義兄弟の誓いを立てた劉備(りゅうび)・関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)の3人は、義勇兵の募集に応じて校尉(こうい)・鄒靖(すうせい)の元を訪れます。
後漢の衰退を憂えて立ち上がった劉備(りゅうび)たち義勇軍の戦いを見てみましょう。

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劉備たち義勇軍の活躍

劉備たち義勇軍の活躍


タカオタカオ

前回は、劉備(りゅうび)・関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)の3人が義勇兵に志願したところまででしたよね。

王先生王先生

そうですね。
劉備(りゅうび)たちは幽州太守(ゆうしゅうたいしゅ)・劉焉(りゅうえん)に紹介され、正式に義勇軍として認められました。

マリコマリコ

これから快進撃が始まるんですね!

王先生王先生

もちろん劉備(りゅうび)たちも活躍しますが、この黄巾賊討伐では、これから覇を競い合う英雄たちが次々に登場しますよ。

タカオタカオ

おお〜!楽しみだ!

王先生王先生

では、劉備(りゅうび)率いる義勇軍の活躍を見ていきましょう。

ご確認

この記事は『三国志演義』に基づいてお話ししています。正史『三国志』における黄巾の乱については、こちらをご覧ください。

正史における黄巾の乱を時系列で確認。劉備はどこで何してた?

①【大興山】程遠志・鄧茂との戦い


王先生王先生

劉備(りゅうび)たちが着任して早々、賊将・程遠志(ていえんし)の軍50,000が涿郡(たくぐん)に向かっているという知らせが入ります。

タカオタカオ

来たな黄巾賊!

王先生王先生

劉焉(りゅうえん)は鄒靖(すうせい)に500の兵士を与えて、劉備(りゅうび)たちとともに迎え撃つように命じました。

マリコマリコ

えぇ〜、50,000の敵に500?少なくない?


鄒靖(すうせい)、劉備(りゅうび)が率いる官軍は、大興山(たいこうざん)のふもとまで来たところで黄巾賊と遭遇。

劉備(りゅうび)・関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)の3人が進み出て賊を挑発すると、賊軍の大将・程遠志(ていえんし)は副将・鄧茂(とうも)を差し向けます。

張飛(ちょうひ)が進み出て鄧茂(とうも)をひと突きに倒すと、大将の程遠志(ていえんし)も関羽(かんう)に一刀のもとに切り捨てられたので、賊軍は総崩れとなって官軍の大勝利となりました。



タカオタカオ

やっぱ強いねぇ!関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)は。

マリコマリコ

500人で50,000人に勝っちゃったの?すごいっ!

王先生王先生

凱旋した鄒靖(すうせい)・劉備(りゅうび)を、劉焉(りゅうえん)は自ら出迎えて労をねぎらいました。

大興山

鄒靖(すうせい)・劉備(りゅうび)軍の進軍経路

大興山ってどこ?

『三国志演義』には、大興山(たいこうざん)の詳しい場所については書かれていませんが、吉川英治『三国志』では、青州(せいしゅう)・大興山(たいこうざん)(現山東省済南(さいなん)の東)とされています。

普通に読むと涿郡(たくぐん)にある山なのかと思ってしまいますが、鄒靖(すうせい)と劉備(りゅうび)は賊軍を青州(せいしゅう)で迎え撃ったということになります。

②【青州】襲景を救援


王先生王先生

次の日、劉焉(りゅうえん)の元に青州太守(せいしゅうたいしゅ)・襲景(きょうけい)から救援依頼が来ます。

マリコマリコ

少し前まで青州(せいしゅう)にいたのにね。

王先生王先生

これに対し劉焉(りゅうえん)は、鄒靖(すうせい)に5,000の兵を与えて襲景(きょうけい)の救援に向かわせました。もちろん劉備(りゅうび)・関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)も一緒です。

タカオタカオ

まったく2度手間だなあ。

襲景を救援

鄒靖(すうせい)・劉備(りゅうび)軍の進軍経路


劉備(りゅうび)たちは青州(せいしゅう)城を包囲する賊軍に戦いを挑みますが、多勢に無勢で後退を余儀なくされてしまいました。そこで、劉備(りゅうび)は一計を案じます。

劉備の計略1

まず兵を3つに分け、関羽(かんう)が率いる兵を東の山に、張飛(ちょうひ)が率いる兵を西の山に潜(ひそ)ませた上で、鄒靖(すうせい)と劉備(りゅうび)が率いる主力軍が青州(せいしゅう)城を包囲する黄巾賊に攻撃をしかけます。

(敵に見つからないように兵を潜(ひそ)ませることを伏兵(ふくへい)と言います)

劉備の計略2

攻撃をしかけられた黄巾賊は、反転して応戦します。そこで、主力軍はわざと負けて後退します。

劉備の計略3

主力軍は退却するフリをして、勢いづいた黄巾賊を関羽(かんう)と張飛(ちょうひ)が待ち受ける地点へと誘導します。

劉備の計略4

関羽(かんう)と張飛(ちょうひ)は、おびき寄せられた敵軍の側面に攻撃をしかけます。突然現れた敵兵に驚いた黄巾賊は混乱します。

劉備の計略5

敵が混乱したところに主力軍は反転・攻撃をかけ、襲景(きょうけい)は城から打って出て、黄巾賊を包囲殲滅します。

4方向から攻撃された黄巾賊は大軍と言えども持ちこたえられず、多くの兵が討ち死にもしくは生け捕りにされました。



マリコマリコ

劉備(りゅうび)さん凄いです!

タカオタカオ

なかなかやるねぇ劉備(りゅうび)も。

王先生王先生

鄒靖(すうせい)・劉備(りゅうび)の援軍のお陰で黄巾賊の包囲を解くことができた襲景(きょうけい)は、兵士たちに恩賞を与えました。

③【広宗県】盧植を救援


王先生王先生

青州(せいしゅう)の救援を終えて幽州(ゆうしゅう)に戻ろうとする鄒靖(すうせい)に、劉備(りゅうび)は広宗県(こうそうけん)の盧植(ろしょく)の救援に向かいたいと申し出ます。

タカオタカオ

劉備(りゅうび)は子どもの頃、盧植(ろしょく)に勉強を教えてもらってたんだっけ?

マリコマリコ

恩師に恩を返すチャンスですね!

王先生王先生

鄒靖(すうせい)は劉備(りゅうび)の申し出を受け入れ、劉備(りゅうび)は元々の手勢500を率いて広宗県(こうそうけん)に向かいました。

盧植を救援

劉備(りゅうび)義勇軍の進軍経路


広宗県(こうそうけん)は黄巾賊の本拠地である冀州(きしゅう)・鉅鹿郡(きょろくぐん)にあり、盧植(ろしょく)は50,000の兵で教祖・張角(ちょうかく)率いる主力150,000に対して有利に戦いを進めていました。

盧植(ろしょく)は劉備(りゅうび)の援軍を大層喜びましたが、張角(ちょうかく)の2人の弟張梁(ちょうりょう)・張宝(ちょうほう)と戦っている皇甫嵩(こうほすう)・朱儁(しゅしゅん)の援軍に行くように頼みました。



マリコマリコ

せっかく来たのに残念ですね。

タカオタカオ

3倍の敵を相手に有利に戦いを進めるなんて、さすが盧植(ろしょく)だな!



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騎都尉・曹操と中郎将・董卓の登場

曹操の登場

④【潁川郡】皇甫嵩・朱儁を救援


王先生王先生

劉備(りゅうび)の率いる義勇軍は、盧植(ろしょく)から1,000人の官兵をつけられて、その日のうちに皇甫嵩(こうほすう)・朱儁(しゅしゅん)が戦っている潁川郡(えいせんぐん)へ向かいました。

タカオタカオ

盧植(ろしょく)に兵の補充してもらってるんか。逆に足ひっぱっとるやん!(笑)

王先生王先生

タカオくんは厳しいですね(笑)

皇甫嵩・朱儁を救援

劉備(りゅうび)義勇軍の進軍経路


劉備(りゅうび)の義勇軍が潁川郡(えいせんぐん)へ向かって出発したちょうどその頃、潁川郡(えいせんぐん)で対峙する官軍と黄巾賊の間に動きがありました。

劣勢となった黄巾賊が、軍を退いて草原に陣を構えたのです。

これを見た皇甫嵩(こうほすう)と朱儁(しゅしゅん)はひそかに兵を伏せ、夜を待って敵陣に火を放つと、折からの強風にあおられて勢いよく燃え広がり、黄巾賊は散り散りになって逃げ出しました。



王先生王先生

そこへ突然、一隊の人馬が黄巾賊の行く手を遮(さえぎ)るように現れたのです。

タカオタカオ

おおっ!劉備(りゅうび)か?

マリコマリコ

良い所に間に合いましたねっ!

王先生王先生

残念…。
漢の赤い旗印をひるがえして現れたのは、劉備(りゅうび)ではなく曹操(そうそう)です!


曹操(そうそう)は逃げ惑う黄巾賊の退路をふさいで散々に打ち破りましたが、すでに張梁(ちょうりょう)・張宝(ちょうほう)の姿が見えません。

曹操(そうそう)は皇甫嵩(こうほすう)と朱儁(しゅしゅん)にあいさつを済ませると、すぐさま張梁(ちょうりょう)・張宝(ちょうほう)の追撃に移りました。



タカオタカオ

なんか曹操(そうそう)めっちゃカッコいいな。

マリコマリコ

夜空を明るくするような炎の中に颯爽(さっそう)と現れて去っていく姿なんて、映画のワンシーンみたい!

タカオタカオ

で、劉備(りゅうび)は?

王先生王先生

ちょうど劉備(りゅうび)も鬨(とき)の声と火計の明かりを見つけて駆けつけたのですが、黄巾賊は逃げ去ったあとでした。

マリコマリコ

あらら…。

王先生王先生

劉備(りゅうび)が盧植(ろしょく)の指示で援軍に駆けつけたことを告げると、「張梁(ちょうりょう)・張宝(ちょうほう)は広宗県(こうそうけん)の張角(ちょうかく)と合流するはずだから、そちらを助けに行きたまえ」と言われてしまいます。

タカオタカオ

マジか…。

マリコマリコ

もと来た道を逆戻りですね。

王先生王先生

ここで、『三国志演義』に描かれた曹操(そうそう)の特徴と略歴を確認しておきましょう。

曹操の特長と略歴

曹操(そうそう)

姓は曹(そう)、名は操(そう)、字(あざな)は孟徳(もうとく)。

曹操(そうそう)の外見は身長約161cm、目は細く、ヒゲが長いとだけ記されています。

沛国(はいこく)・譙県(しょうけん)の人でもともと夏侯(かこう)氏でしたが、父・曹嵩(そうすう)が中常侍(ちゅうじょうじ)・曹騰(そうとう)の養子となったため、曹(そう)姓を名乗るようになりました。

若い頃から素行が悪かったのですが、謀略に長(た)け、機知に富んでいたので次のような人物評を受けています。

橋玄(きょうげん)の人物評

「天下は乱れようとしており、当代一の才の持主でなければ救う事はできない。天下をよく安んずるのは君である」

許劭(きょしょう)の人物評

「君は治世の能臣、乱世の奸雄である」


このときは騎都尉(きとい)に任ぜられて、騎兵歩兵5,000を率いて黄巾の乱の討伐に参加していました。



タカオタカオ

曹操(そうそう)って背が低かったんだね。

マリコマリコ

「治世の能臣、乱世の奸雄」は有名ですね。聞いたことあります。

⑤ 【広宗県へ】捕らえられた盧植


王先生王先生

劉備(りゅうび)たちはまた、広宗県(こうそうけん)に向けて進軍を開始します。

タカオタカオ

なんか戦ったの2回だけじゃない?
よくみんなついて来るね(笑)

マリコマリコ

みんな志が高いんだよ(笑)


捕らわれた盧植

劉備(りゅうび)義勇軍の進軍経路


王先生王先生

劉備(りゅうび)・関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)たち義勇軍が広宗県(こうそうけん)に向けて出発すると、途中で囚人を護送する一団に出会います。監獄車の中の囚人は、なんとあの盧植(ろしょく)です。

マリコマリコ

えぇ〜っ!なんで!?

王先生王先生

盧植(ろしょく)が3倍の敵と互角以上の戦いをしている中、朝廷から黄門官(こうもんかん)(宦官)の左豊(さほう)が視察にやってきたんです。

タカオタカオ

宦官かっ!なんだか読めてきたぞ。
左豊(さほう)が賄賂を要求したんでしょ?それで盧植(ろしょく)が断ったんだ。

王先生王先生

まさにその通りですよ。
それを恨みに思った左豊(さほう)は、「盧植(ろしょく)は城から出て戦おうとせず、士気が落ちている」と朝廷に奏上したんです。

マリコマリコ

それで盧植(ろしょく)さんが逮捕されちゃったのね。ひどい…。

王先生王先生

盧植(ろしょく)が罪人となった理由を聞いた張飛(ちょうひ)は「護衛を斬って盧植(ろしょく)を助ける!」と息巻いたのですが、劉備(りゅうび)は「きっと疑いは晴れる。めったなことはするな」と止めました。

タカオタカオ

やっちゃえば良かったのに(笑)

マリコマリコ

それじゃみんな、お尋ね者になっちゃうよ。

王先生王先生

囚人を護送する一団が去ると、劉備(りゅうび)たちは一度涿郡(たくぐん)に帰ることにしました。

タカオタカオ

盧植(ろしょく)がいないんじゃ、また鄒靖(すうせい)と一緒のほうが良いってことだね。

⑥【涿郡へ】敗軍の将・董卓

王先生王先生

劉備(りゅうび)たちが涿郡(たくぐん)へ向けて進軍していると、前方で大きな鬨(とき)の声が上がりました。

タカオタカオ

涿郡(たくぐん)に行くには、途中で広宗県(こうそうけん)を通るからね。

マリコマリコ

そっか!まだ戦いが終わった訳じゃなかったんだ。


劉備(りゅうび)が関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)を連れて偵察すると、丘の向こうでは「天公将軍」と書かれた旗を立てた黄巾賊が官軍を追撃しているところでした。

「天公将軍」とは、黄巾賊の首領、大賢良師・張角(ちょうかく)のことです。

「これぞ張角(ちょうかく)だ!急ぎ戦えっ!」

劉備(りゅうび)の号令で義勇軍が攻めかかると、新手の敵の出現に驚いた張角(ちょうかく)軍は追撃をやめて引き上げていきました。



タカオタカオ

久々に仕事したね、義勇軍(笑)

王先生王先生

この劉備(りゅうび)たちに助けられた官軍の将軍が、盧植(ろしょく)の後任に就いた中郎将(ちゅうろうしょう)の董卓(とうたく)です。

タカオタカオ

董卓(とうたく)っ!ここで出てくるのか。

王先生王先生

ここで、『三国志演義』に描かれた董卓(とうたく)の特徴と略歴を確認しておきましょう。

董卓の特長と略歴

董卓(とうたく)

姓は董(とう)、名は卓(たく)、字(あざな)は仲穎(ちゅうえい)。

涼州(りょうしゅう)・隴西郡(ろうせいぐん)・臨洮県(りんとうけん)の人で、このときは河東郡(かとうぐん)の太守(たいしゅ)をしていました。


董卓の出生地

董卓(とうたく)の出生地と河東郡(かとうぐん)の場所


タカオタカオ

なんだか説明が簡素だねえ。

助けてくれた劉備(りゅうび)に面会した董卓(とうたく)は、「3人は今何の職についているのか」と聞きますが、劉備(りゅうび)が「無位無官です」と答えると、ロクにあいさつもしないまま面会を終えました。

これには張飛(ちょうひ)が黙っていません。

「オレたちがわざわざ助けてやったのに、この仕打ちは何ごとだっ!あいつを討ち果たさねば、腹の虫がおさまらんわっ!」

と、刀をとって董卓(とうたく)のいる幕舎(ばくしゃ)に殴り込もうとします。


マリコマリコ

なにこの董卓(とうたく)って人っ!感じ悪い。

王先生王先生

「刀を持って董卓(とうたく)のところへ向かう張飛(ちょうひ)。はたして董卓(とうたく)の運命は!?」と、ここで『三国志演義』の第1回が終わります。

タカオタカオ

そういえば、『三国志演義』ではまだ1話目だったんですね。

王先生王先生

次回は、もうしばらく続く黄巾の乱についてお話しします。

次回

【008】黄巾賊討伐2:孫堅の登場と黄巾の乱の終結

三国志演義の解説を順番に読もう!

 三国志演義教室【目次】