曹操の留守を狙って兗州で反乱を起こした呂布ですが、引き返して来た曹操に敗れ、流浪するはめになりましたが…。
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呂布が徐州の劉備を頼る
画像出典:ChinaStyle.jp
前回は、曹操さんがやっと兗州を取り返したところまででしたよね。
うん。それで呂布は冀州の袁紹を頼ろうとしてたんだよね。
そうですね。今回は、曹操に敗北した呂布のお話です。
ご確認
この記事は『三国志演義』に基づいてお話ししています。正史『三国志』における「呂布の逃亡先」については、こちらをご覧ください。
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呂布が徐州の劉備を頼る
では、今回のお話を始めましょう。
冀州の袁紹のところに「呂布が曹操に敗北したこと」が伝えられると、参謀の審配が進み出て言いました。
「呂布は猛獣のごとき男です。もし呂布が兗州を手に入れたなら、必ず冀州をも取ろうとするでしょう。
我々としては、曹操を応援して呂布の攻撃に加わる方が、後の煩いを絶つことになります」
これに頷いた袁紹は、顔良に将兵5万をつけて、曹操への援兵に差し向けました。
呂布が放っていた間者がこのことを報告すると、呂布は大いに驚いて陳宮に相談します。
すると陳宮は、
「劉玄徳(玄徳は劉備の字)は近頃徐州を手に入れたようなので、徐州に身を寄せましょう」
と言ったので、呂布はこの言葉に従って徐州に向かいました。
そもそも呂布が身を寄せてた時、袁紹は呂布を殺そうとしてたからな(笑)
劉備さんと呂布さんが最後に会ったのって、3対1で戦った時?
そうですね。でも今の呂布は、董卓を殺した功臣でもありますから。
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劉備の反応
呂布が徐州に向かっていることは、劉備の耳にも入りました。
すると劉備は、
「呂布は当世に並びなき英雄だ、出迎えるが良い」
と呂布を受け入れようとしますが、これに糜竺は、
「呂布は虎狼のごとき奴、迎え入れてはなりませぬ。手元に置けば人を害しましょう」
と言って反対します。ですが劉備はまた、
「先頃、もし呂布が兗州を襲わなかったら、こちらも危ないところであった。万策尽きて我らを頼って来る者に、他意はあるまい」
と言って、糜竺の進言を受け入れようとはしませんでした。
この様子を見ていた張飛は、
「兄上(劉備)はどうも人が善すぎる…。だがそうは言っても、用意だけはしておかねばならん」
とつぶやきました。
やっぱりみんな呂布を受け入れることには反対だねっ!
でもこういうところが劉備さんの良いところだよ。呂布さんが味方になれば心強いしっ!
裏切らなければねっ!(笑)
なんにせよ劉備は、呂布を出迎えることにしました。
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呂布が小沛に駐屯する
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劉備が呂布に徐州を譲ろうとする
劉備は大勢を引き連れて、城から30里(約13km)の所まで呂布を出迎えました。
劉備は呂布と馬を並べて城内に入ると、州庁の広間であいさつをかわします。
そして呂布は、座に着くなり言いました。
「私は王司徒(王允)の計略をもって董卓を殺した後、李傕・郭汜の反乱に遭い、関東(広く函谷関より東の地域のこと)をさすらい歩きましたが、諸侯たちはあまり快く迎えてはくれませぬ。
近頃、曹操の 人でなし めが徐州を侵した時には、劉使君(劉備)どののお力で陶謙を救われたが、私はその隙に兗州を襲って彼の勢力を分散させようといたしましたところ、図らずも敵の計略に謀られ、兵を失い大将をも討たれてしまいました。
この度、刺史(劉備)どのを頼って参ったのは、一緒に大事を図ろうとの所存です。いかがお考えでしょうか」
すると劉備は、
「陶刺史(陶謙)どのが亡くなられたばかりで、徐州の主となる者がなかったゆえ、私は仮に州を預かっておりました。
幸い将軍(呂布)がお見えになったからは、お譲りいたすのが当然と思います」
と言って、徐州刺史の牌と官印を呂布に与えようとします。
呂布は内心喜んでこれを受け取ろうとしましたが、ふと見ると、劉備の後ろの関羽・張飛の2人が怒りの色を浮かべているのが目に入りました。
そこで呂布は作り笑いをして、
「私はただの武人、州の牧(長官)などに何としてなれましょう」
と言って誤魔化しましたが、劉備はなおも呂布に徐州を譲ろうとします。
そこで陳宮が割って入り、
「『強い客人も主人の上には立たぬ』という言葉があります。刺史(劉備)どのには、どうか疑念をお晴らしくだされ」
と言ったので、劉備も態度を改めて宴会を開いて彼らをもてなしました。
しかし呂布は恩着せがましい物言いだな(笑)
でも劉備さんは、本当に呂布さんに徐州をあげちゃうつもりだったのかな?
本気だったんじゃない?それが良い所なんでしょ?
う〜ん、陶謙さんの気持ちを考えると違う気がする…。
確かにそうですね。宴会が終わると、劉備は宿所を整えて呂布たちを休ませます。
張飛の反発
次の日、呂布は返礼の宴会を催して劉備を招待しました。
呂布の招待を受けた劉備は、関羽・張飛を連れだって宴会に出席します。
するとその宴会の途中、呂布は劉備を奥の間に案内しました。
関羽・張飛も後に続いて奥の間に着いて行くと、呂布は妻を呼び出して劉備に丁寧なあいさつをさせます。
「弟よ、遠慮には及ばぬ」
くり返し辞退する劉備に呂布がそう声をかけると、これを聞いた張飛は目を怒らせて、
「兄上は皇室の御一門、金枝玉葉(皇族)の身だぞっ!
貴様は何者だっ!兄上を弟などと呼びおって、さあ来いっ!300合の合戦で勝負をつけてやるっ!」
と呂布を怒鳴りつけました。
驚いた劉備は慌てて張飛を叱りつけ、関羽になだめられた張飛は外に出て行きます。
すぐに劉備は、
「弟めが酒の上で戯言を申しましたが、どうかお気にかけられぬよう…」
と詫びましたが、呂布は黙り込んでいました。
宴会が散開となって呂布が劉備を門まで送り出したところ、門の外には槍を横たえ馬に跨がった張飛が待っていて、
「やい呂布っ!300合の試合だっ!」
と叫びます。
劉備はすぐにまた、関羽に命じて張飛をなだめさせました。
呂布はよく我慢したなぁ(笑)
呂布の奥さんって、貂蝉さん!?
『三国志 Three Kingdoms』では、貂蝉だったねっ!
『三国志演義』では「妻」とあるだけで、貂蝉かどうかは分かりませんね。
そうなのかぁ、貂蝉さんかと思った…。
呂布が小沛に駐屯する
次の日、再び呂布が劉備の元を訪れます。
劉備の元を訪れた呂布は、
「刺史(劉備)どののご厚意はかたじけないが、弟御たちが受け入れてはくれないようです。私は他所へ参ることにします」
と暇乞いを告げました。
ですが劉備は、
「将軍(呂布)が他所へお出でになっては、私の落ち度が大きくなります。弟めがご機嫌を損ねた事は、後日改めてお詫びに参りましょう。
この近くの小沛は、私が以前に軍隊を留めた所です。狭苦しい所ながら、もしよろしければ、しばらくご休息されてはいかがでしょうか。糧食その他は私がご用立ていたしましょう」
と言って呂布を引き留めます。
すると呂布は劉備に礼を述べ、軍隊を率いて小沛に身を落ち着けました。
あ〜あ、去るって言ってるのに引き留めちゃった…。
でも呂布さんがいてくれたら心強いでしょ?
裏切らなければねっ!
裏切るかなぁ?暇乞いをしてたのを劉備さんが引き留めたんだよ?
どうでしょうねぇ。どちらにせよ呂布は、身を落ち着ける場所を見つけることができました。
兗州で曹操に敗れた呂布は、袁紹を頼ろうと考えていましたが、その袁紹は顔良に将兵5万をつけて、曹操への援兵に差し向けたので、今度は徐州を手に入れたばかりの劉備の元に落ちのびることにしました。
そして、突然呂布の訪問を受けた劉備は、呂布を受け入れるだけでなく、なんと徐州を譲ろうとします。
ですが、劉備の義弟の張飛は呂布に反発し、両者の間にわだかまりを残したまま、呂布は小沛に駐屯することになりました。
次回は、李傕と郭汜が牛耳る朝廷のお話になります。