李傕(りかく)と郭汜(かくし)を和睦(わぼく)させようと頭を悩ませる献帝(けんてい)は、賈詡(かく)の進言に従って李傕(りかく)を大司馬(だいしば)に任命しましたが…。

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李傕軍内に生まれた不満

李傕軍内に生まれた不満

画像出典:ChinaStyle.jp


タカオタカオ

前回は、賈詡(かく)の計略で李傕(りかく)の勢力を弱体化させたところまでだったよね。

マリコマリコ

うん。それでまた賈詡(かく)さんの勧めで李傕(りかく)さんを大司馬(だいしば)に任命したんですよね。

王先生王先生

そうですね。今回はそのことが大きな事件を引き起こします。

ご確認

この記事は『三国志演義(さんごくしえんぎ)』に基づいてお話ししています。正史(せいし)『三国志(さんごくし)』における「李傕(りかく)と郭汜(かくし)の争い」については、こちらをご覧ください。

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これまでのあらすじ


王先生王先生

では、ここまでのお話を簡単におさらいしておりましょう。


朝廷で傍若無人(ぼうじゃくぶじん)に振る舞う李傕(りかく)と郭汜(かくし)らに心を悩ませていた献帝(けんてい)は、楊彪(ようひょう)の献策によって李傕(りかく)と郭汜(かくし)を争わせ、その間に曹操(そうそう)に助けを求めることにします。

そして計画通り李傕(りかく)と郭汜(かくし)を争わせた献帝(けんてい)ですが、李傕(りかく)の陣営に連れ去られ、状況は以前より悪化してしまいました。

これはまずいと、献帝(けんてい)は李傕(りかく)と郭汜(かくし)を和睦(わぼく)させようと公卿(こうけい)大臣たちを派遣しますが、今度は公卿(こうけい)大臣たちが李傕(りかく)に捕らえられてしまいます。


自分たちが引き起こした争いに翻弄(ほんろう)される献帝(けんてい)と公卿(こうけい)大臣たち。

ですが、李傕(りかく)配下の賈詡(かく)だけは献帝(けんてい)への忠義を忘れていないことを知り、賈詡(かく)に助けを求めると、賈詡(かく)は献帝(けんてい)のために一計を案(あん)じます。

そして、賈詡(かく)の計略により李傕(りかく)の軍勢を弱体化させることに成功した献帝(けんてい)は、また賈詡(かく)の進言により李傕(りかく)を大司馬(だいしば)に任命しました。

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タカオタカオ

うんうん、思い出した。

マリコマリコ

せっかく李傕(りかく)さんを弱体化させたのに、なんでまた昇進させたのかが謎(なぞ)なのよね…。

王先生王先生

その理由が、今回のお話で分かりますよ。

マリコマリコ

楽しみですっ!

反乱計画


王先生王先生

では今回のお話を始めましょう。


献帝(けんてい)が李傕(りかく)を大司馬(だいしば)に任命すると、李傕(りかく)は大変喜んで、


「これは巫女(みこ)が神降(お)ろしをして祈祷(きとう)してくれたお陰だっ!」


と、巫女(みこ)に褒美を出しましたが、配下の大将たちには恩賞を出しませんでした。

すると騎都尉(きとい)の楊奉(ようほう)は大いに腹を立て、宋果(そうか)に向かって言いました。


「俺たちは生死の境(さかい)をさまよい、飛び交(か)う矢を恐れずに働いたのに、巫女(みこ)にも劣(おと)ると言うのかっ!」


これに宋果(そうか)が、


「あいつ(李傕(りかく))を殺して天子(てんし)(献帝(けんてい))をお助けしてはどうだ?」


と言ったので楊奉(ようほう)はこれに賛成し、


「お前(宋果(そうか))は陣の中で火をかけて合図しろ。俺は外で兵を率(ひき)いて攻め入ることにしよう」


と、その日の夜の二番太鼓の頃に決行する手筈(てはず)を整えました。



タカオタカオ

おほっ!ここで李傕(りかく)軍に反乱かっ!

マリコマリコ

賈詡(かく)さんは李傕(りかく)さんを大司馬(だいしば)に任命することで、こうなることまで分かってたのかな?

タカオタカオ

だとしたら凄すぎるね、賈詡(かく)っ!

王先生王先生

賈詡(かく)は李傕(りかく)の内情を知っていましたからね。


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李傕と郭汜の和解

李傕と郭汜の和解

画像出典:ChinaStyle.jp

反乱の失敗


王先生王先生

李傕(りかく)への反乱を決意した楊奉(ようほう)と宋果(そうか)ですが、事前に計画が漏洩(ろうえい)してしまいます。


「楊奉(ようほう)と宋果(そうか)の反乱計画」を知った李傕(りかく)は大いに怒り、宋果(そうか)を捕らえさせて殺してしまいました。

この時楊奉(ようほう)は陣の外で待っていましたが、約束の時間が過ぎても合図の火は上がりません。

その内に、李傕(りかく)が兵を率(ひき)いて陣から出て来て二番太鼓の頃まで乱戦となり、敵(かな)わないと見た楊奉(ようほう)は、自分の陣に引き揚(あ)げます。


ですが、これ以降李傕(りかく)軍の勢いは次第に衰(おとろ)え、何度も郭汜(かくし)の攻撃を受けて多くの戦死者を出しました。



マリコマリコ

宋果(そうか)さん…。

タカオタカオ

でもこいつらの動機、忠義心じゃなくて褒美くれないからだからな(笑)

マリコマリコ

そっか…。

タカオタカオ

李傕(りかく)が楊奉(ようほう)と宋果(そうか)に代わっても、今までと変わらないよ(笑)

王先生王先生

そうかもしれませんね。

李傕と郭汜の和解


王先生王先生

そうこうしているところへ、陝西(せんせい)から張済(ちょうせい)がやって来ます。


張済(ちょうせい)は李傕(りかく)と郭汜(かくし)を和解させようと考え、両軍に対して、


「和解に従わない者を攻撃する」


と伝えます。

すると、劣勢だった李傕(りかく)はこれを良い口実に、先に張済(ちょうせい)に人を遣(や)って「和解に応じる」と伝えたので、郭汜(かくし)も2人を敵に回しては敵(かな)わないと考えて和解に応じました。



マリコマリコ

おぉ〜っ、やっと和解できたっ!

タカオタカオ

張済(ちょうせい)って誰だっけ?

王先生王先生

李傕(りかく)たちと一緒に長安(ちょうあん)を攻めた元董卓(とうたく)の配下です。

タカオタカオ

あぁ〜、いたねっ!

マリコマリコ

張済(ちょうせい)さんは、賈詡(かく)さんが呼んだんですか?

王先生王先生

実は、どこまでが賈詡(かく)の考えなのかは分からないんです(笑)

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献帝が洛陽に向かう

献帝が洛陽に向かう

画像出典:ChinaStyle.jp

献帝が洛陽に向かう


王先生王先生

李傕(りかく)と郭汜(かくし)を和解させた張済(ちょうせい)は、献帝(けんてい)に表文(ささげぶみ)を奉(たてまつ)ります。


張済(ちょうせい)の表文(ささげぶみ)には、


「献帝(けんてい)に弘農郡(こうのうぐん)に行幸(ぎょうこう)(外出)していただきたい」


とあったので献帝(けんてい)は大いに喜んで、


「朕(ちん)は長い間、東都(とうと)(洛陽(らくよう))に還(かえ)りたいと思っていた。この機会に還(かえ)ることができれば、まったく幸(さいわ)いだ」


と言って張済(ちょうせい)を驃騎将軍(ひょうきしょうぐん)に任命し、張済(ちょうせい)は食糧や酒や肴(さかな)を献上し、百官にももれなく配りました。


また、郭汜(かくし)は捕らえていた公卿(こうけい)大臣たちを陣屋から釈放し、李傕(りかく)は御車(みくるま)の用意をして(東都(とうと)に向かい)、元の近衛兵(このえへい)数百人を派遣し、矛(ほこ)を持たせて護衛させました。



王先生王先生

『三国志演義(さんごくしえんぎ)』では、この時李傕(りかく)も洛陽(らくよう)に向かったように読めますが、そうではないようです。

マリコマリコ

やっと洛陽(らくよう)に帰れるんですね、献帝(けんてい)さん。

タカオタカオ

李傕(りかく)と郭汜(かくし)はこのまま黙って見てるのかな?

王先生王先生

そこが心配ですねっ!

郭汜の追手


王先生王先生

献帝(けんてい)の御車(みくるま)は、新豊県(しんほうけん)を過ぎて覇陵県(はりょうけん)に差し掛かります。


献帝の東遷経路3

献帝(けんてい)の進路


王先生王先生

実際は新豊県(しんほうけん)の方が東にありますので、『三国志演義(さんごくしえんぎ)』の誤りだと思われます。


献帝(けんてい)の御車(みくるま)が覇陵県(はりょうけん)に差し掛かった時、突然鬨(とき)の声が湧(わ)き起こって、数百の軍兵が橋の上で行く手をふさいで、


「そこへ来るのは何者だっ!」


と、声を荒げて問いました。

これに侍中(じちゅう)の楊琦(ようき)が、


「天子(てんし)(献帝(けんてい))の御車(みくるま)がお通りなされるのに、邪魔立てするのは誰だっ!」


と問い返すと、2人の大将が進み出て、


「我々は郭将軍(かくしょうぐん)(郭汜(かくし))の命令によってこの橋を守り、内通の者を押さえておる者だ。天子(てんし)(献帝(けんてい))さまの御車(みくるま)というなら、お顔を拝見しなければ信用は出来ぬっ!」


と言います。

ですが、これに答えて楊琦(ようき)が御車(みくるま)の御簾(みす)を高く上げ、中に乗っていた献帝(けんてい)が、


「朕(ちん)はここにおる。なぜ軍を引かぬのか?」


と諭(さと)すと、大将らは「万歳!」と叫んで道をあけたので、献帝(けんてい)は橋を通過することができました。


そして、2人の大将が郭汜(かくし)に「献帝(けんてい)が通過したこと」を報告すると、郭汜(かくし)は、


「儂(わし)は張済(ちょうせい)をだまして天子(てんし)(献帝(けんてい))を郿塢(びう)の砦(とりで)に押し込めようと思っていたのに、お前らはなぜ勝手に通したのだっ!?」


と言って2人の首を打ち、兵を繰り出して押し寄せて来ました。



タカオタカオ

やっぱりかっ!

マリコマリコ

せっかく洛陽(らくよう)に帰れると思ったのにっ!

王先生王先生

やっぱりただでは帰してくれませんねっ!


賈詡(かく)の進言により李傕(りかく)を大司馬(だいしば)に任命したことで、楊奉(ようほう)と宋果(そうか)が反乱を計画。

その計画を未然に知ることができた李傕(りかく)は、宋果(そうか)を殺害し、楊奉(ようほう)を撃退しましたが、次第に旗色が悪くなっていきました。

そんなところへ、陝西(せんせい)からやってきた張済(ちょうせい)が和解を持ちかけたため、李傕(りかく)と郭汜(かくし)はついに和解します。

そして、張済(ちょうせい)の提案により洛陽(らくよう)に出発した献帝(けんてい)ですが、献帝(けんてい)を虜(とりこ)にしようとする郭汜(かくし)が背後から追って来ました。



王先生王先生

次回は、追って来た郭汜(かくし)の軍との戦いになります。

次回

 【049】李傕・郭汜と和解し、安邑県に入った献帝と李楽の裏切り

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