後漢・三国時代の執金吾の職務と属官・属吏についてまとめています。
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執金吾(しつきんご)
職務
月ごとに3回、宮城の外を巡行し、非常事態や水害・火災などを防ぎます。
衛尉が宮城内を巡行する場合には、執金吾が宮城の外を巡行し、互いに表裏をなして犯罪者を捕らえ、狡猾な者を討伐しました。
また、武器を管理します。
基本情報
詳細が不明の箇所は空白にしています。
後漢 | 魏 | 蜀 | 呉 | |
---|---|---|---|---|
定員 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 |
秩石 品秩 |
中二千石 | 三品 | ||
印綬 | 銀印青綬 |
執金吾の変遷
執金吾は、前漢初期から三国時代まで次のように改称されています。
時期 | 名称 |
---|---|
前漢初期 | 中尉 |
前漢武帝期 | 執金吾 |
王莽 | 奮武 |
後漢 | 執金吾 |
三国時代 |
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執金吾府(しつきんごふ)
以下は『続漢書』百官志と「ちくま学芸文庫『正史 三国志8』三国官職表」を基に作成しています。【】内は【定員・官秩・品秩】で、[]内はそれぞれの王朝での情報になります。
『続漢書』百官志と『三国官職表』で情報が違う場合は、()内に『三国官職表』の情報を記載します。
執金吾の属吏
執金吾丞
【1名・比千石・七品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
執金吾の次官。
緹騎
【200名・なし・-】
[後漢=○・魏=?・蜀=?・呉=?]
執金吾が統率する赤備えの騎馬隊。
緹騎に官秩はなく、その俸禄は吏に準じます。
持戟
【520名・-・-】
[後漢=○・魏=?・蜀=?・呉=?]
車に乗り冠服を身につけて車駕の前後に随従します。
その隊列の華やかさは道路を光で満たすほどで、百官の中で最も勇ましく、世祖(光武帝)は感嘆して「仕官するなら執金吾になるべきだ」と言いました。
その他
『漢官』には、執金吾に所属する員吏は29名とあり、その内訳は以下のようになっています。
- 四科:10名
- 二百石文学:1名
- 百石:3名
- 斗食:2名
- 佐・学事:13名
これらの員吏は緹騎を統率します。
執金吾の属官
武庫令
【1名・六百石・七品】
[後漢=○・魏=○・蜀=?・呉=○]
武器を管理します。
属官
武庫丞
【1名・三百石・九品】
[後漢=○・魏=○・蜀=?・呉=○]
武庫令の次官。
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執金吾府の属官一覧表(三国)
以下は「ちくま学芸文庫『正史 三国志8』三国官職表」を基に作成した「三国時代の属官一覧表」です。
詳細が不明の箇所は空白にしていますが、他の史料で情報を見つけ次第随時追記します。
官職名下の数字は定員です。
官職名 | 秩石 | 備考 | |
---|---|---|---|
品秩 | |||
執金吾 (1) |
中二千石 |
|
|
三品 | |||
属官 | 執金吾丞 4 |
比千石 |
|
七品 | |||
武庫令 (1) |
六百石 |
|
|
七品 | |||
属官 | 武庫丞 4 |
三百石 |
|
七品 |