後漢・三国時代の北軍中候と、北軍中候が監督する諸官の職務と属官・属吏についてまとめています。
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北軍中候(ほくぐんちゅうこう)
職務
五営(五校)【屯騎校尉・越騎校尉・歩兵校尉・長水校尉・射声校尉】を監督します。
五校は大駕の鹵簿(行列)で先頭を進み、それぞれ1部隊の鼓吹が設けられていました。
大駕は三駕(大駕・法駕・小駕)の1つで、主に大喪の時に使用される鹵簿(行列)です。
公卿が天子の車駕を先導して大将軍が車駕に同乗し、太僕がその御者を務めます。随行する属車は81乗で、千乗万騎が行列に加わりました。
基本情報
詳細が不明の箇所は空白にしています。
後漢 | 魏 | 蜀 | 呉 | |
---|---|---|---|---|
定員 | 1人 | 中領軍 1人 |
? | ? |
秩石 品秩 |
六百石 | 三品 | ||
印綬 | 銅印墨綬 |
『漢官』には、北軍中候に所属する員吏は7名。その内1名は通大鴻臚(官秩は斗食)とあります。
北軍中候は属吏を自ら辟召することができました。
北軍中候の変遷
前漢
前漢の武帝は中塁校尉・胡騎校尉・虎賁校尉を設置して、北軍の兵営と砦に関する事柄を取り仕切らせていました。
後漢
後漢では中塁校尉を廃して北軍中候を置き、五営(五校)【屯騎校尉・越騎校尉・歩兵校尉・長水校尉・射声校尉】を監督させるようになります。
また、胡騎校尉を長水校尉に、虎賁校尉を射声校尉に統合しました。
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北軍五営
以下は『続漢書』百官志と「ちくま学芸文庫『正史 三国志8』三国官職表」を基に作成しています。【】内は【定員・官秩・品秩】で、[]内はそれぞれの王朝での情報になります。
『続漢書』百官志と『三国官職表』で情報が違う場合は、()内に『三国官職表』の情報を記載します。
北軍中候が監督する諸官
屯騎校尉
【1名・比二千石・四品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
宿衛に当たる兵士を統率します。
『漢官』には、屯騎校尉に所属する員吏は128名、領士は700名とあります。
属官
司馬
【1名・千石・七品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
兵士を統率します。
越騎校尉
【1名・比二千石・四品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
越騎を統率します。
「越騎」とは、漢に内属した越人から優れた者を採用して編成された騎兵のことです。
『漢官』には、越騎校尉に所属する員吏は127名、領士は700名とあります。
属官
司馬
【1名・千石・七品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
兵士を統率します。
歩兵校尉
【1名・比二千石・四品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
上林苑の門に駐屯する兵士を統率します。
『漢官』には、歩兵校尉に所属する員吏は73名、領士は700名とあります。
属官
司馬
【1名・千石・七品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
兵士を統率します。
長水校尉
【1名・比二千石・四品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
胡騎を統率し、胡騎に用いる馬を飼育します。
蔡質の『漢儀』(『漢官典職儀式選用』)には「長水胡騎と宣曲胡騎を統率する」とあります。
『漢官』には、長水校尉に所属する員吏は157名、烏桓胡騎(烏桓騎)は736名とあります。
また、長水校尉の名前の由来には、胡の名前であるという説と、厩舎のある場所が長水(陜西省の灞水)に近かったからという説があります。
属官
司馬
【1名・千石・七品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
兵士を統率します。
胡騎司馬
【1名・千石・七品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
烏桓騎を統率します。
射声校尉
【1名・比二千石・四品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
宿衛に当たる兵士を統率します。
「射声」とは射撃に巧みなことを言い、暗いところでも声だけを頼りに敵を射貫くことができたことから、射声校尉と命名されました。
『漢官』には、射声校尉に所属する員吏は29名、領士は700名とあります。
属官
司馬
【1名・千石・七品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
兵士を統率します。
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近衛軍の属官一覧表(三国)
以下は「ちくま学芸文庫『正史 三国志8』三国官職表」を基に作成した「三国時代の属官一覧表」です。
詳細が不明の箇所は空白にしていますが、他の史料で情報を見つけ次第随時追記します。
官職名下の数字は定員です。
官職名 | 秩石 | 備考 | |
---|---|---|---|
品秩 | |||
中領軍 (1) |
– |
|
|
三品 | |||
属官 | 長史 1 |
六百石 |
|
七品 | |||
属官 | 司馬 1 |
六百石 |
|
七品 | |||
中護軍 (1) |
– |
|
|
四品 | |||
属官 | 長史 1 |
六百石 |
|
七品 | |||
属官 | 司馬 1 |
六百石 |
|
七品 | |||
武衛将軍 (1) |
– |
|
|
四品 | |||
属官 | 長史 1 |
– |
|
七品 | |||
属官 | 司馬 1 |
– |
|
七品 | |||
中塁将軍 (1) |
– |
|
|
四品 | |||
属官 | 長史 1 |
– |
|
七品 | |||
属官 | 司馬 1 |
– |
|
七品 | |||
屯騎校尉 (1) |
比二千石 |
|
|
四品 | |||
属官 | 司馬 1 |
千石 |
|
七品 | |||
属官 | 主簿 1 |
– |
|
九品 | |||
属官 | 功曹 128 |
– |
|
– | |||
歩兵校尉 (1) |
比二千石 |
|
|
四品 | |||
属官 | 司馬 1 |
千石 |
|
七品 | |||
属官 | 主簿 1 |
– |
|
九品 | |||
属官 | 功曹 128 |
– |
|
– | |||
越騎校尉 (1) |
比二千石 |
|
|
四品 | |||
属官 | 司馬 1 |
千石 |
|
七品 | |||
属官 | 主簿 1 |
– |
|
九品 | |||
属官 | 功曹 128 |
– |
|
– | |||
長水校尉 (1) |
比二千石 |
|
|
四品 | |||
属官 | 司馬 1 |
千石 |
|
七品 | |||
属官 | 主簿 1 |
– |
|
九品 | |||
属官 | 功曹 128 |
– |
|
– | |||
射声校尉 (1) |
比二千石 |
|
|
四品 | |||
属官 | 司馬 1 |
千石 |
|
七品 | |||
属官 | 主簿 1 |
– |
|
九品 | |||
属官 | 功曹 128 |
– |
|
– |