後漢（ごかん）・三国時代の少府（しょうふ）の職務と少府府（しょうふふ）の属官・属吏についてまとめています。

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少府（しょうふ）

職務

少府（しょうふ）は九卿（きゅうけい）の1つに数えられる官職で、天子（てんし）が禁中（宮中）で使用する衣服とその他の衣服、珍（めずら）しい物品、珍（めずら）しい食事など天子（てんし）が使用する様々な物品を取り仕切ります。


宗正（そうせい）・大司農（だいしのう）・少府（しょうふ）の3つの卿（けい）は、司空（しくう）の管轄になります。


少府（しょうふ）の「少」は小さいという意味で、管轄する範囲が少ないため少府（しょうふ）と呼ばれました。

租税（田租（でんそ）と芻藁（すうこう））をもって公費（国家の日常的な経費）に充（あ）て、不作の年であれば山澤陂池（さんたくはち）の税と漁税（ぎょぜい）、塩税（えんぜい）、市籍税（しせきぜい）をもって少府（しょうふ）が天子（てんし）の私費に充（あ）てます。

基本情報

詳細が不明の箇所は空白にしています。

  後漢（ごかん） 魏（ぎ） 蜀（しょく） 呉（ご）
定員 1人 1人 1人 1人
秩石
品秩		 中二千石 三品    
印綬 銀印青綬      

少府の変遷

大司農（だいしのう）は、前漢（ぜんかん）初期から三国時代まで、次のように改称されています。

時期 名称
前漢（ぜんかん） 少府（しょうふ）
王莽（おうもう） 共工きょうこう
後漢（ごかん） 少府（しょうふ）
三国時代
他の官職についてはこちら

【後漢・三国時代の官職】目次


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少府の属官一覧

少府（しょうふ）の属官には、少府（しょうふ）に所属する官職と、形式的には少府（しょうふ）に属しますが、実際は天子（てんし）に直属（文属）する官職があります。

少府（しょうふ）の属官は非常に多いため、この記事では「少府（しょうふ）の属官1（所属）」について記載します。

○=後漢（ごかん）のみ　★=魏（ぎ）（蜀（しょく）・呉（ご））のみ　☆=魏（ぎ）（蜀（しょく）・呉（ご））は光禄勲府（こうろくくんふ）に所属

少府の属官1（所属）

少府（しょうふ）

少府の属官2（文属）

以下の官職は、形式的には少府（しょうふ）に属しますが、実際は天子（てんし）に直属する官職になります。

少府の属官3（文属）

以下の官職は、形式的には少府（しょうふ）に属しますが、実際は天子（てんし）に直属する官職になります。

尚書台（しょうしょだい）

少府の属官4（文属）

以下の官職は、形式的には少府（しょうふ）に属しますが、実際は天子（てんし）に直属する官職になります。

符節台（ふせつだい）

御史台（ぎょしだい）


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少府府

以下は『続漢書（ぞくかんじょ）』百官志（ひゃっかんし）を基に作成しています。【】内は【定員・官秩・品秩】で、［］内はそれぞれの王朝での情報になります。

少府の属吏（後漢）

少府丞（しょうふじょう）

【1名・比千石・七品】

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=○・蜀（しょく）=○・呉（ご）=○］


少府（しょうふ）の次官。


その他

その他の掾（えん）・史（し）は状況に応じて定員を定めます。

『漢官（かんかん）』には、少府（しょうふ）に所属する員吏（いんり）は34名とあり、その内訳は以下のようになっています。

  • 四科（しか）：1名
  • 二百石（にひゃくせき）：1名
  • 百石（ひゃくせき）：5名
  • 斗食（としょく）：4名
  • 佐（さ）：3名
  • 騎吏（きり）：6名
  • 学事（がくじ）：13名
  • 官醫（かんい）（官医（かんい））：1名

少府の属官1（後漢）

太醫令（たいいれい）（太医令（たいいれい））

【1名・六百石・七品】

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=○・蜀（しょく）=？・呉（ご）=？］


医者を統率します。

属官
薬丞（やくじょう）

【1名・三百石・九品】

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=○・蜀（しょく）=？・呉（ご）=？］


薬の管理を取り仕切ります。

方丞（ほうじょう）

【1名・三百石・九品】

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=×・蜀（しょく）=？・呉（ご）=？］


薬の処方を取り仕切ります。


『漢官（かんかん）』には、太醫令（たいいれい）（太医令（たいいれい））に所属する員醫（いんい）は293名、員吏（いんり）は19名とあります。


太官令（たいかんれい）

【1名・六百石・七品】

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=○・蜀（しょく）=？・呉（ご）=？］


天子（てんし）の飲食を取り仕切ります。

属官
左丞（さじょう）

【1名・三百石・九品】

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=○・蜀（しょく）=？・呉（ご）=？］


飲食を取り仕切ります。

甘丞（かんじょう）

【1名・三百石・九品】

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=○・蜀（しょく）=？・呉（ご）=？］


食膳（しょくぜん）に用（もち）いる器を取り仕切ります。

湯官丞（とうかんじょう）

【1名・三百石・九品】

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=○・蜀（しょく）=？・呉（ご）=？］


酒を取り仕切ります。

果丞（かじょう）

【1名・三百石・九品】

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=○・蜀（しょく）=？・呉（ご）=？］


果実（果物）を取り仕切ります。


『漢官（かんかん）』には、太官令（たいかんれい）に所属する員吏（いんり）は69名、衛士（えいし）は38名とあります。


守宮令（しゅきゅうれい）

【1名・六百石・-】

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=○・蜀（しょく）=？・呉（ご）=？］


天子（てんし）が使用する紙・筆・墨（すみ）や、尚書（しょうしょ）が使用する財物とその他の様々な物品、および封泥（ふうでい）を取り仕切ります。

魏（ぎ）（蜀（しょく）・呉（ご））では、光禄勲（こうろくくん）に属しました。

属官
守宮丞（しゅきゅうじょう）

【1名・三百石・-】

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=○・蜀（しょく）=？・呉（ご）=？］


守宮令（しゅきゅうれい）の次官。

外官丞（がいかんじょう）

【1名・二百石・-】（『漢官（かんかん）』）

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=×・蜀（しょく）=×・呉（ご）=×］


『漢官（かんかん）』には、守宮令（しゅきゅうれい）に所属する員吏（いんり）は69名とあります。


上林苑令（じょうりんえんれい）

【1名・六百石・七品】

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=○・蜀（しょく）=？・呉（ご）=？］


上林苑（じょうりんえん）に居住する民と苑内（えんない）で飼育されている鳥獣を取り仕切り、苑内（えんない）の獣（けもの）を捕らえ天子（てんし）の食事の材料として太官令（たいかんれい）に送ります。

属官
上林苑丞（じょうりんえんじょう）

【1名・三百石・九品】

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=○・蜀（しょく）=？・呉（ご）=？］

上林苑尉（じょうりんえんい）

【1名・三百石・九品】

［後漢（ごかん）=○・魏（ぎ）=○・蜀（しょく）=？・呉（ご）=？］


『漢官（かんかん）』には、上林苑令（じょうりんえんれい）に所属する員吏（いんり）は58名とあります。


桓帝（かんてい）は鴻徳苑令（こうとくえんれい）を設置しています。


少府府の属官一覧表（三国）

以下は「ちくま学芸文庫『正史 三国志8』三国官職表」を基に作成しています。官職名下の数字は定員です。

詳細が不明の箇所は空白にしていますが、他の史料で情報を見つけ次第随時追記します。

官職名 秩石 備考
品秩
少府（しょうふ）
（1）		 中二千石
  • 建安（けんあん）18年に設置。
  • 宮中服御の諸物、衣服宝貨珍膳の類を司（つかさど）る。
  • 蜀（しょく）=同名。建安（けんあん）24年に設置。
  • 呉（ご）=同名。
七品
属官 少府丞（しょうふじょう）
1		 比千石
  • 少府（しょうふ）の次官。
七品
材官校尉（ざいかんこうい）
（1）		 比二千石
  • 黄初（こうしょ）年間に設置。
  • 天下の材木を司（つかさど）る。
  • 蜀（しょく）・呉（ご）=無。
六品
属官 司馬（しば）
1		 –
  • 兵を司（つかさど）る。
八品
大医令（たいいれい）
（1）		 六百石
  • 諸医を司（つかさど）る。
  • 蜀（しょく）・呉（ご）=不明。
七品
属官 薬丞（やくじょう）
1		 三百石
  • 薬を司（つかさど）る。
九品
太官令（たいかんれい）
（1）		 六百石
  • 天子（てんし）の飲食を司（つかさど）る。
  • 蜀（しょく）・呉（ご）=不明。
七品
属官 左丞（さじょう）
1		 三百石
  • 飲食を司（つかさど）る。
九品
属官 甘丞（かんじょう）
1		 三百石
  • 膳具（ぜんぐ）（食器）を司（つかさど）る。
九品
属官 湯官丞（とうかんじょう）
1		 三百石
  • 酒を司（つかさど）る。
九品
属官 果丞（かじょう）
1		 三百石
  • 果実（果物）を司（つかさど）る。
九品
上林苑令（じょうりんえんれい）
（1）		 六百石
  • 上林苑（じょうりんえん）内の民と禽獣（きんじゅう）を司（つかさど）る。
  • 蜀（しょく）・呉（ご）=不明。
七品
属官 上林苑丞（じょうりんえんじょう）
1		 三百石
  • 上林苑令（じょうりんえんれい）の次官。
九品
御府令（ぎょふれい）
（1）		 六百石
  • 宮中の衣服の修補洗濯を司（つかさど）る。
  • 蜀（しょく）=不明。
  • 呉（ご）=同名。
七品
属官 御府丞（ぎょふじょう）
1		 三百石
  • 御府令（ぎょふれい）の次官。
九品
鉤盾令（こうじゅんれい）
（1）		 六百石
  • 近郊の池・苑など遊観の所を司（つかさど）る。
  • 蜀（しょく）・呉（ご）=不明。
七品
属官 鉤盾丞（こうじゅんじょう）
1		 三百石
  • 鉤盾令（こうじゅんれい）の次官。
九品
属官 永安丞（えいあんじょう）
1		 三百石
  • 永安（えいあん）の北宮の東北にある小宮を司（つかさど）る。
九品
属官 苑中丞（えんちゅうじょう）
1		 二百石
  • 苑中の離宮（りきゅう）を司（つかさど）る。
九品
属官 鴻池丞（こうちじょう）
1		 二百石
  • 洛陽（らくよう）の東の鴻池（こうち）を司（つかさど）る。
九品
属官 霊芝園監（れいしえんかん）
1		 四百石
  • 洛陽宮（らくようきゅう）にある霊芝園（れいしえん）を司（つかさど）る。
七品
属官 総章監（そうしょうかん）
1		 三百石
  • 洛陽宮（らくようきゅう）の総章観（そうしょうかん）を司（つかさど）る。
九品
属官 戯馬監（ぎばかん）
1		 三百石
  • 不明。
九品
中蔵府令（ちゅうぞうふれい）
（1）		 六百石
  • 宮中の幣帛金銀諸貨物を司（つかさど）る。
  • 蜀（しょく）=不明。
  • 呉（ご）=同名。
七品
属官 中蔵府丞（ちゅうぞうふじょう）
1		 三百石
  • 中蔵府令（ちゅうぞうふれい）の次官。
九品
中左右尚方令（しょうほうれい）
（各1）		 六百石
  • 天子（てんし）の刀剣、翫好（がんこう）の器物製作を司（つかさど）る。
  • 蜀（しょく）=不明。
  • 呉（ご）=同名。
七品
属官 中左右尚方丞（しょうほうじょう）
各1		 三百石
  • 尚方令（しょうほうれい）の次官。
九品
平準令（へいじゅんれい）
（1）		 六百石
  • 物価及び織物の染色を司（つかさど）る。
  • 蜀（しょく）=不明。
  • 呉（ご）=同名。
七品
属官 平準丞（へいじゅんじょう）
1		 二百石
  • 平準令（へいじゅんれい）の次官。
  • 後漢（ごかん）では大司農（だいしのう）に属す。
九品
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