後漢(ごかん)・三国時代の司空(しくう)・御史大夫(ぎょしたいふ)の職務と司空府(しくうふ)(御史大夫府(ぎょしたいふふ))の属官・属吏についてまとめています。

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司空(しくう)

職務

司空(しくう)は三公(さんこう)の1つに数えられ、治水土木全般を担当する官職です。

城郭や邑(むら)を造営して民を居住させ、灌漑(かんがい)水路や堤防(ていぼう)の建設を検討し、年末にはこれらの業績を天子(てんし)に奏上して賞罰を行います。

郊祭(こうさい)(郊祀(こうし))においては、楽器を祓(はら)い清めることを担当します。

また、国家に重大なことがあれば太尉(たいい)・司徒(しと)と協議し、天子(てんし)に重大な過(あやま)ちがあれば、太尉(たいい)・司徒(しと)と共にこれを諫(いさ)めます。


前漢(ぜんかん)・韓嬰(かんえい)の『韓詩外伝(かんしがいでん)』には、

「司空(しくう)は地を掌(つかさど)る。山や御陵(ごりょう)が崩(くず)れ、川や谷に水が流れず、穀物(こくもつ)が実らず、草木が生長しなければ、司空(しくう)の責任である」

とあります。

また、司空(しくう)は宗正(そうせい)・大司農(だいしのう)・少府(しょうふ)の3つの卿(けい)を管轄します。

基本情報

詳細が不明の箇所は空白にしています。

  後漢(ごかん) 魏(ぎ) 蜀(しょく) 呉(ご)
定員 1人 1人 – 1人
秩石
品秩
公
(万石)
一品 –  
印綬 金印紫綬   –  

司空の変遷

前漢(ぜんかん)の綏和(すいわ)元年(紀元前8年)、成帝(せいてい)は御史大夫(ぎょしたいふ)を廃して初めて司空(しくう)を置きますが、この時すでに司空(しくう)(地方の監獄・裁判を担当する官職)が存在していたため大司空(だいしくう)としました。

後漢(ごかん)の世祖(せいそ)(光武帝(こうぶてい))は、前漢(ぜんかん)にならって大司馬(だいしば)、大司徒(だいしと)、大司空(だいしくう)の3職を三公(さんこう)としていましたが、建武(けんぶ)27年(51年)にこれらの呼称から「大」の字を除くこととし、太尉(たいい)・司徒(しと)・司空(しくう)を三公(さんこう)とします。

そして献帝(けんてい)の建安(けんあん)13年(208年)、曹操(そうそう)は三公(さんこう)を廃止して丞相(じょうしょう)と御史大夫(ぎょしたいふ)を置きました。

荀綽(じゅんしゃく)の『晋百官表(しんひゃっかんひょう)』の注には、

「献帝(けんてい)は御史大夫(ぎょしたいふ)を置き、その職務は司空(しくう)のようで侍御史(じぎょし)を統御しなかった」

とあります。

他の官職についてはこちら

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司空府

構成

以下は『続漢書(ぞくかんじょ)』百官志(ひゃっかんし)と「ちくま学芸文庫『正史 三国志8』三国官職表」を基に作成しています。【】内は【定員・官秩・品秩】で、[]内はそれぞれの王朝での情報になります。

『続漢書(ぞくかんじょ)』百官志(ひゃっかんし)と『三国官職表(さんごくかんしょくひょう)』で情報が違う場合は、()内に『三国官職表(さんごくかんしょくひょう)』の情報を記載します。

補佐官

属吏の筆頭。諸曹を取り仕切り、司空(しくう)の補佐をする。

  • 長史(ちょうし)【1名・千石・六品】
    [後漢(ごかん)=○・魏(ぎ)=○・蜀(しょく)=?・呉(ご)=?]

軍隊

部隊の指揮をとる。

  • 司馬(しば)【1名・千石・六品】
    [後漢(ごかん)=?・魏(ぎ)=○・蜀(しょく)=?・呉(ご)=?]

参謀・幕僚

参謀として作戦・用兵などの計画を立案する。

  • 軍師祭酒(ぐんしさいしゅ)【1名・-・五品】
    [後漢(ごかん)=?・魏(ぎ)=○・蜀(しょく)=?・呉(ご)=×]
  • 軍師(ぐんし)【1名・-・五品】
    [後漢(ごかん)=?・魏(ぎ)=○・蜀(しょく)=?・呉(ご)=×]
  • 従事中郎(じゅうじちゅうろう)【2名・千石・六品】
    [後漢(ごかん)=?・魏(ぎ)=○・蜀(しょく)=?・呉(ご)=?]
  • 参軍(さんぐん)【2名・-・七品】
    [後漢(ごかん)=?・魏(ぎ)=○・蜀(しょく)=?・呉(ご)=?]

事務

文書作成などの事務をする。

  • 主簿(しゅぼ)【1名・-・七品】
    [後漢(ごかん)=?・魏(ぎ)=○・蜀(しょく)=?・呉(ご)=?]

人事

司空府(しくうふ)の官吏登用に当たる。

  • 西曹掾(せいそうえん)【1名・比四百石・七品】
    [後漢(ごかん)=?・魏(ぎ)=○・蜀(しょく)=?・呉(ご)=?]
  • 東曹掾(とうそうえん)【1名・比四百石・七品】
    [後漢(ごかん)=?・魏(ぎ)=○・蜀(しょく)=?・呉(ご)=?]

掾(えん)・属(ぞく)・舎人(しゃじん)

司空府(しくうふ)の属吏。

  • 戸曹掾(こそうえん)【1名・比三百石・七品】
    [後漢(ごかん)=?・魏(ぎ)=○・蜀(しょく)=?・呉(ご)=?]
    戸籍、宗教行事、農業と養蚕の管理する。
  • 倉曹掾(そうそうえん)【1名・比三百石・七品】
    [後漢(ごかん)=?・魏(ぎ)=○・蜀(しょく)=?・呉(ご)=?]
    倉穀(そうこく)(穀物の貯蓄)を管理する。
  • その他不明

参考

『続漢書(ぞくかんじょ)』百官志(ひゃっかんし)には、

  • 長史(ちょうし)【1名・千石】
  • 掾(えん)・属(ぞく)【29名】
  • 令史(れいし)・御属(ぎょぞく)【42名】

とあります。

※ 令史(れいし)は文書を司(つかさど)る官職です。

属官一覧表

詳細が不明の箇所は空白にしていますが、他の史料で情報を見つけ次第随時追記します。

官職名下の数字は定員です。

官職名 官秩 備考
品秩
軍師祭酒(ぐんしさいしゅ)
(1)
 
  • 建安(けんあん)3年(198年)設置。
  • 呉(ご)=無。
五品
軍師(ぐんし)
(1)
 
  • 建安(けんあん)3年(198年)設置。
  • 呉(ご)=無。
五品
長史(ちょうし)
(1)
千石
  • 曹操(そうそう)司空(しくう)時に設置。
  • 諸曹(しょそう)(部局)を取り仕切る。
  • 呉(ご)=不明。
六品
司馬(しば)
(1)
千石
  • 曹操(そうそう)司空(しくう)時に設置。
  • 兵を司(つかさど)る。
  • 呉(ご)=不明。
六品
従事中郎(じゅうじちゅうろう)
(2)
千石
  • 謀議に参与する。
  • 呉(ご)=不明。
六品
主簿(しゅぼ)
(1)
 
  • 曹操(そうそう)司空(しくう)時に設置。
  • 庶事を取り仕切る。
  • 呉(ご)=不明。
七品
参軍(さんぐん)
(2)
 
  • 曹操(そうそう)司空(しくう)時に設置。
  • 呉(ご)=不明。
七品
西曹掾(せいそうえん)
(1)
比四百石
  • 曹操(そうそう)司空(しくう)時に設置。
  • 府内の官吏登用に当たる。
  • 呉(ご)=不明。
七品
属官 西曹属(せいそうぞく)
1
二百石
  • 府内の官吏登用に当たる。
  • 呉(ご)=不明。
七品
東曹掾(とうそうえん)
(1)
比四百石
  • 曹操(そうそう)司空(しくう)時に設置。
  • 府内の官吏登用に当たる。
  • 呉(ご)=不明。
七品
戸曹掾(こそうえん)
(1)
比三百石
  • 曹操(そうそう)司空(しくう)時に設置。
  • 戸籍、宗教行事、農業と養蚕の管理する。
  • 呉(ご)=不明。
七品
倉曹掾(そうそうえん)
(1)
比三百石
  • 曹操(そうそう)司空(しくう)時に設置。
  • 倉穀(そうこく)(穀物の貯蓄)のことを司(つかさど)る。
  • 呉(ご)=不明。
七品
掾(えん)・属(ぞく)・舎人(しゃじん)
(不明)
 
  • 不明。
  • 呉(ご)=不明。
 
他の官職についてはこちら

【後漢・三国時代の官職】目次


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【後漢・三国】司空一覧表

後漢

大司空(だいしくう)

天子 名前 在位
光武帝(こうぶてい) 王梁(おうりょう) 25年〜26年
宋弘(そうこう) 26年〜30年
李通(りつう) 31年〜36年
竇融(とうゆう) 37年〜44年
朱浮(しゅふ) 44年〜46年
杜林(とりん)

46年〜47年

張純(ちょうじゅん) 47年〜51年

司空(しくう)

天子 名前 在位
光武帝(こうぶてい) 張純(ちょうじゅん) 51年〜56年
光武帝(こうぶてい) 馮魴(ふうほう) 56年〜61年
明帝(めいてい)
明帝(めいてい) 伏恭(ふくきょう) 61年〜69年
牟融(ぼうゆう) 69年〜75年
章帝(しょうてい) 第五倫(だいごりん) 75年〜86年
袁安(えんあん) 86年〜87年
章帝(しょうてい) 任隗(じんかい) 87年〜92年
和帝(わてい)
和帝(わてい) 劉方(りゅうほう) 92年〜94年
張奮(ちょうふん) 94年〜97年
韓稜(かんりょう) 97年〜98年
巣堪(そうかん) 98年〜102年
徐防(じょぼう) 102年〜104年
陳寵(ちんちょう) 104年〜106年
殤帝(しょうてい) 尹勤(いんきん) 106年〜107年
安帝(あんてい)
安帝(あんてい) 周章(しゅうしょう) 107年
張敏(ちょうびん) 107年〜112年
劉愷(りゅうがい) 112年〜115年
袁敞(えんしょう) 115年〜117年
李郃(りこう) 117年〜120年
陳褒(ちんほう) 120年〜122年
劉授(りゅうじゅ) 122年〜125年
順帝(じゅんてい) 陶敦(とうとん) 125年〜126年
張晧(ちょうこう) 126年〜129年
王龔(おうきょう) 129年〜133年
孔扶(こうふ) 133年〜134年
王卓(おうたく) 134年〜137年
郭虔(かくけん) 137年〜141年
順帝(じゅんてい) 趙戒(ちょうかい) 141年〜146年
沖帝(ちゅうてい)
質帝(しつてい)
桓帝(かんてい)
桓帝(かんてい) 袁湯(えんとう) 146年〜147年
胡広(ここう) 147年〜151年
黄瓊(こうけい) 151年〜152年
趙戒(ちょうかい) 152年〜153年
房植(ぼうしょく) 153年〜155年
韓演(かんえん) 155年〜157年
孫朗(そんろう) 157年〜159年
盛允(せいいん) 159年〜160年
虞放(ぐほう) 160年〜161年
黄瓊(こうけい) 161年
劉寵(りゅうちょう) 161年〜163年
周景(しゅうけい) 163年〜165年
劉茂(りゅうも) 165年〜166年
桓帝(かんてい) 宣鄷(せんほう) 166年〜168年
霊帝(れいてい)
霊帝(れいてい) 王暢(おうちょう) 168年
劉寵(りゅうちょう) 168年
許栩(きょく) 168年〜169年
劉囂(りゅうごう) 169年〜170年
橋玄(きょうげん) 170年〜171年
来豔(らいえん) 171年
宗俱(そうく) 171年〜173年
楊賜(ようし) 173年
唐珍(とうちん) 173年〜174年
許訓(きょくん) 174年〜176年
劉逸(りゅういつ) 176年〜177年
陳球(ちんきゅう) 177年
陳耽(ちんたん) 177年〜178年
来豔(らいえん) 178年
袁逢(えんほう) 178年〜179年
張済(ちょうせい) 179年〜184年
張温(ちょうおん) 184年〜185年
楊賜(ようし) 185年
許相(きょしょう) 185年〜187年
丁宮(ていきゅう) 187年—188年
霊帝(れいてい) 劉弘(りゅうこう) 188年〜189年
少帝(しょうてい)
少帝(しょうてい) 董卓(とうたく) 189年
献帝(けんてい)
献帝(けんてい) 楊彪(ようひょう) 189年
荀爽(じゅんそう) 189年〜190年
种拂(ちゅうふつ) 190年〜191年
淳于嘉(じゅんうか) 191年〜192年
楊彪(ようひょう) 192年〜193年
趙温(ちょうおん) 193年
張喜(ちょうき) 193年〜196年
曹操(そうそう) 196年〜208年

御史大夫(ぎょしたいふ)

天子 官位 名前 在位
献帝(けんてい) 御史大夫(ぎょしたいふ) 郗慮(ちりょ) 208年〜?
行御史大夫(こうぎょしたいふ) 劉艾(りゅうがい) ?〜215年〜?
兼御史大夫(けんぎょしたいふ) 張音(ちょうおん) 220年

魏

御史大夫(ぎょしたいふ)

王 名前 在位
曹操(そうそう) 華歆(かきん) 218年〜220年
曹操(そうそう) 王朗(おうろう) 220年
曹丕(そうひ)

司空(しくう)

天子 名前 在位
曹丕(そうひ) 王朗(おうろう) 220年〜226年
曹丕(そうひ) 陳羣(ちんぐん) 226年〜237年
曹叡(そうえい)
曹叡(そうえい) 衛臻(えいしん) 237年〜238年
曹叡(そうえい) 崔林(さいりん) 238年〜245年
曹芳(そうほう)
曹芳(そうほう) 趙儼(ちょうげん) 245年
高柔(こうじゅう) 245年〜248年
王凌(おうりょう) 248年〜249年
孫礼(そんれい) 249年〜250年
司馬孚(しばふ) 250年
曹芳(そうほう) 鄭沖(ていちゅう) 250年〜256年
曹髦(そうぼう)
曹芳(そうほう) 盧毓(ろいく) 256年〜257年
諸葛誕(しょかつたん) 257年
曹髦(そうぼう) 王昶(おうちょう) 258年〜259年
曹奐(そうかん)
曹奐(そうかん) 王観(おうかん) 260年
王祥(おうしょう) 260年〜264年
荀顗(じゅんぎ) 264年〜265年

蜀漢

蜀漢(しょくかん)では御史大夫(ぎょしたいふ)・司空(しくう)は設置していません。

呉

御史大夫(ぎょしたいふ)

天子 官位 名前 在位
孫休(そんきゅう) 御史大夫(ぎょしたいふ) 孫恩(そんおん) 258年

孫休(そんきゅう)

孫皓(そんこう)

左御史大夫(さぎょしたいふ) 丁密(ていみつ) 262年〜268年
右御史大夫(ゆうぎょしたいふ) 孟宗(もうそう) 262年〜268年

司空(しくう)

天子 名前 在位
孫皓(そんこう) 孟仁(もうじん) 268年〜271年
董朝(とうちょう) 271年-?
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