志』における黄巾の乱については、こちらをご覧ください。
①【大興山】程遠志・鄧茂との戦い
劉備たちが着任して早々、賊将・程遠志の軍50,000が涿郡に向かっているという知らせが入ります。
来たな黄巾賊!
劉焉は鄒靖に500の兵士を与えて、劉備たちとともに迎え撃つように命じました。
えぇ〜、50,000の敵に500?少なくない?
鄒靖、劉備が率いる官軍は、大興山のふもとまで来たところで黄巾賊と遭遇。
劉備・関羽・張飛の3人が進み出て賊を挑発すると、賊軍の大将・程遠志は副将・鄧茂を差し向けます。
張飛が進み出て鄧茂をひと突きに倒すと、大将の程遠志も関羽に一刀のもとに切り捨てられたので、賊軍は総崩れとなって官軍の大勝利となりました。
やっぱ強いねぇ!関羽・張飛は。
500人で50,000人に勝っちゃったの?すごいっ!
凱旋した鄒靖・劉備を、劉焉は自ら出迎えて労をねぎらいました。
鄒靖・劉備軍の進軍経路
大興山ってどこ?
『三国志演義』には、大興山の詳しい場所については書かれていませんが、吉川英治『三国志』では、青州・大興山(現山東省済南の東)とされています。
普通に読むと涿郡にある山なのかと思ってしまいますが、鄒靖と劉備は賊軍を青州で迎え撃ったということになります。
②【青州】襲景を救援
次の日、劉焉の元に青州太守・襲景から救援依頼が来ます。
少し前まで青州にいたのにね。
これに対し劉焉は、鄒靖に5,000の兵を与えて襲景の救援に向かわせました。もちろん劉備・関羽・張飛も一緒です。
まったく2度手間だなあ。
鄒靖・劉備軍の進軍経路
劉備たちは青州城を包囲する賊軍に戦いを挑みますが、多勢に無勢で後退を余儀なくされてしまいました。そこで、劉備は一計を案じます。
まず兵を3つに分け、関羽が率いる兵を東の山に、張飛が率いる兵を西の山に潜ませた上で、鄒靖と劉備が率いる主力軍が青州城を包囲する黄巾賊に攻撃をしかけます。
(敵に見つからないように兵を潜ませることを伏兵と言います)
攻撃をしかけられた黄巾賊は、反転して応戦します。そこで、主力軍はわざと負けて後退します。
主力軍は退却するフリをして、勢いづいた黄巾賊を関羽と張飛が待ち受ける地点へと誘導します。
関羽と張飛は、おびき寄せられた敵軍の側面に攻撃をしかけます。突然現れた敵兵に驚いた黄巾賊は混乱します。
敵が混乱したところに主力軍は反転・攻撃をかけ、襲景は城から打って出て、黄巾賊を包囲殲滅します。
4方向から攻撃された黄巾賊は大軍と言えども持ちこたえられず、多くの兵が討ち死にもしくは生け捕りにされました。
劉備さん凄いです!
なかなかやるねぇ劉備も。
鄒靖・劉備の援軍のお陰で黄巾賊の包囲を解くことができた襲景は、兵士たちに恩賞を与えました。
③【広宗県】盧植を救援
青州の救援を終えて幽州に戻ろうとする鄒靖に、劉備は広宗県の盧植の救援に向かいたいと申し出ます。
劉備は子どもの頃、盧植に勉強を教えてもらってたんだっけ?
恩師に恩を返すチャンスですね!
鄒靖は劉備の申し出を受け入れ、劉備は元々の手勢500を率いて広宗県に向かいました。
劉備義勇軍の進軍経路
広宗県は黄巾賊の本拠地である冀州・鉅鹿郡にあり、盧植は50,000の兵で教祖・張角率いる主力150,000に対して有利に戦いを進めていました。
盧植は劉備の援軍を大層喜びましたが、張角の2人の弟張梁・張宝と戦っている皇甫嵩・朱儁の援軍に行くように頼みました。
せっかく来たのに残念ですね。
3倍の敵を相手に有利に戦いを進めるなんて、さすが盧植だな!
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騎都尉・曹操と中郎将・董卓の登場
④【潁川郡】皇甫嵩・朱儁を救援
劉備の率いる義勇軍は、盧植から1,000人の官兵をつけられて、その日のうちに皇甫嵩・朱儁が戦っている潁川郡へ向かいました。
盧植に兵の補充してもらってるんか。逆に足ひっぱっとるやん!(笑)
タカオくんは厳しいですね(笑)
劉備義勇軍の進軍経路
劉備の義勇軍が潁川郡へ向かって出発したちょうどその頃、潁川郡で対峙する官軍と黄巾賊の間に動きがありました。
劣勢となった黄巾賊が、軍を退いて草原に陣を構えたのです。
これを見た皇甫嵩と朱儁はひそかに兵を伏せ、夜を待って敵陣に火を放つと、折からの強風にあおられて勢いよく燃え広がり、黄巾賊は散り散りになって逃げ出しました。
そこへ突然、一隊の人馬が黄巾賊の行く手を遮るように現れたのです。
おおっ!劉備か?
良い所に間に合いましたねっ!
残念…。
漢の赤い旗印をひるがえして現れたのは、劉備ではなく曹操です!
曹操は逃げ惑う黄巾賊の退路をふさいで散々に打ち破りましたが、すでに張梁・張宝の姿が見えません。
曹操は皇甫嵩と朱儁にあいさつを済ませると、すぐさま張梁・張宝の追撃に移りました。
なんか曹操めっちゃカッコいいな。
夜空を明るくするような炎の中に颯爽と現れて去っていく姿なんて、映画のワンシーンみたい!
で、劉備は?
ちょうど劉備も鬨の声と火計の明かりを見つけて駆けつけたのですが、黄巾賊は逃げ去ったあとでした。
あらら…。
劉備が盧植の指示で援軍に駆けつけたことを告げると、「張梁・張宝は広宗県の張角と合流するはずだから、そちらを助けに行きたまえ」と言われてしまいます。
マジか…。
もと来た道を逆戻りですね。
ここで、『三国志演義』に描かれた曹操の特徴と略歴を確認しておきましょう。
曹操の特長と略歴
姓は曹、名は操、字は孟徳。
曹操の外見は身長約161cm、目は細く、ヒゲが長いとだけ記されています。
沛国・譙県の人でもともと夏侯氏でしたが、父・曹嵩が中常侍・曹騰の養子となったため、曹姓を名乗るようになりました。
若い頃から素行が悪かったのですが、謀略に長け、機知に富んでいたので次のような人物評を受けています。
橋玄(きょうげん)の人物評
「天下は乱れようとしており、当代一の才の持主でなければ救う事はできない。天下をよく安んずるのは君である」
許劭(きょしょう)の人物評
「君は治世の能臣、乱世の奸雄である」
このときは騎都尉に任ぜられて、騎兵歩兵5,000を率いて黄巾の乱の討伐に参加していました。
曹操って背が低かったんだね。
「治世の能臣、乱世の奸雄」は有名ですね。聞いたことあります。
⑤ 【広宗県へ】捕らえられた盧植
劉備たちはまた、広宗県に向けて進軍を開始します。
なんか戦ったの2回だけじゃない?
よくみんなついて来るね(笑)
みんな志が高いんだよ(笑)
劉備義勇軍の進軍経路
劉備・関羽・張飛たち義勇軍が広宗県に向けて出発すると、途中で囚人を護送する一団に出会います。監獄車の中の囚人は、なんとあの盧植です。
えぇ〜っ!なんで!?
盧植が3倍の敵と互角以上の戦いをしている中、朝廷から黄門官(宦官)の左豊が視察にやってきたんです。
宦官かっ!なんだか読めてきたぞ。
左豊が賄賂を要求したんでしょ?それで盧植が断ったんだ。
まさにその通りですよ。
それを恨みに思った左豊は、「盧植は城から出て戦おうとせず、士気が落ちている」と朝廷に奏上したんです。
それで盧植さんが逮捕されちゃったのね。ひどい…。
盧植が罪人となった理由を聞いた張飛は「護衛を斬って盧植を助ける!」と息巻いたのですが、劉備は「きっと疑いは晴れる。めったなことはするな」と止めました。
やっちゃえば良かったのに(笑)
それじゃみんな、お尋ね者になっちゃうよ。
囚人を護送する一団が去ると、劉備たちは一度涿郡に帰ることにしました。
盧植がいないんじゃ、また鄒靖と一緒のほうが良いってことだね。
⑥【涿郡へ】敗軍の将・董卓
劉備たちが涿郡へ向けて進軍していると、前方で大きな鬨の声が上がりました。
涿郡に行くには、途中で広宗県を通るからね。
そっか!まだ戦いが終わった訳じゃなかったんだ。
劉備が関羽・張飛を連れて偵察すると、丘の向こうでは「天公将軍」と書かれた旗を立てた黄巾賊が官軍を追撃しているところでした。
「天公将軍」とは、黄巾賊の首領、大賢良師・張角のことです。
「これぞ張角だ!急ぎ戦えっ!」
劉備の号令で義勇軍が攻めかかると、新手の敵の出現に驚いた張角軍は追撃をやめて引き上げていきました。
久々に仕事したね、義勇軍(笑)
この劉備たちに助けられた官軍の将軍が、盧植の後任に就いた中郎将の董卓です。
董卓っ!ここで出てくるのか。
ここで、『三国志演義』に描かれた董卓の特徴と略歴を確認しておきましょう。
董卓の特長と略歴
姓は董、名は卓、字は仲穎。
涼州・隴西郡・臨洮県の人で、このときは河東郡の太守をしていました。
董卓の出生地と河東郡の場所
なんだか説明が簡素だねえ。
助けてくれた劉備に面会した董卓は、「3人は今何の職についているのか」と聞きますが、劉備が「無位無官です」と答えると、ロクにあいさつもしないまま面会を終えました。
これには張飛が黙っていません。
「オレたちがわざわざ助けてやったのに、この仕打ちは何ごとだっ!あいつを討ち果たさねば、腹の虫がおさまらんわっ!」
と、刀をとって董卓のいる幕舎に殴り込もうとします。
なにこの董卓って人っ!感じ悪い。
「刀を持って董卓のところへ向かう張飛。はたして董卓の運命は!?」と、ここで『三国志演義』の第1回が終わります。
そういえば、『三国志演義』ではまだ1話目だったんですね。
次回は、もうしばらく続く黄巾の乱についてお話しします。