後漢・三国時代の郷に置かれた有秩・嗇夫・三老・游徼・郷佐の職務と属官・属吏についてまとめています。
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有秩(ゆうちつ)・嗇夫(しょくふ)
職務
有秩は郡に所属する官吏で、大きな郷の民を管理し、賦役と徴税を取り仕切ります。
嗇夫は県に所属する官吏で、小さな郷の民を管理し、賦役と徴税を取り仕切ります。
有秩と嗇夫の職務には、以下のようなものがあります。
- 民の行いの善悪を把握する。
- 力役(労役)に従事する者の順番を管理する。
- 民の貧富の状況を把握し、賦税の額を管理する。
- 民の間での格差を均等にする。
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郷(きょう)に置かれた官吏
以下は『続漢書』百官志と「ちくま学芸文庫『正史 三国志8』三国官職表」を基に作成しています。【】内は【定員・官秩・品秩】で、[]内はそれぞれの王朝での情報になります。
『続漢書』百官志と『三国官職表』で情報が違う場合は、()内に『三国官職表』の情報を記載します。
有秩
【1名・百石・-】
[後漢=○・魏=×・蜀=×・呉=×]
規模が大きな郷に置かれた長官。
郡に任命され、郷に居住する民を管理します。
『漢官』には「1つの郷は5,000戸であり、これらを管理するために有秩を設置する」とあります。
嗇夫
【1名・百石・九品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
規模が小さな郷に置かれた長官。
県に任命され、郷に居住する民を管理します。
三老
【3名・百石・八品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
民への教化を取り仕切ります。
- 親孝行な子
- 祖父母に従順な孫
- 貞淑な女性や夫婦の義を守る婦人
- 財産を他人に気前よく譲り、困窮している人を救済する者
- 民の規範になる学者
三老は上記の条件にかなう者の家の門に扁を掲げて(門の上部に目立つように書きつけて)善行を奨励します。
郷の中には有秩や嗇夫が置かれていない郷もあり、その場合は三老が郷をとりまとめました。
『三国官職表』によると、三老は大きな郷の長官とされています。
游徼
【1名・百石・-】
[後漢=○・魏=×・蜀=×・呉=×]
郷内を巡察し、犯罪の防止を取り仕切ります。
郷佐
【1名・-・-】
[後漢=○・魏=×・蜀=×・呉=×]
郷に所属して民の納める賦税を徴収します。
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郷に置かれた官吏の属官一覧表(三国)
以下は「ちくま学芸文庫『正史 三国志8』三国官職表」を基に作成した「三国時代の属官一覧表」です。
詳細が不明の箇所は空白にしていますが、他の史料で情報を見つけ次第随時追記します。
官職名下の数字は定員です。
郷
官職名 | 官秩 | 備考 | |
---|---|---|---|
品秩 | |||
諸郷三老 (各1) |
百石 |
|
|
八品 | |||
属官 | 嗇夫 1 |
百石 |
|
九品 |