後漢ごかん・三国時代の衛尉えいいの職務と衛尉府えいいふの属官・属吏についてまとめています。

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衛尉(えいい)

職務

衛尉えいい九卿きゅうけいの1つに数えられる官職で、衛士えいしを統率して宮城の門の宿衛と宮城内の巡察にあたります。

太常たいじょう光禄勲こうろくくん衛尉えいいの3つのけいは、太尉たいいの管轄になります。

基本情報

詳細が不明の箇所は空白にしています。

  後漢ごかん しょく
定員 1人 1人 1人 1人
秩石
品秩
中二千石 三品    
印綬 銀印青綬      
他の官職についてはこちら

【後漢・三国時代の官職】目次


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衛尉府

以下は「ちくま学芸文庫『正史 三国志8』三国官職表」と続漢書ぞくかんじょ百官志ひゃっかんしを基に作成しています。【】内は【定員・官秩・品秩】です。

三国官職表さんごくかんしょくひょう続漢書ぞくかんじょ百官志ひゃっかんしで情報が違う場合は、()内に続漢書ぞくかんじょ百官志ひゃっかんしの情報を記載します。

衛尉の属吏

衛尉丞えいいじょう

【1名・比千石・七品】

後漢ごかん=○・=○・しょく=○・=○]


衛尉えいいの次官。


その他

その他のえんは状況に応じて定員を定めます。

漢官かんかんには、衛尉えいいに所属する員吏いんりは41名。その内訳は以下のようになっており、その他に衛士えいしが60名とあります。

  • 四科しか:9名
  • 二百石文学にひゃくせきぶんがく:2名
  • 百石ひゃくせき:3名
  • 斗食としょく:12名
  • :2名
  • 学事がくじ:12名
  • 官醫かんい官医かんい):1名

衛尉の属官

公車司馬令こうしゃしばれい

【1名・六百石・六品】

後漢ごかん=○・=○・しょく=?・=?]


宮城の南闕門なんけつもんの守衛にあたる衛士えいしを統率します。

南闕門なんけつもんは、上章じょうしょう(上奏)をする官民や四方の非漢人(異民族)からの朝貢、徴召ちょうしょうされて公車こうしゃおもむく者が待機する場所になっていました。

属官
公車司馬丞こうしゃしばじょう

【1名・二百石・九品】

後漢ごかん=○・=○・しょく=?・=?]


禁忌きんきに詳しい者が選任され、不法行為を見極めます。

公車司馬尉こうしゃしばい

【1名・二百石?・九品】

後漢ごかん=○・=×・しょく=×・=×]


南闕門なんけつもんを守備し、非常事態に備えます。


南宮衛士令なんきゅうえいしれい

【1名・六百石・-】

後漢ごかん=○・=×・しょく=×・=×]


南宮の守衛にあたる衛士えいしを統率します。

漢官かんかんには、南宮衛士令なんきゅうえいしれいに属する員吏いんりは95名、衛士えいしは537名とあります。

属官
南宮衛士丞なんきゅうえいしじょう

【1名・二百石・九品】

後漢ごかん=○・=×・しょく=×・=×]


南宮衛士令なんきゅうえいしれいの次官。


北宮衛士令ほくきゅうえいしれい

【1名・六百石・-】

後漢ごかん=○・=×・しょく=×・=×]


北宮の守衛にあたる衛士えいしを統率します。

漢官かんかんには、北宮衛士令ほくきゅうえいしれいに属する員吏いんりは72名、衛士えいしは472名とあります。

属官
北宮衛士丞ほくきゅうえいしじょう

【1名・二百石・九品】

後漢ごかん=○・=×・しょく=×・=×]


北宮衛士令ほくきゅうえいしれいの次官。


衛士令えいしれい

【1名・六百石・七品】

後漢ごかん=×・=○・しょく=?・=?]


衛士えいしを統率します。

属官
衛士丞えいしじょう

【1名・二百石・九品】

後漢ごかん=○・=○・しょく=×・=×]


衛士令えいしれいの次官。


左都候さとこう / 右都候ゆうとこう

【各1名・六百石・七品】

後漢ごかん=○・=○・しょく=?・=?]


剣やげきを装備した兵士を統率し、宮城の巡察や天子てんしの命令によって捕らえられた罪人の護送をする。

漢官かんかんには、

  • 左都候さとこうに属する員吏いんりは28名、衛士えいしは383名
  • 右都候ゆうとこうに属する員吏いんりは22名、衛士えいしは416名

とあります。

属官
左都丞さとじょう / 右都丞ゆうとじょう

【1名・二百石?・九品】

後漢ごかん=○・=○・しょく=?・=?]


左都候さとこう / 右都候ゆうとこうの次官。


宮掖門きゅうえきもん諸司馬しょしば

【各1名・比千石・七品】

後漢ごかん=○・=○・しょく=?・=?]


宮掖門きゅうえきもん(南宮と北宮の門)には、門ごとに司馬しばが配置されています。

様々な門にもうけられた部署はそれぞれ並んで置かれて道路をはさみ、そのかたわらに兵士をひかえさせて権威と武力を示し、門の前で兵士にげきを交差させて、みだりに門を出入りする者をはばみました。

南宮
  1. 平城門へいじょうもん南屯司馬なんとんしば員吏いんり9名、衛士えいし102名
  2. 東門とうもん宮門蒼龍司馬きゅうもんそうりゅうしば員吏いんり6名、衛士えいし40名
  3. 玄武門げんぶもん玄武司馬げんぶしば員吏いんり2名、衛士えいし38名
  4. 北門ほくもん北屯司馬ほくとんしば員吏いんり2名、衛士えいし38名
北宮
  1. 南掖門なんえきもん朱爵司馬しゅしゃくしば員吏いんり4名、衛士えいし124名
  2. 東門とうもん東明司馬とうめいしば員吏いんり13名、衛士えいし180名
  3. 北門ほくもん朔平門さくへいもん)】朔平司馬さくへいしば員吏いんり5名、衛士えいし117名

南宮と北宮の門

南宮と北宮の門


属官一覧表

詳細が不明の箇所は空白にしていますが、他の史料で情報を見つけ次第随時追記します。

官職名下の数字は定員です。

官職名 秩石 備考
品秩
衛尉丞えいいじょう
(1)
比千石
  • 衛尉えいいの次官。
  • しょく=同名。
七品
公車司馬令こうしゃしばれい
(1)
六百石
  • 宮殿の南門を守衛し、官民の上書、朝貢、招聘しょうへいされた者を扱う。
  • しょく=不明。
六品
属官 公車司馬丞こうしゃしばじょう
1
二百石
  • 禁忌きんきに詳しい者が選任され、不法行為を見極める。
  • しょく=不明。
九品
属官 公車司馬尉こうしゃしばい
不定
二百石?
  • 南闕門なんけつもんを守備し、非常事態に備える。
  • 後漢ごかんのみ。
九品?
南宮衛士令なんきゅうえいしれい
(1)
六百石
  • 南宮の守衛にあたる衛士えいしを統率する。
  • 後漢ごかんのみ。
属官 南宮衛士丞なんきゅうえいしじょう
1
二百石
  • 南宮衛士令なんきゅうえいしれいの次官。
  • 後漢ごかんのみ。
北宮衛士令ほくきゅうえいしれい
(1)
六百石
  • 北宮の守衛にあたる衛士えいしを統率する。
  • 後漢ごかんのみ。
属官 北宮衛士丞ほくきゅうえいしじょう
1
二百石
  • 北宮衛士令ほくきゅうえいしれいの次官。
  • 後漢ごかんのみ。
衛士令えいしれい
(1)
  • 衛士えいしを統率する。
  • しょく=不明。
  • 三国官職表さんごくかんしょくひょうのみ。
七品
左都候さとこう
(1)
六百石
  • 宮城の巡察や天子てんしの命令によって捕らえられた罪人を護送する。
  • しょく=不明。
七品
属官 左都丞さとじょう
1
二百石
  • 左都候さとこうの次官。
  • しょく=不明。
九品
右都候ゆうとこう
(1)
六百石
  • 宮城の巡察や天子てんしの命令によって捕らえられた罪人を護送する。
  • しょく=不明。
七品
属官 右都丞ゆうとじょう
1
二百石
  • 右都候ゆうとこうの次官。
  • しょく=不明。
九品
南屯司馬なんとんしば
(各1)
比千石
  • 南宮の平城門へいじょうもんを守衛する。
  • しょく=不明。
七品
宮門蒼龍司馬きゅうもんそうりゅうしば
(各1)
比千石
  • 南宮の東門とうもんを守衛する。
  • しょく=不明。
七品
玄武司馬げんぶしば
(各1)
比千石
  • 南宮の玄武門げんぶもんを守衛する。
  • しょく=不明。
七品
北屯司馬ほくとんしば
(各1)
比千石
  • 南宮の北門ほくもんを守衛する。
  • しょく=不明。
七品
朱爵司馬しゅしゃくしば
(各1)
比千石
  • 北宮の南掖門なんえきもんを守衛する。
  • しょく=不明。
七品
東明司馬とうめいしば
(各1)
比千石
  • 北宮の東門とうもんを守衛する。
  • しょく=不明。
七品
朔平司馬さくへいしば
(各1)
比千石
  • 北宮の北門ほくもんを守衛する。
  • しょく=不明。
七品
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