後漢・三国時代の太僕の職務と太僕府の属官・属吏についてまとめています。
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太僕(たいぼく)
職務
太僕は九卿の1つに数えられる官職で、天子の車と馬に関することを取り仕切ります。
天子が出御(外出)するたびに、使用する車駕(馬車)の種類と鹵簿(行列)の次第を奏上し、大駕で出御(外出)する際には車を御しました。
太僕・廷尉・大鴻臚の3つの卿は、司徒の管轄になります。
大駕は三駕(大駕・法駕・小駕)の1つで、主に大喪の時に使用される鹵簿(行列)です。
公卿が天子の車駕を先導して大将軍が車駕に同乗し、太僕がその御者を務めます。随行する属車は81乗で、千乗万騎が行列に加わりました。
基本情報
詳細が不明の箇所は空白にしています。
後漢 | 魏 | 蜀 | 呉 | |
---|---|---|---|---|
定員 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 |
秩石 品秩 |
中二千石 | 三品 | ||
印綬 | 銀印青綬 |
太僕は王莽期に一時、太御と呼称されました。
他の官職についてはこちら
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太僕府
以下は「ちくま学芸文庫『正史 三国志8』三国官職表」と『続漢書』百官志を基に作成しています。【】内は【定員・官秩・品秩】です。
『三国官職表』と『続漢書』百官志で情報が違う場合は、()内に『続漢書』百官志の情報を記載します。
太僕の属吏
太僕丞
【1名・比千石・七品】
[後漢=○・魏=○・蜀=○・呉=○]
太僕の次官。
その他
『漢官』には、太僕に所属する員吏は70名とあり、その内訳は以下のようになっています。
- 四科:7名
- 二百石文学:1名
- 百石:8名
- 斗食:6名
- 佐:7名
- 騎吏:6名
- 假佐(仮佐):3名
- 学事:31名
- 官醫(官医):1名
太僕の属官
考工令
【1名・六百石・七品】
[後漢=○・魏=○・蜀=?・呉=?]
武具(弓・弩・刀・鎧)や綬の作製、その他様々な工業を取り仕切ります。また、完成した武具は執金吾に送られて武庫に保管されます。
『漢官』には、考工令に属する員吏は109名とあります。
属官
考工左丞 / 考工右丞
【各1名・三百石・九品】
考工令の次官。
車府令
【1名・六百石・七品】
[後漢=○・魏=○・蜀=?・呉=?]
乗輿(天子の乗り物)その他、様々な車に関することを取り仕切ります。
『漢官』には、車府令に属する員吏は24名とあります。
属官
車府丞
【1名・三百石・九品】
[後漢=○・魏=○・蜀=?・呉=?]
車府令の次官。
未央廐令
【1名・六百石・七品】
[後漢=○・魏=重黄廐令 / 驊騮廐令・蜀=?・呉=?]
乗輿(天子の乗り物)と廐で飼育している馬の管理を取り仕切ります。
『漢官』には、未央廐令に属する員吏は70名、卒騶(飼育員)は20名とあります。
属官
長楽廐丞
【1名・三百石・-】
[後漢=○・魏=×・蜀=×・呉=×]
『漢官』には、長楽廐丞に属する員吏は15名、卒騶(飼育員)は20名とあります。
属官一覧表
詳細が不明の箇所は空白にしていますが、他の史料で情報を見つけ次第随時追記します。
官職名下の数字は定員です。
官職名 | 秩石 | 備考 | |
---|---|---|---|
品秩 | |||
太僕丞 (1) |
比千石 |
|
|
七品 | |||
典虞都尉 (1) |
– |
|
|
六品 | |||
属官 | 司馬 1 |
– |
|
八品 | |||
左右中牧官都尉 (1) |
– |
|
|
六品 | |||
属官 | 司馬 1 |
– |
|
八品 | |||
考工令 (1) |
六百石 |
|
|
七品 | |||
属官 | 左右丞 1 |
– |
|
九品 | |||
車府令 (1) |
六百石 |
|
|
七品 | |||
属官 | 車府丞 1 |
– |
|
九品 | |||
未央廐令 (1) |
六百石 |
|
|
七品? | |||
属官 | 長楽廐丞 1 |
– |
|
九品 | |||
典牧令 (1) |
六百石 |
|
|
七品 | |||
属官 | 典牧丞 1 |
– |
|
九品 | |||
重黄廐令 (各1) |
六百石 |
|
|
七品 | |||
属官 | 重黄廐丞 1 |
– |
|
九品 | |||
驊騮廐令 (各1) |
六百石 |
|
|
七品 | |||
属官 | 驊騮廐丞 1 |
– |
|
九品 |