感動する名言だったり思わず笑ってしまったり、大人気中国ドラマ『三国志 Three Kingdoms』に登場する英雄たちの「最期の言葉」をまとめてみました。

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第1部 群雄割拠

【スリキン】三国志 Three Kingdoms「英雄たちの最期の言葉」

第03話:呂伯奢・兪渉

呂伯奢りょはくしゃ


呂伯奢呂伯奢

我が家に帰るぞ。さあ、身体が冷えては良くないから…。

董卓とうたく暗殺に失敗して逃亡する曹操そうそうは、勘違いから自分をかくまってくれた呂伯奢りょはくしゃの家人を惨殺してしまいます。

呂伯奢りょはくしゃの屋敷から逃亡した曹操そうそうは、酒を買って帰って来た呂伯奢りょはくしゃと鉢合わせ、証拠隠滅のため「一緒に帰ろう」と近寄ってきた呂伯奢りょはくしゃを刺し殺してしまいました。

呂伯奢りょはくしゃは、曹操そうそうに殺されたことにすら気づいていなかったかもしれません。


兪渉ゆしょう


兪渉兪渉

私にお任せを。10合以内に華雄かゆうの首を取って見せます!

「俺の名は華雄かゆう相国しょうこくめいを受け、逆賊討伐に来た! もし、ただちにそなたたちの誰かが曹操そうそうの首を持ってくれば、放免にしてやるっ!」

打倒董卓とうたくかかげる十八鎮諸侯じゅうはちちんしょこうが集結した陳留城ちんりゅうじょうに、董卓とうたく配下の第4の猛将・華雄かゆうが攻め寄せてきました。

勇ましく出陣した袁術えんじゅつ配下の兪渉ゆしょうですが、わずか1合で斬り殺されてしまいました。


第04話:潘鳳・華雄・袁隗

潘鳳はんほう


潘鳳潘鳳

私の大斧はえております。お任せを!

兪渉ゆしょう華雄かゆうに斬られると、冀州刺史きしゅうしし韓馥かんふくは百斤を超える大斧を振るう剛勇の将軍しょうぐん潘鳳はんほうを出陣させます。

ですが、空高く放り上げられた潘鳳はんほうは、華雄かゆうの大刀の上に落下して串刺しにされてしまいました。


華雄かゆう


華雄華雄

・・・。

兪渉ゆしょう潘鳳はんほうを討たれた十八鎮諸侯じゅうはちちんしょこうの盟主・袁紹えんしょうは、ついに劉備りゅうびの義弟・関羽かんうを出陣させます。

関羽かんうの姿に気圧けおされた華雄かゆうは、無駄口を叩く暇もなく討ち取られてしまいました。


袁隗えんかい


袁隗袁隗

・・・。

華雄かゆうを討ち取られた董卓とうたくは、みずから出陣することにします。

董卓とうたくは、自分の留守中に反乱が起こらないよう、十八鎮諸侯じゅうはちちんしょこうの盟主・袁紹えんしょう叔父おじ袁隗えんかいを処刑しました。


第07話:孫堅・張温

孫堅そんけん


孫堅孫堅

黄蓋こうがい孫権そんけんを頼むぞ…。行けぇええっ!

董卓とうたく討伐の目的を果たせぬまま十八鎮諸侯じゅうはちちんしょこうは解散。江東こうとうに帰る途中の孫堅そんけんは、劉表りゅうひょうの奇襲により、全身に矢を受けてしまいました。

うらむべき相手は劉表りゅうひょうではない。黒幕の袁紹えんしょうだ!これまであの男のために戦い、手柄を立ててきた。それなのに劉表りゅうひょうに討たせるとは…。あの伝国璽でんこくじ孫家そんけにはいらぬ。捨ててしまえ!時期を見て伝国璽でんこくじ袁術えんじゅつに渡せ。そして袁氏えんし同士で争わせるのだ…」

こう遺言した孫堅そんけんは、孫権そんけんたちに自分を置いて早く逃げるようにうながしました。


張温ちょうおん


張温張温

相父しょうほ、私は無実です!相父しょうほ、私は忠義を尽くしております!…

十八鎮諸侯じゅうはちちんしょこうを撃退した董卓とうたくは、大臣たちをまねいて宴会を開いていました。

この時、袁氏えんしから張温ちょうおんに宛てた密書を手に入れたという報告を受けた董卓とうたくは、その場で張温ちょうおんを処刑して、王允おういんたちに張温ちょうおんの血を混ぜた酒を飲ませました。


第10話:董卓・王允

董卓とうたく


董卓董卓

奉先ほうせんは、奉先ほうせんはどこだっ!

禅譲ぜんじょう(皇位をゆずること)のみことのりを受けて万楽宮まんらくきゅうに参内した董卓とうたくの前に、王允おういんが立ちふさがりました。

「勅命だっ!国賊・董卓とうたくは朝廷を冒涜ぼうとくし、天下を乱した。よって忠勇の志士よ、逆賊・董卓とうたくを殺すのだっ!殺せぇ〜っ!」

これに驚いた董卓とうたくは必死に護衛の呂布りょふさがしますが、駆け寄ってきた呂布りょふに一突きに殺されてしまいました。


王允おういん


王允王允

蒼天よっ!先帝よっ!王允おういんは死をもって国を救います。姦賊かんぞくめ、そこで待っておれっ!

陳宮ちんきゅうは、元董卓とうたく配下の李傕りかく郭汜かくしらに投降を呼びかけるように進言しましたが、王允おういんはこれを許さず、追いめられた李傕りかく郭汜かくし長安城ちょうあんじょうに攻め寄せます。

長安城ちょうあんじょうが落城間近となると、王允おういん天子てんしの命を守るため、城壁の上から飛び降りて自害しました。


第12話:陶謙


陶謙陶謙

ダメじゃダメじゃ!徐州牧じょしゅうぼくは、貴殿が務めねばならんのだ!

陶謙とうけんの部下・張闓ちょうがいが、曹操そうそうの父・曹嵩そうすうを殺害して逃亡したため、激怒した曹操そうそう徐州じょしゅうに攻め込みます。

徐州牧じょしゅうぼく陶謙とうけんは、袁紹えんしょう袁術えんじゅつ公孫瓚こうそんさんらに援軍を要請しましたが、援軍要請に応じたのは、公孫瓚こうそんさんの下にいた劉備りゅうびただ1人だけでした。

みずからの死期をさとった陶謙とうけんは、曹操そうそう軍を撤退させた劉備りゅうび徐州牧じょしゅうぼくを譲ろうとしますが、劉備りゅうびは辞退して引き受けません。

やっとのことで劉備りゅうびの了承を得た陶謙とうけんは、静かに息を引き取りました。


第14話:曹豹


曹豹曹豹

命はもらったっ!

袁術えんじゅつ討伐のみことのりを受けた劉備りゅうびは義弟の張飛ちょうひに、

  • 酒を飲まぬこと
  • 腹を立てぬこと
  • 兵士に乱暴せぬこと

の3つの約束をさせ、留守を任せて出陣しました。

ですが張飛ちょうひはこの約束を破って酒を飲み、呂布りょふ従兄弟いとこ曹豹そうひょうを打ちすえます。

これをうらみに思った曹豹そうひょう呂布りょふ徐州城じょしゅうじょうに引き入れ、酔って千鳥足の張飛ちょうひいどみますが、蛇矛だぼうの一突きで殺されました。


第16話:兵糧官


兵糧官兵糧官

どうかお助けください!命だけはっ!

袁術えんじゅつ天子てんしを自称すると、曹操そうそうは20万の軍勢を起こして袁術えんじゅつを攻めましたが、兵糧不足におちいってしまいました。

すると曹操そうそうは、兵糧官ひょうろうかんに「兵糧を小さな升で分けるように」指示しましたが、当然兵たちの不満が爆発します。

「そなたの首を借りたい。しかし、借りたら最後、二度と返せぬ」

と、曹操そうそう兵糧官ひょうろうかんに責任をなすりつけ、兵たちの怒りをしずめました。


第18話:呂布・陳宮


呂布呂布

貂蝉ちょうせん、来世でまたおう…。

曹操そうそうに敗れた呂布りょふは、ついに処刑されることになりました。

将軍しょうぐんといられぬのなら、共に死にます」

貂蝉ちょうせん呂布りょふとともに処刑台に上がりますが、「呂布りょふだけを処刑せよ」という命令により、処刑台から降ろされます。

呂布りょふは、「貂蝉ちょうせん、そなたが生きていればそれで良い。満足だぞ」と、微笑みを浮かべて処刑されました。



陳宮陳宮

素晴らしい眺めだ…、見事な眺めだっ!

呂布りょふと共に捕らえた陳宮ちんきゅうを、曹操そうそうは配下になるよう必死で説得しましたが、陳宮ちんきゅうの意志は頑として変わりませんでした。

「このわしが、見送っても良いか?」

曹操そうそう陳宮ちんきゅうの手を取って景色の良い高台まで見送ります。

陳宮ちんきゅうが処刑されると、曹操そうそうはこの陳宮ちんきゅうの最期の言葉を繰り返して、涙をぬぐいました。



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第2部 中原逐鹿

第19話:貂蝉


貂蝉貂蝉

この剣を、天にお返しします。

将軍しょうぐん、これをご存知ですか?」

白門楼はくもんろう曹操そうそうと2人きり。貂蝉ちょうせんは、呂布りょふのものとなっていた七星剣しちせいけんを抜いて見せました。

「どうした?今宵こよい、その剣でわしを殺す気か?」

「この剣を、天にお返しします」

そう言った貂蝉ちょうせんは、七星剣しちせいけんみずからの首を斬り、自害しました。


第21話:袁術

袁術えんじゅつ


袁術袁術

劉備りゅうびはまさに忠義の人だっ!

劉備りゅうびに敗北した袁術えんじゅつは、廃廟はいびょうに追いめられていました。

劉備りゅうびは「許都きょとに連行される屈辱を与えるのは忍びない」と、趙雲ちょううんを派遣して袁術えんじゅつに自害を勧めます。

劉備りゅうびの書簡を読んだ袁術えんじゅつは黙ってうなずくと、いさぎよく自害しました。


第22話:吉平・董承・董貴妃

吉平きっぺい


吉平吉平

例え指を失おうとも、ぞくを飲むための口がある。舌があればぞくののしることもできるわ…。

天子てんし密詔みっしょうを受け、董承とうしょうと共謀して曹操そうそうの暗殺を試みた吉平きっぺいですが、事前に秘密が漏れてしまい、暗殺は失敗に終わりました。

「指は10本のはずだぞ。何故なにゆえ9本しかない?」

曹操そうそうは、董承とうしょうの目前に吉平きっぺいを引き出して問いかけます。

みずからの指をみ、国賊を殺すことを誓ったがためだっ!」

「ふむ、指をんで誓ったと? 誰か、む指がまだ残っておる。この者の指を全部切り落とせっ!」

吉平きっぺいは、自分を押さえ込む兵士を振り払うと、柱に頭を打ちつけて自害しました。


董承とうしょう


董承董承

ふんっ!

吉平きっぺいに続いて暗殺計画を曹操そうそうに密告した下僕が引き出され、董承とうしょうに下された天子てんし密詔みっしょうまで示されると、董承とうしょうは黙って席を立ち、処刑されるために外に出ました。


董貴妃とうきひ


董貴妃董貴妃

私が書きました!陛下は何も…っ!

曹操そうそうの追求は天子てんし献帝けんてい)にも及びました。

すると董貴妃とうきひは、「曹操そうそう暗殺の密詔みっしょう」は自分が書いたものだと献帝けんていかばいます。

曹操そうそうは、

此度こたびの処罰はきさき1人にとどめますが、再びかようなことが起こらば、御身おんみに降りかかりますぞ」

と言って、献帝けんていの目の前で董貴妃とうきひをくびり殺しました。


第24話:顔良・文醜

顔良がんりょう


顔良顔良

何奴なにやつ? 名を名乗れ!無名のやからは殺さぬっ!

快進撃を続ける顔良がんりょうを討つため、曹操そうそうはついに関羽かんうを出陣させました。

一気に駆け込んでくる関羽かんうを迎え撃った顔良がんりょうですが、わずか1合で討ち取られてしまいました。


文醜ぶんしゅう


文醜文醜

顔良がんりょうを殺したのはお前かっ!?

顔良がんりょうを討たれた袁紹えんしょうは、今度は文醜ぶんしゅうを出陣させました。

曹操そうそう軍の猛将・張遼ちょうりょう徐晃じょこうの2人を相手に互角に立ち回る文醜ぶんしゅう。2人を下がらせた関羽かんうは、顔良がんりょう同様文醜ぶんしゅうも一太刀でほうむってしまいました。


第25話:孔秀・孟坦・卞喜・山賊

孔秀こうしゅう


孔秀孔秀

貴様の考えなどどうでも良い!行くぞっ!

劉備りゅうび袁紹えんしょうの元にいることが分かった関羽かんうは、曹操そうそうの元を去りました。

東嶺関とうれいかんに差し掛かった関羽かんうは、守将の孔秀こうしゅうに通行を求めますが、通行手形を持っていないことを怪しんだ孔秀こうしゅうは通ることを許さず、関羽かんうに一刀のもとに斬り殺されました。


孟坦もうたん


孟坦孟坦

関羽かんうよ、お主に勝ち目はないぞっ!馬から降りて投降するのだっ!

先を急ぐ関羽かんうは、洛陽関らくようかんに差し掛かかります。

太守たいしゅ孟坦もうたんは、まともに戦ってはかなわないと関羽かんう関内かんないに誘い込み、伏兵を配置して待ち構えますが、やはり関羽かんうに斬り殺されました。


卞喜べんき


卞喜卞喜

皆の者、かかれっ!

沂水関きすいかんの守将・卞喜べんき関羽かんうを丁重に迎え、鎮国寺ちんこくじで休むように勧めました。

関羽かんう鎮国寺ちんこくじの住職・普浄ふじょうと話している間に準備を整えた卞喜べんきは、関羽かんうを講堂に呼んで一斉に襲いかかりますが、返り討ちにって殺されました。


山賊さんぞく


山賊山賊

俺は天公将軍てんこうしょうぐん張角ちょうかくだ!すぐさま馬を降りろっ!

界首かいしゅの渡し場を渡った関羽かんう一行の行く手をふさいだ山賊は、突然現れた周倉しゅうそうに斬り殺されました。


第26話:蔡陽

蔡陽さいよう


蔡陽蔡陽

関羽かんうおい秦琪しんきを殺したのはお前か!?おいかたきを討ってやるっ!!

古城こじょう張飛ちょうひと再会した関羽かんうですが、張飛ちょうひは「関羽かんう曹操そうそうに寝返った」と思い込んでいます。

関羽かんうは、ちょうどそこへ関羽かんうを追って来た曹操そうそう配下の蔡陽さいようを斬り、身の潔白を示しました。


第28話:田豊

田豊でんぽう


田豊田豊

口惜くちおしや、まこと無念ぞっ!

曹操そうそうとの決戦をはや袁紹えんしょういさめた田豊でんぽうは、投獄されていました。

袁紹えんしょう官渡かんとで大敗すると、許攸きょゆう讒言ざんげんを真に受けた袁紹えんしょう田豊でんぽうに自害を命じました。


第30話:許攸

許攸きょゆう


許攸許攸

度胸があるならやれぃっ!斬ってみろっ!そんなきもっ玉はあらぬか?

許攸きょゆう烏巣うそう強襲の功績を鼻にかけ、あちこちで大言を吐いて曹操そうそうを侮辱していました。

これを苦々にがにがしく思っていた許褚きょちょは、ついに許攸きょゆうの前に立ちはだかると「また暴言を吐いてみろ、くびねてやるっ!」と怒鳴りつけました。

すると許攸きょゆうは「できるものならやってみろ!」と、みずから首を差し出して見せます。許褚きょちょ躊躇ちゅうちょすることなくそのくびを斬り落としました。


第32話:徐庶の母

徐庶じょしょの母


徐庶の母徐庶の母

そなたはなんという愚か者であろうかっ!

劉備りゅうび軍師ぐんしとして仕えた徐庶じょしょの知謀をほっした曹操そうそうは、徐庶じょしょに「母親を捕らえた」という偽の手紙を送って許都きょとに呼び寄せました。

許都きょとに着いた徐庶じょしょは、曹操そうそうへの挨拶もそこそこに母親の元に向かいます。

再会を喜び会うのもつかの間、徐庶じょしょの母は「劉皇叔りゅうこうしゅくにお仕えしたと聞いて喜んでいたのに、なぜ許都きょとに来たのか?」と訪ねました。

そして、曹操そうそうはかりごとと知りつつノコノコと許都きょとにやって来た息子を叱りつけ、ついには失望して自害してしまいました。


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第3部 赤壁大戦

第34話:孫策

孫策そんさく


孫策孫策

大喬だいきょう、そなたは長年連れい、我が妻としてよく支えてくれた。あの世でも、笑って暮らせそうだな…。

狩りの最中、孫策そんさく許貢きょこうの食客の襲撃を受けて重傷を負ってしまいます。

孫権そんけんに後事をたくした孫策そんさくは、大喬だいきょうを呼んで、最後にこう語りかけました。

「来世でも、きっと、またあなたの妻になります!」

大喬だいきょうの返事を聞いた孫策そんさくは、そのまま息を引き取りました。


第35話:劉表

劉表りゅうひょう


劉表劉表

劉備りゅうびどの、わしの話を忘れるな…。

わしがそなたに荊州けいしゅうの地をたくすのは、そなた1人のためではない。百万の民のためを思ってのこと。我が民を曹操そうそうの手に渡すわけにはゆかぬ…。」

みずからの死期をさとった劉表りゅうひょうは、劉備りゅうび荊州けいしゅうたくそうとしますが、劉備りゅうびは受けようとしません。

曹操そうそうが侵攻してきたとの報告を受けた劉備りゅうびがその場をして間もなく、劉表りゅうひょうは息を引き取りました。


第36話:糜夫人

糜夫人びふじん


糜夫人糜夫人

子龍しりょう阿斗あとをお願い!必ず主君にっ!

新野しんやを捨て劉琦りゅうきが守る江夏こうかを目指す劉備りゅうびですが、新野しんやの民とともに進むためすぐに曹操そうそう軍に追いつかれてしまいました。

趙雲ちょううん糜夫人びふじん阿斗あとを守って奮戦しますが、糜夫人びふじん趙雲ちょううん阿斗あとたくすと、足手まといにならぬよう井戸に身を投げて自害してしまいました。


第39話:蔡瑁

蔡瑁さいぼう


蔡瑁蔡瑁

これは小人しょうじんはかりごとです!どうかだまされないでください、丞相じょうしょうっ!

曹操そうそう軍を迎え撃つ周瑜しゅうゆにとっての脅威は、水軍を熟知した蔡瑁さいぼう張允ちょういんでした。ちょうどそこへ、曹操そうそうに仕える蒋幹しょうかんがやって来ます。

これ幸いと一計を案じた周瑜しゅうゆは、酔いつぶれた振りをして「蔡瑁さいぼう張允ちょういんが内通している」という偽の書簡を蒋幹しょうかんに見せました。

蒋幹しょうかんの報告を受けた曹操そうそうは、すぐさま蔡瑁さいぼう張允ちょういんを処刑しましたが、「しまった…。はかられたか…」と、すぐにこれが周瑜しゅうゆの計略であったことに気づいて後悔しました。


第4部 荊州争奪

第50話:楊齢・韓玄

楊齢ようれい


楊齢楊齢

老将軍の出陣には及びませぬ。この私が関羽かんうを倒します。関羽かんう、その命いただこうっ!

荊州けいしゅう南部4郡の平定に乗り出した劉備りゅうびは、最後に残った長沙ちょうさの攻略に関羽かんうを選びました。

関羽かんうに挑んだ楊齢ようれいは、応援の為の太鼓を叩く暇もなく討ち取られてしまいました。


韓玄かんげん


韓玄韓玄

魏延かんげん、何を考えておるのだ!?お前には良き待遇を与えたに、なぜ私にそむくっ?

楊齢ようれいを討たれた韓玄かんげんは、老将軍・黄忠こうちゅうを挑ませます。

この時関羽かんうは、黄忠こうちゅうが落馬したにもかかわらずトドメを刺しませんでした。すると次の日、再度関羽かんうに挑んだ黄忠こうちゅうは、2度空弓からゆみを引き、3度目はわざと外して、昨日関羽かんうに命を救われた恩を返します。

これを内通と判断した韓玄かんげん黄忠こうちゅうに斬首を言い渡しますが、これを不服に思った魏延ぎえん黄忠こうちゅうを助けて韓玄かんげんを斬り、劉備りゅうびに投降しました。


第57話:周瑜

周瑜しゅうゆ


周瑜周瑜

口惜くちおしい…、口惜くちおしい…、天は周瑜しゅうゆを生みながら、なぜ諸葛亮しょかつりょうも生んだのか…。

周瑜しゅうゆが受けた毒矢の傷には、感情を高ぶらせることが厳禁でした。

ですが、孔明こうめいをライバル視する周瑜しゅうゆは事あるごとに腹を立て、周瑜しゅうゆの容態は悪化していきます。

死期をさとった周瑜しゅうゆは自分の後任に魯粛ろしゅくを推挙すると、最期にこの言葉を残して亡くなりました。


第5部 奸雄終命

第61話:馬騰・黄奎・苗沢

馬騰ばとう


馬騰馬騰

ぞくを殺せっ!ぞくを殺せっ!ぞくを殺せっ!

北方のうれいである馬騰ばとうを除くため、曹操そうそうは「大将軍だいしょうぐんに任命して孫権そんけんを討たせる」と称して馬騰ばとう許都きょとに招き寄せ、殺す計略を実行に移しました。

するとこれを逆手に取った馬騰ばとうは、これに応じた振りをして許都きょとを攻め、逆に曹操そうそうを討つ計画を立てます。

ですが、内側から城門を開ける手はずだった苗沢びょうたくが密告したため計画は失敗に終わり、生け捕りにされた馬騰ばとうは処刑されました。


黄奎こうけい


黄奎黄奎

白状します…。

曹操そうそうは、馬騰ばとうに内通していた黄奎こうけいを捕らえると、他にも内通者がいないか、苛烈な拷問を加えて問いただしました。

内通者の名前を書くため拘束を解かれた黄奎こうけいは、看守の隙を見て自害します。

この時黄奎こうけいげた名前の中に、曹操そうそうの息子・曹丕そうひの名前がありました。


苗沢びょうたく


苗沢苗沢

私がおらねば馬騰ばとうは攻め入っておりました!お命を守った私に、これはあまりの仕打ちです…。

馬騰ばとうの攻撃を密告した苗沢びょうたくは、その褒美としてあるじである黄奎こうけい愛妾あいしょう李春香りしゅんこうを求めました。

すると「あるじの妻や愛妾あいしょうと関係を持つこと」を最も嫌う曹操そうそうは、苗沢びょうたくを処刑してしまいました。


第64話:王累

王累おうるい


王累王累

蒼天よ~っ!さらばしょくよぉ~!

張魯ちょうろからしょくを守るため、劉璋りゅうしょう荊州けいしゅう劉備りゅうびに援軍を頼みました。

ですがしょくの臣下の中には、そのまま劉備りゅうびしょくを乗っ取るのではないかと危惧きぐする者が少なくありませんでした。

劉璋りゅうしょう成都せいとを出て劉備りゅうびを出迎えることを知った王累おうるいは、劉璋りゅうしょうの目の前で自害していさめましたが、劉璋りゅうしょうを止めることはできませんでした。


第65話:周善

周善しゅうぜん


周善周善

趙雲ちょううん!たとえ羽根があろうとも、逃げられるものかっ!

劉備りゅうび益州えきしゅう張魯ちょうろと戦っている今、孫権そんけんにとって荊州けいしゅうを取る絶好の機会ですが、心配なのは劉備りゅうびに嫁いだ孫小妹そんしょうめいのことです。

孫権そんけんは秘かに周善しゅうぜんを派遣して、劉備りゅうびの子・阿斗あとを連れ、孫小妹そんしょうめい孫尚香そんしょうこう)を江東こうとうに取り返そうとします。

周善しゅうぜんは追ってきた趙雲ちょううんに戦いをいどもうとしますが、さらに後から追ってきた張飛ちょうひに一突きで殺されました。


第66話:龐統

龐統ほうとう


龐統龐統

落鳳坡らくほうはだと?どうやら、ここは天がわしに与えた死に場所らしいなっ!

仁義を重んじる劉備りゅうびは、益州えきしゅうに入ってもいまだに劉璋りゅうしょうから益州えきしゅうを奪う決心がつきません。

劉備りゅうび軍師ぐんし龐統ほうとうは、劉備りゅうび劉璋りゅうしょうを攻める正当な理由をつくるため、えてみずから伏兵が待つ落鳳坡らくほうはおもむき、その命を散らしました。


第68話:魯粛

魯粛ろしゅく


魯粛魯粛

起こしてくれ、主君に便りを出さねば…。

関羽かんうとの会談を終えた魯粛ろしゅくはついにやまいが重くなり、寝たきりになってしまいました。

魯粛ろしゅくは熱心に看病をする呂蒙りょもうに後事をたくすと、孫権そんけんに便りを出さねばと筆を取りましたが、一文字も書くことなく力尽きてしまいました。


第69話:荀彧・耿紀

荀彧じゅんいく


荀彧荀彧

はは..、ははははは…。

朝廷の決まりに反して魏王ぎおうに就任した曹操そうそう荀彧じゅんいくの間には、そのこころざしの違いから、大きな溝ができてしまいました。

そんな中曹操そうそうは、程昱ていいくに命じて荀彧じゅんいくに果物を届けさせます。

程昱ていいくが帰った後、荀彧じゅんいくが箱を空けてみると、曹操そうそうが届けさせたものは何も入っていない空の箱でした。これを見た荀彧じゅんいくは、力なく笑ってみずから命を絶ちました。


耿紀こうき


耿紀耿紀

曹阿瞞そうあまん、たとえ死のうとも、悪鬼となって殺してやろうぞっ!

曹操そうそう魏王ぎおう就任に刺激されたかんの忠臣たちは、曹操そうそうの命を狙って反乱を起こします。

反乱は曹丕そうひ曹彰そうしょうの活躍で鎮圧され、捕らえられた反乱の首謀者・耿紀こうきは、曹操そうそうを散々ののしって処刑されました。


第71話:龐徳

龐徳ほうとく


龐徳龐徳

私を殺さねば、必ずやまたそなたを攻めに参るっ!

劉備りゅうび漢中かんちゅうを攻め取ったことに触発された関羽かんうは、独断で曹仁そうじんが守る樊城はんじょうに侵攻を開始します。

これに曹操そうそうは、援軍として于禁うきん龐徳ほうとくを派遣しますが、関羽かんうの水攻めに敗れ、捕らえられた于禁うきんは降伏しました。

ですが龐徳ほうとくは、元の主君の馬超ばちょうと兄の龐柔ほうじゅう劉備りゅうびに仕えているにもかかわらず、

「主君も兄も、凡庸ぼんようなだけだっ!大丈夫たるもの、首を叩き斬られても大声で笑っているものぞっ!私を殺さねば、必ずやまたそなたを攻めに参るっ!」

と降伏することをこばみます。

関羽かんうはそんな龐徳ほうとくに敬意を払い、自分の青龍偃月刀せいりゅうえんげつとうくびねさせました。


第72話:関羽

関羽かんう


関羽関羽

・・・。

孫権そんけんの裏切りにより荊州けいしゅうを奪われた関羽かんうは、ついに呂蒙りょもうに包囲され、追いめられてしまいます。

関平かんぺい周倉しゅうそうをはじめ、最後の一兵がたれるまでじっと腰掛けていた関羽かんうは、白くなったヒゲをゆっくりでて立ち上がり、首に剣を当てて自害しました。


第73話:華陀・曹操

華陀かだ


華佗華佗

大王だいおう、私は治療に来たのです。どうか誤解なきよう…。

頭痛がひどくなった曹操そうそうのために呼び出された神医・華陀かだは、

「病根は頭の中にあります。飲み薬だけでは、もうどうにもなりませぬ」

と、麻肺湯まはいとうを飲ませて鋭い刀で頭を切り開き、病根を取り除くしか方法がないことを告げました。

これを聞いた曹操そうそうは、関羽かんうと親しかった華陀かだが自分を殺そうとしているのだと勘違いし、華陀かだを処刑してしまいました。


曹操そうそう


曹操曹操

見誤みあやまられることなぞ、露ほども恐れぬ…。

みずからの死期をさとった曹操そうそうは、曹丕そうひを後継者に指名すると「司馬懿しばいを重用せよ、そして同時に、司馬懿しばいに警戒をおこたるな」と遺言します。

曹操そうそうは最期に重臣を集めて言いました。

わしは今まで多くの人々をあやめた。故にそなたたちは、彰徳府講武城しょうとくふこうぶじょう外に、72ヶ所の偽の墓を造れ。まことの墓を知られ、あばかれぬように。加えて、寡婦かふたちのうち、去りたきは去れ。他にとつぎたきはそれを認める。

死など恐れぬ。死は涼しい夏の夜のごとく、誰もが心地よく眠れる。世間はこの曹操そうそう見誤みあやまっていた。今もまだ見誤みあやまっている。この先もまた見誤みあやまるやも…。なれどわしはかくあり続ける。見誤みあやまられることなぞ、露ほども恐れぬ…」

曹操そうそうは、さかずきの水で濡らした指をはじくと、そのまま息を引き取りました。



第6部 天下三分

第75話:祖弼

祖弼そひつ


祖弼祖弼

後世に悪名を残し万人のそしりを受ける。それがお前たちの末路なのだっ!

「あの者らに渡せ…。」

華歆かきん禅譲ぜんじょう天子てんしの位をゆずること)の上奏を受けた献帝けんていは、玉璽ぎょくじを管理する符宝郎ふほうろうを呼んで言いました。

すると符宝郎ふほうろう祖弼そひつは、

「いいえっ!皇帝の玉璽ぎょくじ天子てんしのものです。ぞくには渡しませぬ。たとえ首をねられても、承伏できませぬっ!」

と言い、

祖弼そひつっ!そなた死にたいのかっ!?」

恫喝どうかつする曹洪そうこうを尻目に、百官に向かって言い放ちました。

春秋しゅんじゅう史官しかん董狐とうこ公は義をつらぬかれたっ!私はそれにならいたい。お前たち逆賊が朝廷を簒奪さんだつしたとて、歴史の真実は奪えぬっ!後世に悪名を残し万人のそしりを受ける。それがお前たちの末路なのだっ!」

祖弼そひつ曹洪そうこうに斬られましたが、

「立派だ…。一介いっかい符宝郎ふほうろうに過ぎぬが、そちら賊臣よりはるかに勝るっ!!」

と、献帝けんてい祖弼そひつを褒めたたえました。


第76話:献帝・曹皇后

献帝けんてい


献帝献帝

皇后こうごうよ、来世があるなら、決して皇帝の家には嫁ぐでないぞ。

献帝けんてい曹丕そうひ禅譲ぜんじょう天子てんしの位をゆずること)し、山陽公さんようこうに封ぜられます。

洛陽らくようを出るため曹節そうせつ曹皇后そうこうごう)ともに船に乗った劉協りゅうきょう献帝けんてい)は、

「ご先祖の山河をぞくの手に渡してしまった…。私はかんの大地に眠らず、魚のえさとなるべきなのだ」

と、みずから船底に穴を空けさせていました。

劉協りゅうきょうは、ともに死ぬことを選んだ曹節そうせつとともに、河に沈んでいきました。


曹皇后そうこうごう


曹皇后曹皇后

陛下も来世があるなら、二度と皇帝の家には生まれないでください。

曹丕そうひ禅譲ぜんじょう天子てんしの位をゆずること)し、山陽公さんようこうとなった劉協りゅうきょう献帝けんてい)は、みずから船底に穴を空けさせて、自害するつもりでした。

曹節そうせつ曹皇后そうこうごう)は「皇后こうごうよ、そなたはもう行け。私を1人にしてくれ」と言う劉協りゅうきょうに、

「生まれて初めて陛下は英雄になられたのです。私はどこへも行きません。お供します。陛下のおそばを離れません」

と言って、劉協りゅうきょうと運命を共にしました。


第77話:張飛

張飛ちょうひ


張飛張飛

ZZZ…。

天子てんしに即位した劉備りゅうびは、ついに関羽かんう仇討あだうちのために出兵することを決定します。

への出兵に際し、張飛ちょうひは5日以内に3万の白旗と白衣をそろえるように命じていましたが、命じられた范彊はんきょう張達ちょうたつそろえることができませんでした。

この罪により鞭打ち200回の罰を受けた范彊はんきょう張達ちょうたつは「次は殺されてしまう」と、張飛ちょうひの寝込みを襲ってに逃亡してしまいました。


第80話:程普・黄忠

程普ていふ


程普程普

早く行け…。

しょくの老将・黄忠こうちゅうは、みずからの身をていして伏兵を置いた富池口ふちこう軍を誘い込みます。

危機におちいった韓当かんとう周泰しゅうたいらを救いに来た程普ていふは、伏兵の矢に当たり命を落としました。


黄忠こうちゅう


黄忠黄忠

そなたは面白くなかろう、どうだ参ったかと!

軍を富池口ふちこうに誘い込む際、黄忠こうちゅうは身体に無数の矢を受けてしまいます。

見舞いに来た劉備りゅうびに黄忠こうちゅうは、自分の生涯で負けたのは2度だけ。長沙ちょうさ関羽かんうに負けたことが悔しくてならないと言いました。

漢升かんしょうよ、雲長うんちょう同様そなたも若ければ、雲長うんちょうは勝てなかったであろう」

この劉備りゅうびの言葉を聞いた黄忠こうちゅうは、

「これまた嬉しいことを…。2度目の負けが此度こたびの敗戦。私は負けをきっしましたが、陛下は勝利なされた!負けても悔いはない。あの世に言って、雲長うんちょうに会ったらかように言ってやりましょう。陛下が五虎大将軍ごこだいしょうぐんに私を任じてくださったのだと…。そなたは面白くなかろう、どうだ参ったかとっ!」

と言って笑うと、満足げに息を引き取りました。


第81話:傳駿

傳駿ふしゅん


傳駿傳駿

陸遜りくそん、丁重に迎えぬかっ!ハハハハハ…!

孫権そんけんの妻の弟・傳駿ふしゅんは軍令を破り、4つの陣営を失ってしまいました。

めいを下す。傳駿ふしゅんを死罪に処す」

陸遜りくそん傳駿ふしゅんに死罪を申し渡したその時、ちょうど孫権そんけんが軍の慰労いろうに来たことが伝えられます。

主君の親族を斬ることなどできまいと高をくくって悪態をつき続ける傳駿ふしゅんを、陸遜りくそんは構わず処刑しました。


第83話:劉備

劉備りゅうび


劉備劉備

いまだに覚えておらぬとは…。

陸遜りくそんの火計に敗れ、白帝城はくていじょうに入った劉備りゅうびは重いやまいに倒れました。

みずからの死期をさとった劉備りゅうびは、劉禅りゅうぜん孔明こうめいを呼んで後事をたくすと、孔明こうめいに他の臣下を呼びに行かせます。

2人きりになった劉備りゅうびは、劉禅りゅうぜん高祖こうそ本紀ほんぎを暗唱させますが、劉禅りゅうぜんいまだに覚えていませんでした。

罰を与えようと振り上げた手で力なく劉禅りゅうぜんほおでた劉備りゅうびは、そのまま息を引き取りました。


第7部 危急存亡

第84話:曹丕

曹丕そうひ


曹丕曹丕

疲れた…。下がって良いぞ。

持病の肺病が悪化した曹丕そうひは、司馬懿しばいを呼びます。

曹操そうそうの遺言通り司馬懿しばいを警戒して軍権を渡さなかった曹丕そうひですが、孔明こうめいと渡り合えるのは司馬懿しばいしかいないと司馬懿しばい驃騎大将軍ひょうきだいしょうぐんに任命し、息子・曹叡そうえいの補佐を頼むと、40歳の若さで亡くなりました。


第85話:王朗

王朗おうろう


王朗王朗

おのれ…、貴様…っ!

曹叡そうえい天子てんしに即位すると、曹氏そうし一族の曹真そうしん曹休そうきゅうは、司馬懿しばい陽陵大都督ようりょうだいととくに転任させて洛陽らくようから追い出してしまいます。

孔明こうめいの北伐を迎え撃った曹真そうしん軍師ぐんし王朗おうろうは、戦いの前に孔明こうめいに舌戦を挑みますが、散々に言い負かされて、血をいて憤死しました。


第87話:馬謖

馬謖ばしょく


馬謖馬謖

丞相じょうしょうっ!お別れにございますっ!

曹真そうしんが敗れると、曹叡そうえいはついに司馬懿しばいを召し出します。

すると孔明こうめいは、司馬懿しばいが狙ってくるのはしょく軍の喉元のどもとに当たる要衝・街亭がいていだと読んで、馬謖ばしょく王平おうへいを派遣しました。ですが馬謖ばしょくは、浅知恵から孔明こうめいの命令を無視し、山頂に布陣して大敗北をきっしてしまいます。

孔明こうめいは軍規を引き締めるため、自分の後継者にと大事に育てて来た馬謖ばしょくに、涙を流しながら処刑を命じました。


第88話:趙雲・郝昭

趙雲ちょううん


趙雲趙雲

北伐!北伐!北伐…!

2度目の北伐を前に、五虎大将軍ごこだいしょうぐんの最後の1人である趙雲ちょううんが亡くなってしまいます。

この報告を聞いた孔明こうめいは筆を落とし、その場に倒れ込んで号泣しました。


郝昭かくしょう


郝昭郝昭

司馬しばどのっ!申し訳ありませぬ!

司馬懿しばいが推挙して陳倉城ちんそうじょうの守りにいた郝昭かくしょうは、城を固く守り、しょく軍の侵攻を許しませんでした。

ですが、孔明こうめいの計略にかかった曹真そうしん陳倉城ちんそうじょうの兵の半数を奪ったため、陳倉城ちんそうじょうは敵の侵入を許してしまいます。

もう城を守りきれないとさとった郝昭かくしょうは自害して果てました。


第89話:張郃

張郃ちょうこう


張郃張郃

なんだここは?気味が悪いな…。

孔明こうめいに敗れた曹真そうしんは、罪を逃れるため仮病を使って大都督だいととくを辞任します。

再び軍権を握った司馬懿しばいは、孔明こうめい武都ぶとに移動しているという情報を得ました。すると司馬懿しばいは、これは自分をおびき出すための罠で、武都ぶとに向かう道には伏兵がいると読み、張郃ちょうこうに、孔明こうめいではなくしょくの陣営を襲わせます。

ですがこれこそが孔明こうめいの狙いでした。孔明こうめいは伏兵の待つ剣閣けんかく張郃ちょうこうを引き入れると、降伏をこばんだ張郃ちょうこうを射殺してしまいました。


第90話:曹真

曹真そうしん


曹真曹真

援軍だと!?誰だ…?。

司馬懿しばいが敗れたことを知った曹真そうしんは仮病をやめ、元気満々大都督だいととくに返り咲きます。

すると孔明こうめいやまいを理由に撤退を始め、曹真そうしんは嬉々として奪い返した陳倉城ちんそうじょうに入りました。

ですがこれは孔明こうめいの計略。低地にある陳倉城ちんそうじょうは長雨で水浸みずびたしとなり、武器や防具、兵糧などが使い物にならなくなってしまいます。

頃合いを見計らって攻撃を仕掛けてきた魏延ぎえんらに敗れた曹真そうしんは、しょく軍のよろいを着て逃走しました。

そこに現れた司馬懿しばいは、

「おやおや、賊兵ぞくへいかと思えば大都督だいととくでありましたか? 知っておれば、もっと急ぎましたのに…」

曹真そうしんの首根っこをポンと叩きます。

すると曹真そうしんは、いきどおりから血を吐いて亡くなってしまいました。


第93話:兵糧官

兵糧官ひょうろうかん


兵糧官兵糧官

将軍しょうぐん、嘘は申しておりません!先程までしょく軍の旗があちらこちらに!大都督だいととくっ!

孔明こうめいは、みずから考案した「木牛流馬」をえて軍に奪わせます。司馬懿しばいは「これは便利だ」と同じものをつくらせ、軍の兵糧を運ばせましたが、「木牛流馬」に仕込まれたカラクリを使って軍の兵糧が奪われてしまいました。

「言い訳は良い!斬れっ!」

司馬懿しばいはこれが孔明こうめいの計略であり、兵糧官ひょうろうかんが嘘をついていないことを知りながら、兵糧官ひょうろうかんを斬りました。

曹操そうそうに斬られた兵糧官ひょうろうかんといい、軍の兵糧官ひょうろうかんは無実の罪で斬られることが多いですね!


第94話:諸葛亮・魏延

諸葛亮しょかつりょう


諸葛亮諸葛亮

もって陛下にそむくことなし…

上方谷じょうほうこく司馬懿しばいを討ちらした孔明こうめいやまいが重くなり、起き上がるのも難しくなってしまいます。

死期をさとった孔明こうめいは、みずかあらわした兵法24篇を姜維きょういさずけ、楊儀ようぎ姜維きょういに後事をたくしました。

孔明こうめいは最期に、

「生死は定まりし定めなれど、定数じょうすうは逃れがたく、死のまさに至らんとするや、願わくは愚忠ぐちゅうを尽くさん。

りょう、生来愚拙ぐせつにして艱難かんなんの時にい、軍権を掌握し国の重任をになう。軍を起こし北伐するもいまだ功ならず。いつしかやまい膏肓こうこうに入り、命旦夕たんせきに迫る。終生陛下に仕うべからず、遺憾いかん極まりなし。

陛下に願わくは、心を清めおのれを律し、民を愛されんことを。先帝に孝道を尽くし、天下に仁恩をかんことを。隠者を抜擢し、賢良を登用し、奸邪かんじゃ退しりぞけ、風俗を厚くされんことを…。

成都せいとにある臣が宅には桑が800株、田畑が15けいあり、我が一族、衣食に余りありて不自由なし。臣、外にあるおりには、身辺にり様なものすべて官にあおぎ、私財をつくらず。臣の死後、我が一族は内に余分な絹を持たず、外に余分な財富めず、もって陛下にそむくことなし…」

劉禅りゅうぜんに遺言して亡くなりました。


魏延ぎえん


魏延魏延

馬岱ばたい、そいつを捕らえろっ!

孔明こうめいが亡くなると姜維きょういは、「漢中かんちゅうに撤退し、楊儀ようぎに兵符をゆだねる」という孔明こうめいの遺言を伝えました。

「待てっ!」

そこへやって来た魏延ぎえんは、楊儀ようぎから兵符を取り上げて北伐の継続を宣言します。

丞相じょうしょうはそなたの謀叛むほんを予測されていたっ!されど、よもやかくも早くまことになるとはっ!」

姜維きょういに非難された魏延ぎえんは笑って言いました。

「ならばどうなのだ? 丞相じょうしょうはもうこの世にはおられぬ。ぁあ? 今や恐れるものは何もないのだ。誰か私に逆らえるのか!? 馬岱ばたい、そいつを捕らえろっ!」


丞相じょうしょうのご遺志により、魏延ぎえんを斬るっ!」

馬岱ばたいは、生前孔明こうめいに言い含められた通りに魏延ぎえん喉笛のどぶえを一閃し、魏延ぎえんは絶命しました。


第95話:曹叡・司馬懿

曹叡そうえい


曹叡曹叡

ちん亡きのちは、そなたがその者を使うが良い。

病床の曹叡そうえい司馬懿しばいの野心を見抜くため、大権を与えようとかまをかけましたが、司馬懿しばいは辞退しました。

司馬懿しばいに天寿をまっとうさせることにした曹叡そうえいは、

「先帝(曹丕そうひ)の御世みよに、間近で司馬懿しばいの一挙手一投足を観察させるため、ある人物が送り込まれた。その者は、十数年に渡り、朝廷に代わって司馬懿しばいのすべてを見聞きしてきた。ちんなき後は、そなたがその者を使うがよい…」

曹爽そうそうに言い残し、この世を去りました。


司馬懿しばい


司馬懿司馬懿

さあ、もう一度…。

頭髪やヒゲは真っ白に変わり、すっかり耳も遠くなった司馬懿しばいは、孫の司馬炎しばえん暗唱あんしょうを聞く相手をしていました。

「さあ、もう一度…」

司馬炎しばえんを横に座らせてその肩を抱いた司馬懿しばいは、眠るように静かに息を引き取りました。


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画像引用元

中国ドラマ『三国志 Three Kingdoms』

三国志 Three Kingdoms | チャンネル銀河