後漢時代に封建された爵位・列侯・関内侯と、四夷国(東夷・北狄・西戎・南蛮)に封建された爵位についてまとめています。
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列侯(れっこう)
列侯(れっこう)とは
列侯とは、秦の制度を受け継いだ二十等爵における最高位(爵20級)の爵位のことで、功績を有する者が列侯に封ぜられます。
元は徹侯と言いましたが、後に前漢の第7代皇帝・武帝(劉徹)の諱を避けて、列侯と改称されました。
列侯の上位に諸侯王がありますが、諸侯王は皇族のみに許された特別な爵位になります。
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侯国(こうこく)
列侯に封ぜられた者には金印紫綬を授与され、大きな功績を有する者には県が、小さな功績を有する者には郷または亭が食邑として与えられます。
列侯に食邑として与えられた県のことを侯国と言います。
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侯国の官吏
列侯
列侯
【1名・-・-】
[後漢=○・魏=?・蜀=?・呉=?]
列侯には、与えられた侯国に対する支配権はありません。
朝廷から派遣された官吏が侯国を統治し、列侯は侯国の民から徴収される租税を受け取ります。
元朔2年(紀元前127年)、武帝は「諸侯王に嫡子以外の子弟にも封土を分け与えることを許す」推恩の令を発布し、以降、封土を分け与えられた諸侯王の子弟も列侯の扱いとしました。
属官(家臣)
家丞
【1名・-・-】
[後漢=○・魏=?・蜀=?・呉=?]
食邑が1,000戸以上の列侯に設置され、列侯に近侍して家の事柄を処理します。
庶子
【1名・-・-】
[後漢=○・魏=?・蜀=?・呉=?]
列侯に近侍して家の事柄を処理します。
前漢では、家丞・庶子の他に行人・洗馬・門大夫も設置されていましたが、後漢になると行人・洗馬・門大夫は廃止されました。
侯国に派遣された官吏
相(侯国相)
【1名・県令・県長に準じる・-】
[後漢=○・魏=?・蜀=?・呉=?]
職務は県令と同じで、諸侯王の代わりに侯国を統治します。
相(侯国相)以下の侯国の官吏は県令・県長と同じです。
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関内侯(かんだいこう)
秦の制度を受け継いだ二十等爵における爵19級(上から2番目)の爵位のこと。
関内侯に封ぜられた者には封地がなく、自分が元々暮らしていた県に居住して定められた食邑に相当する租税を受け取ります。
関内とは関中とも言い、函谷関以西の地域のことで、関内侯の解釈には諸説あります。
四夷国(しいこく)
後漢では、周辺異民族の四夷(東夷・北狄・西戎・南蛮)の長を、その規模に応じて、
- 国王
- 率衆王
- 帰義侯
- 邑君
- 邑長
に封じ、国王、率衆王には郡に、帰義侯、邑君、邑長には県に相当する丞が置かれました。
日本の福岡県・志賀島で見つかった金印に刻印された「漢委奴国王」にある「国王」がこれにあたります。
四夷国における王や侯は、諸侯王や列侯の王や侯とは別物です。